日本が世界に誇るベストセラーが身に付けた楽しさの源泉
スタイリングのよさとハッチバックの実用性の高さに、優れた走行性能を備えたカローラ スポーツ。4代目プリウスから展開が始まったTNGAによる低重心や低フード、パッケージングのよさや車種展開のしやすさは、SUVらしからぬ走りでヒット作となったC-HRでも実証されている。
グッとスポーティになった新型カローラ スポーツの内外装を徹底チェック
素性のいいTNGAだけに、そのままボディを変えただけでもいいクルマになったはずだが、カローラスポーツには「もっといい」クルマが作れるというエンジニアの意気込みや欲望がいたるところに込められている。サスペンションやステアリングに新たなメカニズムを取り入れるなど、金太郎飴的な派生モデルでないことをうかがい知ることができる。
たとえば最上位モデルにはリニアソレノイドバルブ式のAVS(アダプティブバリアブルサスペンションシステム)も用意。さらに1.2LターボにMT車をラインアップする大英断を下すなど、「カローラにそこまでやるの?」と思わせる、走りに対する尋常ではないこだわりが見てとれるのだ。
“スポーツ”のネーミングにふさわしい動力性能
パワーソースはハイブリッド(以下HV)とコンベンショナルのふたつを用意。HVは現行プリウスと同じ1.8Lの2ZR-FXEエンジンと最新のTHS-IIを採用し、カタログスペックとしては同様となる。
コンベンショナルは、C-HRに搭載されている4気筒1.2Lターボの8NR-FTSのレギュラーガソリン仕様。出力はC-HRと変わらないものの、エンジン内部から手を加えて燃焼改善や摩擦低減、回転フィーリングの向上、実燃費などの諸性能をアップさせている。
大きく変わったのは直噴の燃焼に関する部分。従来はウォールガイド式の混合気形成であり、ファンスプレーインジェクターとの組み合わせで、ピストントップの中央寄りに混合気をプラグ側に突き上げるようなリップ(突起)が存在していた。
今回は、エアガイド方式の混合気形成となり、ピストントップのリップがなくなり滑らかな凹レンズ状になったほか、インジェクターもマルチホール(多孔)型へと変更。これによってピストントップの燃料付着を減らしてPN(粒子状物質数)の排出量を抑制している。また、ピストンリングはDLC(ダイヤモンドライクカーボン)、ピストンスカートやクランク軸受けメタルの樹脂コートの改良で摩擦低減やなじみ性の向上を実施している。
細かなところでは、補機ベルトを薄く曲げやすくして回転時の屈曲抵抗を減らしたほか、エンジンオイルもベースから改良された新処方の0W-20オイルとしている。これらの改良に加えて、MT車ではMTらしいトップエンドの伸び感が得られるよう、レッドゾーンをC-HR用の5600rpmから6200rpmへと引き上げている。
さらに新開発の6速MTでは、エンジン制御と連動させてスムースな走りを提供するiMTが採用されている。これは欧州仕様のC-HRで導入済みのものであり、スポーツモードまたはスポーツ+モードで作動する。
クラッチペダルセンサーやトランスミッションの回転センサーを加えることで、アップシフトやダウンシフトでのエンジン回転数をシンクロさせる「等速シフト」を行って、シフト時のギクシャク感をなくしてくれる。また、全走行モードで「発進アシスト」機能が働き、発進時のエンジンストールを低減するなど、誰もがベテランドライバーのごときスムースな操作を楽しめるようになっている。
600パターンにおよぶ走行テストによって磨き上げられた乗り味
プラットフォームは現行プリウスからスタートしたTNGA-Cをベースにするが、プリウスとその車高を80mmアップしたC-HRとはひと味違い、カローラ スポーツのための専用化が随所に見られる。車体のサイズ面では、カローラ スポーツのホイールベースはC-HRと同じでプリウスより短く設定し、リヤフロアで前後長を縮めている。また、リヤのオーバーハング部のラゲッジルームフロアパンは専用パネルとすることでデッキ下の収納スペースを拡大している。
アッパーボディはプリウスからの構造を受け継いでいて、AピラーとBピラー、およびフロントフロアに超高張力鋼板のホットスタンプ材を配置。ロッカーパネルなどにも1180MPa材を使い、キャビンの保護性能を確保した。フロント部でも衝突時の衝撃を分散するマルチロードパス構造を採用してスモールオフセット衝突にも対応する構造だ。バックドアはTSOP(トヨタ・スーパー・オレフィン・ポリマー)樹脂を採用。サイドからのまわり込みを大きく取るために従来の板金では量産不可能な曲率を持たせたラウンディッシュなラインを作り、豊かな立体感を表現しながら、ラゲッジ空間をしっかり確保している。
