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価値ある上質なプラグ・イン・ハイブリッド──ホンダ新型クラリティPHEV公道試乗記

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価値ある上質なプラグ・イン・ハイブリッド──ホンダ新型クラリティPHEV公道試乗記

ホンダ クラリティPHEVの公道試乗会が実施された。前回はクローズドコースでの試乗だったが、今回は晴れて一般公道上でホンダ最新のPHVを試せるわけだ。

クラリティPHEVですごいのは、プラグ・イン・ハイブリッド(以下PHV)車では国内市場最長の101.0kmのEV航続距離(国際標準のWLTCモードで計測した場合。JC08モードではさらに長い114.6km)を達成しながら、一般的な燃費に相当するハイブリッド燃料消費率でも24.2km/ℓ(WLTCモード。JC08モードでは28.0km/ℓ)の好燃費を達成した点にある。

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一般的にいって、EV航続距離を伸ばそうとすれば搭載するバッテリーの量が多くなり、そうすると車重が重くなって燃費は低下する。クラリティPHEVはいかにしてEV航続距離と燃費を両立させたのか? それよりも何よりも、そもそもこのようなPHVを企画した意図は何だったのか? クラリティPHEVのパワートレーン開発をとりまとめたホンダの若城輝男氏に話を聞いた。

「きっかけは会社の上司と“2020年のクルマはどうなっているか?”に、ついて議論したことにありました。EUが自動車メーカーに義務づけているCAFE(企業別平均燃費)に従えば、2020年にはCO2の発生量を社内平均で95g/km以下(ガソリン車の燃費に換算すると24.4km/ℓ以上)に抑えないといけません。これを実現しようとするとハイブリッド車はおろか、通常のPHVでもまだ足りず、相当数のEVもしくはFCVを作らないといけないことが試算からわかりました」

もっとも、一般的にEVは航続距離が短く、大量のバッテリーを積むため車両価格は高い。そこで平日の走行はすべてバッテリーの電力だけでまかなえ、休日の遠出などには効率の高いハイブリッド車として使えるPHVを企画することになったというのだ。

ちなみに約100kmのEV航続距離は、アメリカにおける一般ユーザーの75%は、通勤時間が片道1時間以内であることから割り出したもので、100kmのEV航続距離があれば1日1回の充電で通勤をカバーできるとのシミュレーションから導き出したという。

いっぽう、長距離をガソリンエンジンで効率よく走るにはどうしたらいいか? この場合、いちばん難しいのは高速道路を淡々と走り続けるパターンだ。これに対応するため、排気量が小さいエンジンを効率の高い状態で回し続け、駆動系のロスを最小限に抑えた。

ホンダはエンジン排気量を1.5リッターに定め、これに熱効率を高めるアトキンソンサイクルを適用した結果、世界トップクラスの最大熱効率40.5%を達成した。

さらに一般的なギアボックスを廃するとともに、通常はモーターを介してしか機械的に連結されないエンジンと駆動輪を直結する経路を設け、高速巡航時にはエンジンパワーを効率よく駆動輪に伝えるようにした。

また、小排気量エンジンでは加速時などにパワー不足を感じるうえ、ギアボックスがなければ巡航速度に到達するまでのスムーズな加速が難しいが、これらは大容量バッテリーに充電した電気パワーを併用することで解決した。

公道を走らせてわかる上質さ

こうして完成したクラリティPHEVは、EV航続距離が長いとか、燃費がいいとかという以前に、クルマとしての完成度が高いことに驚く。正しく設計されたサスペンションと上質なダンパーが生み出す乗り心地は滑らかかつ快適だし、エンジンがかかったことがほとんど気づかないくらいキャビンの遮音性は高い。

エンジンの最高出力はわずか105psしかないが、最高で184psを発揮する電気モーターがこれをサポートするので高速道路でも周囲の流れをリードできるほどの速さを示す。

ステアリングの手応えも上々だし、一般的にハイブリッドが苦手とするブレーキの感触も普通のガソリン車と遜色がない。前席が広々としているのはもちろんのこと、後席だってメルセデスでいえばEクラスに匹敵するくらいの居住空間がある。内外装の質感も、日本車の標準を大きく凌ぐほど優れている。

しかも、先進の安全運転支援装置は、衝突軽減ブレーキや、レーンキープアシスト、アダプティブクルーズコントロールなどひととおり標準装備する。これで車両価格は588万600円(消費税込み)なのだから、内容を考えれば大いに安いといえる。

環境車のさらなるカタチとは?

それらを承知したうえで、若城さんにいじわるな質問をしてみた。

「私はクルマで市街地はほとんど走らず、もっぱら高速道路中心。しかもクラリティPHEVほど立派なボディは要らないから、もっとコンパクトで長距離移動が得意なクルマはできないものか?」

すると若城さんは「クラリティPHEVは市街地の走行も視野に入れたクルマ。長距離優先だったらバッテリーをずっと小さくしたほうがいい」と答えた。

では、そういうクルマがホンダから登場する可能性はあるのか? 若城さんはその質問には直接答えず、ただ「楽しみに待っていてください」とだけ述べたのだった。

ガソリンタンクの容量がたった26リッターなのに、バッテリーに充電した電力とあわせて800km以上の高速距離を実現したクラリティPHEVはたしかに素晴らしい省燃費車=環境車だ。ただし、ひたすら燃費がよくて価格が安いクルマが欲しいというニーズも確実にあるはず。そんなクルマがホンダから登場する日を心待ちにしているし、どうやら可能性はなきにしもあらずだ。

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