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自動速度違反取締装置“オービス”の最新事情 神出鬼没の移動式が増加傾向

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自動速度違反取締装置“オービス”の最新事情 神出鬼没の移動式が増加傾向

■昔ながらの固定式自動速度違反取締装置は減少傾向

 オービスと呼ばれている自動速度違反取締装置ですが、はじめにアメリカのボーイング社製の「オービス」を導入したことからそう呼ばれています。

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 老朽化などの理由で次々と撤去されている固定式自動速度違反取締装置ですが、近年では回収も落ち着き、地域によっては増加している場所も存在します。

 警察庁によると自動速度違反取締装置は、昨年(2017年)末現在で、全国約500箇所に設置されています。また、昨年の全国の自動速度違反取締装置による取り締まり件数は5万6627件と、前年に比べて12%減少となっています。

 昨年の取り締まり件数が2万111件で全国最多となった大阪府では、設置されている自動速度違反取締装置は47台で前年から1台追加。長野県では3台追加されて14台と、一部地域では増加しているものの、全国的には前年から15台減少し、減少傾向にあります。

■そもそも、自動速度違反取締装置ってなに?

 自動速度違反取締装置は速度違反をした車両を自動で計測し、ナンバープレートと運転者の顔を撮影する装置です。

 自動速度違反取締装置が日本に普及し始めたのは1980年頃のことで、はじめはアメリカのボーイング社から輸入していました。初期の自動速度違反取締装置「オービス」は撮影した画像を銀塩フィルムに記録しており、フィルムを使い切ってしまうこともたびたびあり、そのたびにフィルムを交換する必要がありましたが、現在では、デジタルデータとして記録して転送をしているため、交換作業をする必要がありません。

 その後、三菱電機や当時の松下通信工業が開発に着手し、現在は、日本国内では東京航空計器のみが生産をしています。

 自動速度違反取締装置とひとくちに言っても、計測方法や撮影方法に違いがあります。レーダー式から始まり、ループコイル式、Hシステムと変わり、現在ではLHシステムが主流となっています。以下、それぞれの特徴を紹介します。

●レーダー式

 レーダー式は、道路上部にレーダー波を照射するアンテナが設置されており、撮影装置もレーダー付近や路肩に設置されています。また、レーダー波は市販のレーダー探知機で察知可能です。老朽化で現在は減ってきています。

●ループコイル式

 ループコイル式は、レーダーで測定するタイプのものに比べ、測定誤差が少ないとされています。道路の3カ所に磁場を発生するループコイルが埋められており、クルマが通過を察知した際の時間を計測して速度を割り出す仕組みになっています。

 レーダーを使用しないため、市販のレーダー探知機では反応しません。頭上にアンテナなどの器具が設置されていないことが特徴で、撮影装置は路肩に設置してあることがほとんどです。

●Hシステム

 HシステムのHは「ハイスピード」の頭文字をとっています。道路上の門型支柱などに四角型または丸型のレーダーアンテナが設置されており、下を通過するクルマの速度を測定します。撮影装置もレーダーアンテナの横にあるものが一般的です。

 また、速度の測定にはレーダーを使用しますが、新型のHシステムは照射パターンを変えることで、レーダー探知機に察知されないよう工夫がされています。しかし、現在は製造元である三菱電機も製造を中止しており、減少傾向にあります。

●LHシステム

 LHシステムは、速度の測定をループコイルで行い、撮影にはHシステムのユニットを流用しています。ループコイルを使用しているため、市販のレーダー探知機に察知されません。また、Hシステムに比べ、支柱に大きなレーダーアンテナがなく、Nシステム(自動車ナンバー自動読み取り装置)と見た目が酷似しているのも特徴のひとつです。

※ ※ ※

 近年では、ループコイル式の撮影ユニットを流用し、クルマの速度の測定をレーザースキャン式に移行したLi、LiHシステムなどもあります。このタイプは、路面にループコイルを埋める必要もなく、レーダー探知機で察知できないという特徴があるなど、固定式の自動速度違反取締装置も進化し続けています。

 また、固定式自動速度違反取締装置が設置されている場所には、1~3km程手前に必ず「速度自動取締機設置路線」といった「警告看板」が複数枚設置されています。

 神奈川県警によると、この看板は「交通事故抑止のためとドライバーに実勢速度を下げさせることを目的としているからである」としています。

■いまや移動式があたりまえ、神出鬼没の速度違反取締装置

 最近は、固定式だけでなく、運搬や移動が可能なように小型化され、どこにでも設置することができる、中小型の移動式自動速度違反取締装置が各都道府県に導入され始めています。

 移動式自動速度違反取締装置には「移動式中型」と「移動式小型」があり、移動式中型の中には「仮固定式」と、「半可搬式」、移動式小型は「可搬式」があります。

 国内での固定式自動速度違反取締装置は、東京航空計器のみが開発を行っていますが、移動式自動速度違反取締装置はそれに加えてスウェーデンの「Sensys Gatso Guroup(センシス ガッツォ グループ)」社製の「SENSYS SSS(Speed warning Safety System)」を導入しています。

 固定式と異なり、小型になったことで、設置場所も自由になるため、今まで設置が難しかった生活道路での取り締まりなどが可能になりました。1台で複数車線の複数車両を同時に取り締まることもできるなど、高性能化も進んでいます。

 また、速度違反だけでなく、歩行者に対して違反車両接近を知らせるサウンドアラーム機能を持っているものもあり、生活道路の安全にも配慮されています。

 測定方法はレーダー式とレーザー式がありますが、とくにレーザー式はレーダー探知機で察知できないようです。

■これが本当の移動式車両型速度違反取締装置

 車両型の速度違反取締装置は、ワンボックス車やパトカーに設置されており、見た目では判別ができないため、特に注意が必要な速度違反取締装置といわれています。

 パトカーに設置されているものは「レーザーパト、レーダーパト」と呼ばれており、ルーフの回転灯中央部分に装置が搭載されています。

 路肩に駐車して、パトカーの車内から測定と撮影を行いますが、他の自動速度違反取締装置と違い、速度違反を確認次第、追尾して検挙します。

 また、このパトカーは、車両が向いている方向に関係なく測定が可能であり、反対車線だったから大丈夫ということはありません。

 北海道に多く配備されている車両式の速度違反取締装置ですが、全国的に配備される可能性があり、注意が必要です。

※ ※ ※

 自動速度違反取締装置ですが、レーダー探知器で察知できないものでも近年ではカーナビやWebサイト、アプリなどで設置場所の確認が可能です。しかし、移動式自動速度違反取締装置に関しては、看板告知がされていない場合もあり、そうなると口コミ以外情報がなく、事前の確認が難しいとされています。

 また、スピードが出やすい幹線道路や高速道路だけでなく、「ゾーン30」と呼ばれる生活道路にも利用されはじめていことから、今まで以上の注意が必要となるでしょう。

 しかし、安全運転を心がけるドライバーには関係のないことと思われるかもしれませんが、速度違反取締装置はスピードが出てしまいがちな道に設置されていることがほとんどであるため、普段から安全運転を心がけていても、いつの間にか速度超過をしてしまい、後日警察から呼び出しという可能性もゼロではありません。今まで以上に速度遵守に努めてはいかがでしょうか。

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