自動ブレーキや車線逸脱警報機能はもはや必須
高齢者にお薦めしたいクルマはまず「サポカーS」の対象となる先進安全装備の充実したクルマだ。サポカーSとは、サポカーに必須の自動ブレーキに加えて、高齢者に多いと言われている踏み間違い事故防止をサポートする機能を搭載したクルマ。さらに車線逸脱警報や先進ライトまで備えているクルマがサポカーSワイドの対象車となる。
話題の「サポカーS」は本当に高齢者が乗ると安心なクルマなのか?
その意味では、なるべく新しいクルマのほうが、安全装備に関して充実しているのは当然だ(マイナーチェンジを含む)。また、基本的なこととして、運転席に乗り降りしやすく、大きすぎず、小まわりが利くことも、運転に対するストレスを最小限に抑えてくれるという意味でポイントとなる。
先進安全装備は加齢によって低下した運転に対する集中力や、体の固さから後方確認などの不備を補える可能性があるのだが、それ以前に、全方位の視界の良さやバックモニターの装備なども不可欠な要素と言える。
先進安全装備では、自動ブレーキや車線逸脱警報機能はもはや(老若男女を問わず)必須。それも前方の歩行者にも対応しているとさらに安心だ。もっと言えば、ペダルの踏み間違いによる高齢者の事故が多発していることから、踏み間違い衝突防止アシストはぜひとも欲しい装備である。前進・後退時の進行方向の正面に壁などがあった場合、アクセルペダルを必用以上に踏み込むと、警報とともに加速を抑制。衝突事故を防いでくれるのだ。
また、駐車場からバックで出る際、後方左右から接近してくる車両を検知して衝突被害を軽減してくれるリヤクロストラフィック機能も高齢者ならずともありがたい先進安全機能である。高齢になると、狭い駐車場などでの駐車もおっくうになりがち。そんな時に威力を発揮してくれるのが、フロント&バックソナーや、クルマを上空から見下ろしたような合成画像を表示してくれる360度モニター(オプションであることが多い)だ。最近では移動物を検知してくれる機能を持ったクルマもあるから安心・便利。
1)日産ノート
そんな条件の多くを満たした、高齢者にもお薦めできる1台が日産ノート。コンパクトなボディサイズで扱いやすいことはもちろん、自動ブレーキ、車線逸脱警報、踏み間違い衝突防止アシスト、フロント&バックソナーなどが全グレードに標準装備。話題のe-POWERでも200万円前後から、ガソリン車なら142万円ほどからある。
2)トヨタ・アクア
高齢になっても先進性のあるクルマ、つまりHVに乗りたいというなら200万円以下で買えるトヨタ・アクアの“STYLE BLACK”がある。JC08モード燃費はかつて世界一。今でも34.4km/Lを誇り、自動ブレーキ、車線逸脱警報、オートマチックハイビームを含む先進安全機能のトヨタセーフティセンスを装備。さらにインテリジェントクリアランスソナーも2万8080円で付けることができる。
3)トヨタ・カローラスポーツ
しかし、トヨタ車なら新しいカローラスポーツが注目株だ。価格は210.6万円からと、200万円をオーバーしてしまうが、インテリジェントクリアランスソナー&リヤクロストラフィックオートブレーキをオプション装着可能。
さらにカローラスポーツは全グレードにDCM(専用通信機)が備わり、クルマとトヨタスマートセンターが通信でつながっているため、面倒なナビの設定から緊急時の専門オペレーターによるヘルプ、警察・消防への通報、ドクターヘリの手配までおこなってくれるのだから、高齢ドライバーにとって最上の安心が得られる1台とも言える。
4)マツダ・デミオ
コンパクトカーではマツダ・デミオの先進安全装備が充実している。なにしろ上級車種同等の先進安全機能=i-ACTIVSENSEが搭載され、4つのカメラで見えない部分の危険認知をサポート(自動ブレーキ含む)してくれるほか、リヤパーキングセンサー、後退時の自動ブレーキ、エンジン始動後、車速が約65km/hを超えると作動する。
疲れていない状態でのドライバーの運転とクルマの動きを学習し、その後、学習したデータと実際の運転状況に大きな違いを感知するとドライバーに休憩をうながしてくれるドライバーアテンションアラート、さらには上級車にしかほぼ装備されない、レーンチェンジ時に安心安全な、車両後方の死角から接近するクルマを検知してくれるブラインドスポットモニタリング、駐車が楽ちん安全におこなえる360度ビューモニター(オプション)などまで用意しているのだから文句なしである。
5)スバル・インプレッサ
高齢ドライバーでも一度は聞いたことがあるはずの、国産車の自動ブレーキのパイオニアと言える「アイサイト」を搭載するスバル・インプレッサも200万円以下から買えるサポカーSワイドの1台(ステアリング連動ヘッドランプ装着車)。
6)ホンダN-BOX
さすがに軽自動車ではリヤクロストラフィックオートブレーキまで備えているクルマは今のところないが、たとえばホンダN-BOXは乗り降りのしやすさや視界の良さという、高齢者にもやさしい基本機能に加え、先進安全装備のホンダセンシングを全グレードに標準装備。
歩行者対応の自動ブレーキ、前後誤発進抑制機能はもちろん、歩行者事故低減ステアリング、路外逸脱抑制機能、高速走行時のストレスを劇的に低減してくれるACC(先行車追従機能付きオートクルーズ/渋滞追従は不可)、車線維持支援システム、オートハイビーム、標識認識機能など、上級車並みの先進安全機能を備えたたぐいまれな軽自動車である。
こうして見ていくと、ボルボやメルセデス・ベンツのような世界最高水準の先進安全機能を持つクルマにたとえ手が届かなくても、200万円以下で買える(車両本体価格)国産車でもどうして、なかなかの先進安全機能を備えたクルマが出現していることがわかる。世界的な自動車メーカーの安全意識の高まり、サポカー制度などが普及し、運動神経や動体視力が落ちてきた高齢者にもやさしいクルマが増えてきたということだろう。
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