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業界ニュース 2018.8.29

フェアレディZの存在価値──過去を振り返り、最新のNISMO仕様に乗って今を考える

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フェアレディZは、米国市場を狙って1969年に誕生した2ドアモデルだ。60年代後半に米国市場で人気を集めたフォード マスタングやシボレー カマロなどと異なり、2人乗りの本格的スポーツカーでありながら、廉価であることが販売を後押しした。その結果、78年まで9年間における初代の総販売台数は55万台に達した。

89年の4世代目までモデルチェンジを繰り返したが、2000年に1度絶版となった。初代から4世代目までの推移は、廉価なスポーツカーから上質さを求めた豪華なスポーツカーへの変遷と言え、スポーツカーとしての純粋な運転の喜びが徐々に薄れていったといえるのではないかと思う。

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とはいえ、初代といえども、ライトウェイトスポーツカーのロードスターのような俊敏な走りでは決してなかった。

日産のL型直列6気筒エンジンを搭載した標準的な車種は、エンジン回転の伸びもややもっさりとして、底力はあるが瞬発力はそれほど感じさせなかった。それでも、身近で格好いいスポーツカーが自分のものになる喜びは、たとえばトヨタ2000GTと比べてもはるかに大きかった。トヨタ2000GTに憧れを抱くことはできても、あまりにも高価で身近ではなく遠い存在だったからだ。

廉価で身近という価値を、スポーツカーとしてどのように発展させていくかは難しい。世界のどのスポーツカーをみても、新型が登場すれば性能が上がり、内装もより上質になり、価格も当然上がる傾向にある。フェアレディZが歩んだ道も同様であった。

かえって一時的な中断があったからこそ、2002年の5世代目フェアレディZ復活では、あらためて廉価で身近なスポーツカーという原点に立ち戻れたのではないかと思う。室内騒音や内装の作り込みなどでもう少し改良された方がよいと思う点もなくはなかったが、エンジン、サスペンション、プラットフォームなどを11世代目のスカイラインと共通化することにより、初代を彷彿とさせる比較的手ごろな価格を実現した。

外観も、初代の雰囲気をうまく採り入れていた。そのうえで、前後重量配分をできるだけ50:50に近づけた設計により、“運転して楽しい!”という感覚を直接的に伝えてくる操作感覚があった。再び、街でフェアレディZを頻繁に見かけるようになった。

復活から6年を経た2008年に、現行の6世代目は登場した。過去の歴史に見るように新型はより上質になり、外観などデザインも5世代目より洗練されたが、廉価で身近といった魅力がまたもや薄れてしまった。それは、あえてフェアレディZを選ぶ理由も薄れさせることになる。

そんな6世代目のフェアレディZを、短時間ではあるが久しぶりに運転した。なおかつ、それはコンプリートカーのNISMO仕様である。これに乗って、あらためてフェアレディZに乗る意味に気づかされた思いがした。

NISMOを知らない向きも多いだろう。「ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル」がNISMOの正式名称であり、ニッサンが、それまでのメーカーワークスチームに替えて世界でモータースポーツを戦うために1984年に設立した会社である。34年にわたるメーカー直系のモータースポーツ活動で蓄積された技術が、市販車に活かされているのがNISMO仕様車の特徴だ。

フェアレディZ NISMOを運転してすぐ体感するのは、サーキット走行向けとも思えるような乗り心地の硬さである。ところが、路面の変化に対して車体が弾んでしまうようなことはなく、タイヤの接地している様子が常に持続する。路面の凹凸にタイヤの上下動が追従し、しかも余計な振動を残さないので、実は硬くても乗り心地は悪くない。永年にわたるモータースポーツで得たサスペンション調整の粋を感じることができた。

サーキットのコースといえども、実はガラスの上のようにまっ平らではなく、若干の凹凸や、カーブでの傾斜などのうねり、あるいはコース脇の縁石の出っ張りなどで想像以上にタイヤが上下動する。その際にタイヤが弾み、接地が一時的に弱まれば、即刻周回タイムに影響する。したがって、どれほど高速で走っていても、一時たりともタイヤが路面から離れないようにサスペンションを調整するのがモータースポーツで勝つ秘訣となる。

程度の差こそあれ、そこは公道でスポーツカーを走らせることにも通じる。そうした技術の蓄積を、NISMO仕様に感じることができたのだ。それは乗り心地以外にも、高回転域までスムーズに吹け上がる3.7リッターV6自然吸気エンジンや、シフトフィールに優れた6MTなどからも感じることができた。

また、同じNISMO仕様であっても、GT-Rとは違った乗り味であることもフェアレディZを選ぶ理由といえるのではないかと思う。GT-Rのような獰猛さはなく、より洗練された運転感覚がZにはあり、そこは老若男女誰が運転してもスポーティさを楽しめる味を覚えさせる。

初代フェアレディZが登場したとき、やはりそこに集ったのは老若男女であったはずだ。現行フェアレディZも、NISMO仕様はより純粋なスポーツ感覚をアピールしつつ、実際に運転してみると身近さを覚える仕立てになっていたあたり初代にも通ずる。

登場からすでに10年を経過したフェアレディZの存在価値を、NISMO仕様であらためて実感できたのであった。

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(GQ JAPAN 御堀直嗣)

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