カローラ スポーツは安全で安心であるうえに、走りの味付けにも注力。上質な質感を持ち、静かでハーシュネスの少ない乗り心地のよさを実現するため、フロアを強化して振動低減や収束のよさにこだわっている。なかでも特筆すべきは、フロアトンネル下を3本のアルミ製ブレースでガッチリと固定したことが挙げられる。
ロードノイズ対策では、フロントストラットの下側スプリングシートをあえて深いお椀型形状にし、吸音材などでの対策が難しい低周波のロードノイズをしっかり抑えている。とくにエンジン停止での走行が多いHVモデルのバックグラウンドノイズ対策として非常に有効だったとのことだ。NV(ノイズバイブレーション)対策もエンジンルームとキャビン間およびエンジンアンダーカバーの遮音や吸音材の面積を拡大して優れた静粛性を持たせている。ダッシュサイレンサーでは、ゴム層と吸音材を積層したタイプとしている。領域によってはプリウスをも凌ぐNV特性となっている。
サスペンションでは、感性性能と乗り心地の質感を大きく高めるために、新開発のショックアブソーバーを採用。電子制御式のAVSを最上級グレードにオプション設定できるようにしたのが大きな進化ポイントだ。
サスペンションは、通常走行のフラット感・安定感をよくしようとするとバネはソフトにしてアブソーバーの減衰を高くする必要があるが、ハンドリングをよくするにはバネをハードにして減衰も高くする必要がある。また、路面からの入力でのざらざらした振動や継ぎ目を通過する際のハーシュネス特性をよくしようとするとハンドリングとフラット感・安定感の背反が出てしまう。
新開発のショックアブソーバーではプロスムースというフリクションコントロール技術を導入。前述した3つの要素を高次元でバランスさせる。新開発アブソーバーは、通常走行時は上下動をソフトにし、コーナリングで横力が加わったときに適度なフリクションを発生させる機能を備えている。これを可能にしたのが新採用のオイルやピストンロッドの支持部である。ショックアブソーバーのオイルは、減衰力を生み出すための粘性と潤滑特性を備えているが、従来のオイルと異なる添加剤を採用することで、横力に応じて適度なフリクションを発生させる特性を持っている。さらにロッドガイドとピストン摺動部にテフロン系樹脂を使用するのは一般的であるが、今回はそこに配合させる添加剤と構造の変更が行われている。
また電子制御式のAVSは、走行状態や路面に応じてショックアブソーバーの減衰力を変えるものだが、従来のステッピングモーター式からリニアソレノイドバルブを搭載した新しいタイプになり、減衰力の調整範囲が飛躍的に拡大。調整幅も従来の9段階から無段階可変とキメ細かく、滑らかな調整が可能となった。新しいタイプでは減衰力の切り替え速度も4倍になり、路面や走行状態に応じてより瞬時に減衰力を切り替えられるため、フラット感と乗り心地の高い次元でのバランスが実現できる。
シャシー系での電子制御では、アジリティ向上のために新開発のブレーキ制御「ACA(アクティブコーナリングアシスト)」を搭載。これはVSC(ヴィークルスタビリティコントロール)でも使われる車輪速センサーやステアリング舵角センサー、ヨーおよびGセンサーからの情報によって、ブレーキECUがコーナリング中のフロント内輪にブレーキをかけて車両の旋回モーメントを作り出すスポーツドライビングのための制御といえる。高い横加速度領域で作動し、コーナーの立ち上がりなどでの旋回加速中のアンダーステアが抑えられ、限界付近の横加速度も高める効果がある。
また路面からの接地感や操舵フィールといったロードインフォメーションを高めるアイテムとして、新開発の高剛性コラムを採用。ステアリングホイールがつながるステアリングのシャフトを支持している部分だが、ここをアルミ製の高剛性ハウジングに変更してインパネ側のブラケットにガッチリとマウントし、ステアリングシャフトは1.5倍に大径化した。これによってステアリング上下および左右の剛性がバランスよく強化され、欧州競合車を完全に凌駕する数値をマークしている。電動パワステの制御も見直され、転舵からの中立側への戻し制御を加えて直進付近までより戻るようにしたほか、ブレーキングで伝わる振動に対して、逆入力振動抑制を加えている。これによって不快な振動のみを遮断した上質な操舵感を実現した。
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