恒例(にしようと目論む)の全開シリーズ。クルマ好きはもちろんのこと、電子ガジェット好きからも大注目の新型W177型Aクラスが今回の計測対象だ。
「ハイ、メルセデス」。今年の決めゼリフはこれで決まりだ(あ、重複だ)。というくらい、強く強く皆の意識に刷り込まれたW177型Aクラス。走る曲がる止まるで売り出しているCクラスの広告とは打って変わって、つながる/つながっていることを前面に(全面で)フィーチャーした新しいクルマ。テレビを何となく眺めながらiPhoneをいじっているそこのアナタも「ん?」と思ったに違いない。
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そんなAクラスの「ハイ、メルセデス」というのがどれだけすばらしいかはきっとどなたかが詳細な記事を書いていただいているだろうから、本稿はいつものとおりあちこちにメジャーを当てていくことにする。
前後ドアの開口寸法から。
前後ともにチェッカーは2ノッチ構造としていた。ただし、チェッカーの「山」の乗り越え感はなんだか薄く、高価なドイツ車でときどき遭遇する「どこでも留まる」という印象が強かった。そのノッチポイントも、開いて開いて開いて……あれまだ?──ああここか、というくらいよく開いてからようやくというところに設定されている。
ドアが閉まっているときの最外部は、前がハンドルで後ろはリヤフェンダーにつながる下プレスラインの下あたり。開けたときは前後ともに、上プレスラインの頂点だった。
ドアを閉めるときの機械音(と言いたくなるような音)は、なんだか無闇に開閉したくなるようなチューニング。ガチョッ!というかガギョッ!というかゴギャッ!というか、とにかくなんか機械が噛み合っているというイメージが強くて、個人的に非常に好み。ほかのメルセデスはバフォッ!という包容感と密閉感に富んだ音なのに対して、W177型Aクラスのそれはとても硬質で、どことなくGクラスのドアを思い出した。
続いて前後フードの全開寸法。
フロントフードはガスダンパー式でステーレス。おもしろいのはダンパーが一本だけで右側のみに備わり、しかもその位置が結構内側にあったこと。また、フードの形状は前後に小さく、ノーズ部分はボディ側に大きく残ったまま開口部を作っている。エンジンルームの整備時はたいへんなんじゃないかなあという印象を受けた。開口時の最上部はフード前端である。
バックドアは、左右ナンバー灯に挟まれた位置にある電子スイッチ式で、手動開閉式。ドア自体の重量なのかガスダンパーのガス圧が低い設定なのか、つまりドアを開けるときに結構な重さを感じる。電子スイッチだから自動開閉式だろう──と勝手に期待したせいもあるかもしれない。開口時の頂上部はエンブレム周りで、198cmと非常に高かった。閉めるときのグリップは独立型で、しかも左右に備わっているのは好印象である。
バックドアの開口形状は、素直な六角形。リヤガラスの傾斜が強いので、三次元的な視野で見ると上側は奥まっている。荷室側壁/床面がそのまま開口部に続いているデザインなので、荷物の出し入れには苦労しないだろう。ハッチバック車なので開口部高さが65cmと低いのもその利便性を後押しする。
後席を倒したところ。リヤシートは4:2:4分割式。なお、中央の「2」は左側「4」と連動していて、「2」だけを独立して倒すためには左側と一体化した状態で一度倒し、ラッチを外して左側「4」を戻すというプロセスが必要。しかしそれによって4名乗車と長尺物積載が可能になる。
後席背面を倒すと、少々の傾斜が残りながらフルフラット状態を作り出す。ただし、ご覧のとおり後席の左右ヘッドレストは一体型構造のため、フルフラットのためには前席を前にスライドしなければならない。「なんだよ不便だな」と思われる方もいらっしゃるかもしれない。ただしこれは、通常の乗車時の後席の安全性を考えればきわめて順当な手段であり、どっちを大切にするかという選択になるだろう。
荷室の形状自体はメルセデスらしいスクエアでフラットなもの。なお、撮影車にはラゲッジカーペットが敷いてあり、通常仕様ではボードが載せられているラゲッジスペースの設計だ。
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