8月26日、三重県・鈴鹿サーキットで、賞金総額1億円の“GT3マシン世界一決定戦”が行われた。正式名称は「インターコンチネンタルGTチャレンジ第3戦・第47回サマーエンデュランス 鈴鹿10時間耐久レース」。昨年まで実施していた国内のスーパーGTシリーズの「鈴鹿1000km」レースに代わるものだ。
「GT3」とは、2005年に設立されたレース車両のカテゴリーの一つ。それまで存在していた、GT1やGT2クラスの下位カテゴリーとして、コスト削減やジェントルマンドライバー(アマチュア)の参加を促すことを目標に創設したものだ。市販車両を改造したマシンのためメーカー毎の性能差は生まれるが、BoP(バランス・オブ・パフォーマンス)と呼ばれる独自の性能調整システムを導入して均衡を保ち、世界的な人気カテゴリーとなった。
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ちなみに市販車に「GT3」の名が使われたのは1999年に登場したポルシェ911(996型)からだ。ポルシェは当時、GT1やGT2クラスに参戦しており、先を見越してGT3カテゴリーが設立される以前からその車名を特別なモデル名として使用してきた。したがって市販車における「GT3」はポルシェの商標となっており、他のメーカーは無断で使用できない。ポルシェは1986年から現在に至るまで911によるワンメイクレース、カレラカップを継続するなど、世界的な潮流となったカスタマーレーシングの草分け的な存在であり、さすがの先見の明をもっているというわけだ。
「GT3」人気が高まるにつれ、ポルシェ911をはじめ、メルセデスAMG、BMW M6、アウディR8、フェラーリ488、ランボルギーニウラカン、マクラーレン650S、アストン・マーティン ヴァンテージ、ベントレー・コンチネンタルGT、コルベットC7など世界中のスーパーカーをベースにしたGT3マシンが登場。日本メーカーもこの流れにのって、日産GT-R、レクサスRC F、ホンダNSXのGT3マシンをリリースしている。
GT3マシンの普及により、世界中でGT3カーレースのシリーズ戦ができた。欧州とアジアの「ブランパンGTシリーズ」、北米の「IMSA(GTD)」、「ピレリ ワールドチャレンジ」、そして日本の「スーパーGT(GT300クラス)」や「スーパー耐久(ST-Xクラス)」が代表的なものだ。
今回の鈴鹿10時間レースはタイトルに「インターコンチネンタルGTチャレンジ」と冠されているが、これは「バサースト12時間(オーストラリア)」、「スパ24時間(ベルギー)」、「ラグナセカ・レースウェイ8時間(アメリカ)」と合わせ、年間4戦を予定している“世界戦”の一つという位置づけなのだ。
そんなわけで、鈴鹿には、日本をはじめヨーロッパ、アジアなど世界8カ国から13車種、35台のマシンが集結。ドライバーの国籍は21カ国にも及んだ。クラスはプロのみのドライバーで構成された「Pro」と、プロとアマチュアの混成の「Pro-Am」の2種類があり、“世界戦”なだけにメーカーの威信をかけたファクトリードライバーが多数来日したのも見どころだった。
例えばポルシェでは、日本のD’stationレーシングの2台をはじめ、アメリカのブラックスワンレーシング、ドイツのマンタイレーシング、香港のクラフトバンブーレーシングと計5台の911GT3Rがエントリーした。ドライバーは今年のル・マン24時間のGTクラスで優勝したケヴィン・エストルとローレンス・ヴァンスール、それ以外にもポルシェのワークスドライバーであるロマン・デュマ、アール・バンバー、フレデリック・マコヴィエッキ、ディルク・ヴェルナーなど、錚々たる顔ぶれが参戦していた。
さらにレースを面白くするため、タイヤはピレリのワンメイクに、1スティントあたりの最長時間は65分と決め、各チーム最低9回のピットストップを義務付け、ピット作業時には最低52秒間は停止しなければならないルールとした。これによってピットインによるタイム差がつきにくくなり、コース上で決着がつく展開をめざしたわけだ。
もう一つ、参加チームのモチベーションを高めるために賞金総額は、1億円を張り込んだ。優勝は3000万円。2位は1500万円、3位は800万円で、これ以外にも、ポールポジションやベストラップ、ベストピットワーク賞に各100万円、決勝レース1時間経過毎のトップチームに10万円など、さまざまな工夫が施されていた。
決勝レース終盤はナイトセッションを迎え、真っ暗になったグランドスタンドを、満月と観客が手に持ったサイリウムが華やかに彩った。午後8時、約1600km、およそ1000マイルを走り終えてゴール。35台中、完走は29台。優勝したのは、2017年のブランパンGTシリーズ・アジアのチャンピオンを獲得したメルセデスAMG・チーム・グループMレーシングの888号車メルセデスAMG GT3。2位も同じくメルセデスAMGのストラッカレーシングの43号車、3位はアウディR8 LMSを擁するアウディスポーツのアブソリュートレーシング6号車だった。日本チームとしてはスーパーGTでもお馴染みのグッドスマイルレーシング(マシンはメルセデスAMG GT3)が、レギュラードライバーの谷口信輝、片岡龍也の2人に小林可夢偉を加えて5位入賞を果たしたのが最高位だった。
鈴鹿サーキット、そしてモータースポーツ都市宣言を行った鈴鹿市は1978年に始まり41年もの歴史をもつ二輪の「鈴鹿8時間耐久ロードレース」、通称“ハチタイ” に加えて、この四輪の鈴鹿10時間を“テンエイチ”として、根付かせていきたいと意気込む。8耐と同様に、10Hが夏の風物詩となっていくのか、来年にも期待だ。
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