招き入れられた舞台は、サンフランシスコ国際空港の一角に停められたルフトハンザ カーゴの最新機材「777 Freighter Hallo Germany」の機内。ここでごく少人数のメディア、ジャーナリストに向けて公開された「BMW Vision iNEXT」は、2021年に登場予定の市販車、iNEXTの概要を示したコンセプトカーである。ミュンヘン、ニューヨーク、サンフランシスコ、北京という世界4カ所で行われたこのお披露目ツアーに筆者は日本から只1人、参加してきた。
電動化、自動化、コネクテッドといった分野が将来の自動車のカギを握る重要なファクターになるという今の自動車業界のトレンド的な考えはBMWも変わらない。特徴的なのは、彼らがそこにデザインを付け加え「D ACES(Design, Autonomous, Connected, Electrified and Services)」と定義していることだ。このVision iNEXTの搭載技術、そしてデザイン言語は、まず市販版iNEXTに使われた後、2021年以降のBMW車に広範に採用されていくことになる。
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衝撃的なのが、まさにそのデザインだ。一番の驚きは、左右が連結されたキドニーグリル。これはもはやエンジンの冷却のためではなく、主にADAS用センサー類を埋め込むための土台であり、そのためには中央の支柱は邪魔だったのだ。しかし果たして、これでアイデンティティは保たれるのだろうか……?
それだけじゃない。4灯式ヘッドランプのデザインは新しい解釈となり、フェンダーまで接続されたグラスエリア、マッシヴな前後フェンダー等々、i3の延長線上にあるフォルムが纏わされたその外観は、今までのBMWの文脈からは大きく離れているように感じられる。
ストレートにカッコいいと言えるものだとは、今の所正直、言い難い。しかし、同じように最初のお披露目の時には度肝を抜いたi3が、ほぼコンセプトカーそのままの姿で登場したように、iNEXT市販車もこれに程近いスタイリングとなる可能性は低くはないはずだ。
左右ドアはコンセプトカーらしく観音開き。その先のインテリアも、何よりドライバーズカーであることを重視してきた従来のBMWとは真逆と言っていい空間設計とされている。前提は自動運転。手動運転のBoostモードから自動運転のEaseモードに切り替えると、ステアリングホイールやペダル類が格納され、2画面の計器はシティガイドのような様々な情報が表示されるスペースに変わり、前席ヘッドレストは、トリムに一体化された後席との対話がしやすいよう折り畳まれる。BMWはこの空間を“フェイバリットスペース”と呼ぶ。
パワートレインは電動で、レアアースフリーを実現した自社開発の電気モーターは前後アクスルに各1基ずつの合計2基が搭載される。リチウムイオンバッテリーは床下に敷き詰められたかたち。詳細なスペックは明かされていないが、0→100km/h加速は4秒以下、航続距離は600km以上と謳われている。その走りは「典型的なBMW」のものだという。ちなみにミュンヘンのR&D施設で電気モーターの開発に携わっているのは、フォーミュラEマシン用電気モーターと同じスタッフだそうだ。
自動運転システムは、高速道路でのレベル3に対応する。技術的にはすでにレベル4、レベル5も見据えているが、どの段階のものが使われるかは、その時あるいはその市場の法規制に準拠することになる。興味深いのは、手動運転時にもドライバーの運転態様がモニタリングされていて、自動運転時にはAIによりそれが走りに反映されるというところ。ドライバーがゆったり走る人なら、自動運転時も加速は穏やかに、といった具合である。
この電動パワートレイン、自動運転システムはともにモジュール化されており、前述の通りiNEXT登場以降のBMW車すべてに、様々に形を変えつつ使われていくことになる。これらの分野は技術の進化スピードが速いため、集中的な開発が必要だからだ。
これが2021年以降のBMWの象徴。そう言われても、未だピンとは来ないかもしれない。しかしながらBMWがサブブランドとしてBMWiを立ち上げ、i3やi8のコンセプトカーを発表した時には、まさか電動化がここまで進むとは想像できなかったはず。そう考えれば2021年の、あるいはその先のBMWがこのiNEXTに盛り込んだものをすべて現実化していたとしても、まったく不思議はないはずである。
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