スポーツセダン、スポーツサルーンというと、みなさんはどのようなクルマを思い浮かべますか?SUV、ミニバン全盛の現在でも、周りを見回してみれば個性的なスポーツセダンは数多く販売されています。今回の主役は、現代のスポーツセダンに通じる基礎を作ったクルマ、と言っても過言ではない、アルファロメオ2000ベルリーナです。
控えめな外観こそ好み!なドイツの人々
30年以上を経てより輝きを増す!ベルリンで見かけたBMWアルピナ B7ターボ/1
荷物も人も積めて、一度鞭を打てばスポーツカー顔負けの運動性能を発揮する。そんなスポーツセダンにも、現在では二つの流れがあるように感じています。一つ目は、保守的なセダンのイメージを保ちつつ、外観はできるだけ控えめにする場合。二つ目は、保守的なセダンのイメージを外観から壊す、派手なスタイリングや演出を持つ場合です。
日本で生産されているスポーツセダンは、現在は二つ目のパターンに当てはまる場合が多いように感じます。スバル・WRX、ホンダ・シビック・タイプRなど。レクサスGS Fはまだ少し地味な方でしょうか。一方で輸入車の場合は、一つ目のパターンに当てはまることが多いかもしれません。かつては派手なエアロパーツで武装していたものの、現在ではシックでラグジュアリーなスタイリングのAMG、外観での主張は最小限のアウディのS/RSシリーズ、年々過激になっていく性能とは裏腹に控えめなスタイリングを守るBMW Mシリーズなど。アルピナにいたっては控えめな外観こそが美徳、と自ら公言しています。
とくにドイツ人は控えめな外観に関してこだわりが強いようで、クルマだけでなく、ソファやチェア、クローゼットなどの家具類や、WMFをはじめとする食器類、シーメンスやミーレといった家電類、ライカやカール・ツァイスといった光学製品類も、虚飾を排したとてもシンプルなデザインであることが多いです。外観での奇をてらわず、性能や品質、精度の高さで勝負、といったところでしょうか。
家族みんなが笑顔になれるスポーツセダン
前置きが長くなりましたが、今回撮影したアルファロメオ2000ベルリーナも、地味な外観に高度なメカニズムを内包した、スポーツセダンのお手本のようなモデルといえます。イタリア生まれのクルマではありますが、シンプルなデザインが好きなドイツ人にとっては、ひとつ下のグレードのモデル、ジュリア・ベルリーナよりも好ましいデザインなのかもしれませんね。
2000ベルリーナは、ジュリア・ベルリーナのホイールベースを拡大して登場した上級モデル・1750のエンジンをさらに拡大した発展モデルです。1962cc直列4気筒DOHCエンジンは132馬力を発生。4輪ディスクブレーキに5速マニュアルを組み合わせ、最高速度は200km/h、0-100km/h加速9秒と、当時としてはかなりの高性能を誇りました。1971年から1976年までに89,840台が生産されたといわれています。
全長4,390mm、全幅1,565mmのコンパクトなボディですが、ジュリア・ベルリーナに比べて60mm延長されたホイールベースにより、後席も十分なスペースが確保されていました。吹け上がりのよいエンジン、FR、5速マニュアル、4輪ディスクブレーキ、サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアはトレーリングアーム、というお手本のような構成のスポーツセダンでありながら、家族全員が喜ぶファミリーカーでもあったのです。
日本では伊藤忠オートの手により正規輸入され、そのほとんどが右ハンドル化、フェンダーミラーの装着等が施されました。日立製の純正クーラーも用意され、順調に販売台数を伸ばしていた2000ベルリーナ。当時のライバル車であるBMW2002シリーズや4ドアの1800・2000よりも、日本に入ってきた数は多かったと言われています。
デザインを手がけたのは鬼才マルチェロ・ガンディーニ
元になったジュリア・ベルリーナに比べて、直線的でシャープ、クリーンな印象を与える1750/2000ベルリーナをデザインしたのは、多くの歴史的名車を生み出した鬼才マルチェロ・ガンディーニ。カロッツェリア・ベルトーネからカロッツェリア・ギアに移籍したジョルジェット・ジウジアーロの後任として、1750/2000ベルリーナを手がけることになりました。
ジュリア・ベルリーナはシンプルな3ボックス・セダンながら、どこか優しい、丸みを感じさせるデザインでしたが、2000ベルリーナでは一転、シャープで伸びやか、シンプルな面が際立つスタイリングに生まれ変わっています。ウインドスクリーンをはじめとして、多くのパーツはジュリア・ベルリーナと共通ですが、それをほとんど感じさせない手腕はさすがの一言。ガンディーニはのちに、ランチア・ストラトスHF、ランボルギーニ・カウンタック、シトロエンBXなどを次々とデザインし、さらに名声を高めていきます。
現在の目で見ても、美しく、魅力的なスタイリングを誇る、アルファロメオ2000ベルリーナ。家族全員が笑顔になるようなスポーツセダンの傑作は、これからも長くドイツの地を走り続けていくことでしょう。そして、見事な復活を果たしたアルファロメオから、2000ベルリーナのDNAを引き継ぐモデルは登場するのでしょうか。これからも見守っていきたいですね!
[ライター・カメラ/守屋健]
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
「お金なさすぎて家賃払えなくて…」大阪出身“売れっ子芸人”が高級SUV「Gクラス」を納車! 東京で“人生初”の車購入「盛山さんがベンツ購入って感慨深い」「夢あるなー」と反響
トヨタ新型「カローラ“クロス”」発表! 「レクサス」級にカッコイイ「斬新フェイス」へ刷新! 新型「コンパクトSUV」約494万円から ブラジルに登場
史上最恐の盗難ツールとして話題の[ゲームボーイ]だが……ほぼ100%盗まれない方法は果たしてあるのか!?
アンダー150万円!? スズキ「軽バン」が凄い! 完全「爆睡仕様」に驚きの声…!? どんな人が買う? 見た目はド派手グリル採用の「スペーシア」とは
日本で大人気の「軽自動車」なんで海外で売らないの? コンパクトで「燃費・性能」もバツグン! “高評価”でもメーカーが「輸出しない」理由とは
EVけん引役の米テスラ、4年ぶりの減収減益で“大騒ぎ”[新聞ウォッチ]
ガソリン代が高いからって寒いのをガマンしても得なし! クルマのエアコン「暖房オフ」は燃費にほぼ効果がなかった
ホンダが“赤い”新型「プレリュード」初公開! “22年ぶり復活”の「2ドアクーペ」が鮮烈レッドに変化!? 2024年にも登場期待の「新モデル」米に登場
1台……超頑張っても2台しか曲がれないって短すぎん!? 極端に点灯時間が短い「右折の矢印信号」はどうすれば改善される?
マツダが新型“最上級セダン”「EZ-6」世界初公開! 光るグリル&半円4連テール&超豪華内装がカッコイイ! 斬新すぎる「マツダ6後継機!?」中国に誕生
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?