■全長を短縮して運動性能アップ
5代目「GT-R(BNR34)」は、「スカイライン」の名前が付いた最後のモデルです。1998年5月に10代目「スカイライン」が登場、翌年の1999年1月に5代目「GT-R」が登場しました。
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ベース車となる10代目「スカイライン」は、前作の9代目「スカイライン」の反省もあったためか、全長と前後車軸の距離であるホイールベースは短くなり、運動性能は上がりました。
5代目「GT-R」は、エンジンや4WDの駆動方式に変化はなかったものの、『空力特性』を特徴としたモデルです。リアスポイラーは、主翼と可変翼部から構成する角度調整機構付2段式を採用。4代目「GT-R(BCNR33)」と比べ、空気抵抗を上げずに、空気によって下に押し付ける力の調整範囲を広げています。
また、GT-Rのなかでも上級グレードの「Vスペック」では、車体下面の空気の流れを整えて下に押し付ける力を生み出す方式やフロントディフューザーとカーボン製リアディフューザーを採用。
特に、80km/h以上の高速走行時には、直進性やコーナリング性能、ブレーキをかけたときの制動安定性を向上させています。
空力特性を上げたと同時に、外見ではさらに力強さを強調しています。大型のリアスポイラーやリアディフューザーの形状は後続車を威圧するほどです。フロントから見ても、釣り上がったフロントライトから、張り出しの大きいタイヤ周りなどから、力強さを感じるものとなっています。
エンジンは、3代目「GT-R」から続くRB26DETT型を採用。直列6気筒2.6リッターエンジンに2基のターボチャージャーを搭載し、最高出力280PSと先代モデルと変わりはありませんが、最大トルクが向上して乗りやすくなっています。
また、マニュアルトランスミッションがそれまでの5速から6速へと段数が変更。それにより、ドライバーに丁度良いエンジン回転数を維持でき、適切なギアが選べるようになりました。そのほか、液晶画面による計器表示も5代目「GT-R」から始まりました。
■最後は排出ガス規制で生産終了
RB26DETTエンジンを搭載して、メカニズムも円熟の域に達した5代目「GT-R」。スカイラインとして最後の「GT-R」は2002年8月に排ガス規制に対応できず生産終了となります。ベース車となる10代目「スカイライン」は、前年に後継にモデルチェンジされ3年ほどの短命でしたが、それに続き5代目「GT-R」も3年半の販売期間です。
これで、スカイラインはS20型エンジンを搭載した“第1期”が排ガス規制で生産終了となったことに続いて、RB26DETT型エンジンを搭載した“第2期”もそのエンジンのおかげで生産終了となり、再びGT-Rは排ガス規制に苦しめられたことになります。
しかし、2代目「GT-R(KPGC110)」が終了したときと異なるのは、後継GT-Rの開発が公式にアナウンスされていたことで、GT-Rが一時的に終了しても消滅の危機とはならなかったことです。
5代目「GT-R」販売中の2000年に先行開発を発表。2001年の東京モーターショーには「GT-Rコンセプト」としてコンセプトデザインも発表されており、あとは登場時期を待つばかりとなっていました。
また、レース活動は、1999年から4代目「GT-R」と同様に全日本GT選手権、スーパ耐久に参戦。1999年は、4代目と5代目が交じる状況でしたが2000年からは5代目「GT-R」に置き換えが完了しています。
そして、2002年シーズンは途中からエンジンを変更。市販版のスカイラインGT-RはRB26DETT型で変更はありませんが、レースの場では日産の新世代のエンジン『V型6気筒のVQ30DETT型』に2002年の第5戦から投入しています。「スカイラインGT-R」での最後となる2003年までVQ30DETT型エンジンを搭載して戦っていました。
こうして、初代「GT-R(PGC10/KPGC10)」から5代目「GT-R」へと続いた「スカイライン」という車名とは、別の道を歩むことになるのです。
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