フォルクスワーゲンをはじめフィアットやアルファロメオにボルボ、そしてニッサンやマツダなどが不在だった今年のパリサロンで、多数のワールドプレミアを含む新作を展示し、会場を盛り上げていたのが、プジョーとシトロエン、DSを擁する地元フランスのPSAグループだった。
なかでも旗艦ブランド、プジョーのブースにはひときわ注目を集めたコンセプトカーがあった。それが「e-レジェンド コンセプト」だ。フランスだけでなく欧州メディアが食いつくようにe-レジェンド コンセプトを取り巻いていたのが印象的だったし、それだけ新鮮だったと思う。
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もとより進歩史観の強いお国柄で、進歩主義とアヴァンギャルドを奉じるフランスメーカーは、過去はふり返るものの軽く触る程度で、決してレトロもしくはネオ・レトロには走らない風潮が強かった。
とはいえ、初代をモチーフにした新生アルピーヌA110の好評をうけ、風向きが変わったのかもしれない。プジョーがレトロ路線に手を出した背景には多分にアルピーヌの影響があったと思う。
エレガントなクーペとして人気を博し、1970年代に2万3000台ほどが生産された504クーペに想を得たというスタイルは、プロポーションや全体の雰囲気が似ている。しかし、全体的にエッジの効いたフォルムやボンネット後端にあるエアアウトレットのような空力デバイス、フローティング式バンパーなど、ディティールは相当に攻めている。Cピラーの下端にいたってはスマートフォンの待ち受け画面のようになっていて、ドアをアンロックする際、ウェルカムメッセージや現在のバッテリー充電量などを表示する。
e-レジェンド コンセプトのプロジェクト責任者であるマチアス・オサン氏は、同車の市販化が、カルロス・タバレスPSA会長の胸先三寸にかかっていることを認めつつ、プロダクト化への色気を隠さない。
「EVコンセプトだからとエクストラオーディナリーなものを作る時代は終わりました。だから、エクステリアこそネオ・レトロに見せつつ先進装備を盛り込みました。それらは、意外と市販車にも使えそうなアイデアばかりなんですよ」
彼の説明によれば、日本にも近々導入される新型508のサルーン版より10cmほど全長は短いものの、プラットフォームはおなじEMP2がベーだ。前後それぞれに電気モーターを搭載し、100kWh容量のバッテリーを備える。
ちなみに、100kWh容量は、PSAグループの最新PHV(プラグ・イン・ハイブリッド)1台に用いるバッテリー2個分の容量だ。結果、システム総計460psのパワーを発揮する。
インテリアもネオ・レトロと最新デバイスが融合する。一歩間違えれば怪しいスナックのソファのような、一周まわってスタイリッシュとも言うべき70年代風シートは、ブルーグリーンのベロア素材。しかも、左右両脇は同色の固いニット生地で包む。
また、ドライブ・モード選択の際に「完全自動運転」を選ぶと、ステアリングポストがダッシュボードに格納される仕組みも、プジョーのコンセプトカーとしては既出ではあるがユニーク。
さらに驚くのは、前列シートの足元に配された49インチものカーブド・スクリーンだ。これはナビゲーションや車両情報といったインフォテインメント関連を表示するだけでなく、走行モードに応じ、前面の道路を映し出して、ドライビングのスリルを高めるという。走る行為に関して、こんなにスケベなアイデアを見たのは初めて。さすがフランス人だ。
ちなみにスクリーンは足元だけでなく、両ドア内側にはそれぞれ29インチ、左右サンバイザー裏にも12インチのスクリーンがある。たとえば、完全自動運転モードにするとサンバイザー裏のスクリーンで映画を観ることも出来るそうだ。
未来のラグジュアリー・クーペとして見事な青地図を描きつつ、市販化の可能性もあるからこそ、注目を集めているのだろう。e-レジェンド コンセプトへの高い評価も大いに納得だ。
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