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業界ニュース 2018.8.11

9000回転なんてもう昔話!? NA高回転エンジンは絶滅していくのか?

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 最近クルマ好きに多いひと言が「あの頃はよかった」。1990年代までを指すこの言葉は担当も非常によくわかります。

 そんな「あの頃」にクルマ好きを昂らせたのは高回転のNA(自然吸気)エンジンたち。とにかく高回転まで"キーン"と回る内燃機関に燃えたものです。

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 しかし、近年はホンダのタイプRまでもターボになり状況は一変。今後は気持ちのいいNAエンジンは生き残れるのか? それとも……!?

文:鈴木直也/写真:ベストカー編集部

■ターボよりも高回転NAの歴史は浅い

 ダウンサイジングターボの登場以来、日常使いのファミリーカーまでターボエンジンが増えてきている。

 もちろん、高性能エンジンも例外ではなく、ライバルに馬力で負けないためにターボは必須。たとえば、もしGT-Rが3.8LのNAだったら、出せても馬力は400psちょい。

 これでは現在の高い評価は築けなかっただろう。

 GT-RがGT-Rであるためにはターボで600psが必要だし、ハイパーカーと呼ばれるようなハイエンドスポーツカーのエンジンは、いまや1000psに迫る領域で競っている。そんなエンジンはターボでないと造れない。

 ターニングポイントは2015年あたりだったと思う。ポルシェが主力911のエンジンを3Lにダウンサイズしてターボ化し、フェラーリも458から488へ進化する際にエンジンを4Lダウンサイズターボに変更。

 つまり、ポルシェやフェラーリみたいにNA高回転エンジンの官能性能にこだわってきたメーカーですら、最近の環境規制をクリアするにはターボ化が不可避と判断している。

 フェラーリですらターボに舵を切ったのを見ると、今後NAエンジンは燃費志向のアトキンソンサイクルや、ごく低価格の実用エンジンくらいしか生き残れないんじゃないか?  そんな危機感をおぼえる。

 じっさい、現在の国産車でスポーティなNAエンジンといえば、ロードスターの1.5L/2L、Zやスカイラインの3.7LのV6、レクサスRC F/GS Fの5LのV8といったあたり。

 ロードスターはまだしも、他の大排気量V型エンジンは遠からず生産終了の運命にある。

 昔のスポーツカー好きは「スポーツカーのエンジンは高回転/高出力型でなければイカン」という固定観念があったから、こういうターボ化の風潮に抵抗を感じるだろう。

 しかし歴史を振り返ってみるとじつはNA高回転型エンジンの全盛期はそんなに長くなかったという見方もできる。

 第2次大戦前の内燃機関の進化は航空機用エンジンが牽引したが、空気の薄い高空で使いこともあって過給器が必須。

 ただ、過給器が現在一般的なターボではなく、エンジンから機械的に駆動される遠心コンプレッサーやルーツ型ブロアが使われていたのが違いだった。

 この技術が応用できたから、戦前のスポーツカーやレーシングカーは過給エンジンが主流。

 高回転に耐える金属材質、強度設計、吸排気の充填効率解析などが未熟だったこともあり、そもそもNA高回転型エンジンという概念自体が存在しなかったと言ってもいい。

 逆に言えば、金属材質、強度設計、吸排気の充填効率解析などが進化したことで、第2次大戦後のモータスポーツ活動を中心にNA高回転型エンジンが脚光をあびることになる。試

 行錯誤を経て、1967年には現代レーシングエンジンの基礎を築いたといわれるコスワースDFVが登場。

 ここから、80年代にターボF1が台頭して主役の座を奪われるまでが、NA高回転型エンジンの短い全盛期だった(※F1でターボが禁止されNAエンジンの闘いに戻った1989年~2013年までを、主に興行的な理由によるNA化という解釈)。

■VTECのような強烈なエンジンはもう見られない!?

 いっぽう、量産車でリッター100psに達するNA高回転型エンジンが登場するのは、1989年のインテグラが最初の例だ。

 ホンダが開発した可変バルブタイミング機構VTECのおかげで、ようやく一般ドライバーがレーシングエンジン並みの高回転パワーを体験することができるようになった。

 NAエンジンの出力特性はカム次第で、レーシングカーのような高回転型カムを装備すれば低速トルクがスカスカになるし、低速トルクを重視した実用的なカムでは高回転パワーは期待できない。

 二律背反のこの問題を解決するには、VTECのような可変バルブタイミング機構の発明が必須だった。

 同時代でVTECを体験した人ならわかると思うが、そのトップエンドでの伸びのよさはまさに強烈だった。

 VTEC以前のNAスポーツエンジンは回っても6500rpmくらいで、それ以上引っ張ってもだらだら回るばかりで面白みはない。

 ところが、VTECが本格的に目覚めるのはそこから。5000rpmあたりで切り替わった高速カムは8000rpm付近まで一気呵成。

 このブン回す快感こそがNA高回転エンジンの醍醐味で、多くの日本人はVTECによってはじめてその魅力を知ったわけだ。

 この日本発祥の可変バルタイ機構は、さまざまなバリエーションが開発されて世界中に拡散することになり、欧州を中心にNAスポーツエンジンはリッター100ps以上があたりまえ、という時代が来る。

 まだ、その頃のターボエンジンは「トルクは大きいがターボラグの問題もあってレスポンスがいまいち」といわれていた。

 だからとりわけ繊細なレスポンスが要求される高性能スポーツカーはターボよりNAを選択するケースが多く、前述のフェラーリやポルシェをはじめ、BMWのMシリーズなどがNA高回転型スポーツエンジンの代表として多くのファン魅了したわけだ。

 最初に述べたとおり、これらNA高回転型エンジンはダウンサイズターボに置き換えられつつあり、その将来はかなり悲観的だ。

 直噴化、ターボの改良、エンジン制御技術の進化などによって、最近の高性能ターボエンジンは以前は弱点とされていた問題をほとんど克服している。

 たとえば、3Lターボ化された911あたりに乗ってみると、NAなみに高回転まで淀みなく吹き上がるし、トルクは低速域から豊かだし、ターボラグすらほとんど感じられないくらい完成度が高い。

 そんなポルシェに乗ると正直言って「もはやNAにこだわる必要はないかも?」と納得せざるを得ないのだ。

 そうなると、NAスポーツエンジンに残された分野は、味わい深い官能性能を比較的低コストで実現できるというコトくらい。

 たとえば、ロードスターのエンジンをターボ化するなんてことは誰も望んでいないが、こういう心情的なスポーツカーのエンジンがNAのまま最後まで残るんじゃないかと思う。

 内燃機関が生き残るには熱効率の向上が必須。そうなると、理論的に過給を避けて通るわけにはいかないのが道理。

 やっぱり、NA高回転型エンジンという存在は、ホンの短い時期に咲いた徒花だったのかもしれませんねぇ。

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(ベストカーWeb ベストカーWeb編集部シオカワ)

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