信号機、パトカーや消防車、そして新型車…などなど、普段何気なく接しているクルマ界のモノたち。どんな過程を経て作られたり導入されたりしているのだろう?
「まーこんなでしょ?」となんとなくの把握はしていても、厳密にはご存知ないことも多いのでは? ということで大調査・大公開です!
【売れてるクルマにだって弱点はある!】知っておくべし! あのヒット車の“裏”の顔
※この記事は2017年のものです。
文・写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2017年6月10日号
■信号機
信号機は道路の新設や市民からの要望を聞いた各都道府県警が、実際に要望場所での交通量や危険性などを調査するところから始まる。この調査では当然、交通事故の発生件数や学童の通学路なども考慮される。この調査結果が各都道府県警本部に届き、公安委員会が審査し必要性の高いところから信号機を設置していく。
設置までの期間はおおむね2~3カ月。設置費用は定周期式(切り替わりのタイミングがあらかじめプログラムされた信号機。これに対してセンサーによって交通状況を読み取り切り替わりをコントロールするものを感応式信号機と呼ぶ)が300万~400万円だ。
市民からの要望で設置される信号機。お値段は定周期式300万~400万円、押しボタン式約200万円
■パトカー
パトカーには高速隊の「交通取締用四輪車」とパトロール用の「無線警ら車」があるが、各都道府県警が県費で購入している。翌年度ぶんの予算として必要なパトカーの台数を財務省に概算要求し、予算が成立した後に入札でパトカーの購入手続きが実施される。その年度末までに各都道府県の警察署に納入されることになるが、概算要求からパトカーの納入までは約1年半~2年かかる。
現行クラウンをベースとするパトロール用無線警ら車も続々と納入中
■消防ハシゴ車
モリタホールディングスのような消防車両の開発会社は、各社が導入決定機関である自治体へ自社モデルのPRを行う。導入決定の半年ほど前から車両の機能面などの詳細説明を行い、入札によって決められる。
モリタでは消防ハシゴ車完成までにハシゴの高速伸縮や耐久テストを繰り返し、半年間かけて1台を完成させるそうだ。その価格は30m級ハシゴ車で1台約1億5000万円!
■救急車
基本的には各消防本部の自治体が入札によって購入する。落札した販売業者は自動車メーカーに発注することになるが、自動車メーカーでは艤装メーカーに救急車の生産を依頼する。入札以外では企業や個人からの寄付もあり。その場合、救急車の車体には寄贈者名や助成車両マークが入る。
■自動車ディーラーの店舗
ディーラーは自動車メーカーと特約店契約を結んだ販売業者だが、運営している法人にはメーカー自身が経営している「メーカー系ディーラー」、地域有力者が経営権を持つ「地場系ディーラー」のふたつに分かれる。では、そのディーラーはどのようにして設立されるのだろうか。
最近の土地取得は賃貸主流
新規出店の場合は、その販売店の営業エリアとなるマーケットの人口規模、近隣のグループ販売店との統廃合などといった課題などを加味して検討が重ねられる。加えて、自社エリア内で競合店との販売競争が不利になっていたり、シェア的に弱い空白ポイントがあったりすると新規出店が立案されることになる。
その後、マーケティング調査を行って市場動向を把握した後、メーカーに出店計画を申請。メーカーからの許可が下りれば、今度は店舗用地を取得して店舗の建物と整備工場などの建設に取りかかることになる。最近では、土地取得は購入ではなく、賃貸であることも多いようだ。
1店舗おおむね3億~5億円
標準的な規模のディーラー建設に必要な敷地は約300坪。ショールームに3~4台の展示車が置けて整備工場と屋外展示スペース、来客駐車場などに約20台が置けるくらいの広さだ。陣容は営業スタッフとメカニック、受付など接客対応スタッフを含めて20人ほど。
1店舗開設(土地と建物)にかかるコストは、東京都心で約5億円、郊外エリアで約3億円と推定される。ちなみに日本車のディーラーのなかでも特にコストをかけているのがレクサス。店舗のみで約5億~6億円をかけているのだとか。
最近では古い店舗からの建て替えが多く、新規出店は珍しくなってきている
■スマートインターチェンジ
SA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)、バスストップから乗り降りできるように設置されたスマートインターチェンジ。全国でスマートインターチェンジを設置している箇所は96カ所ほどで、現在事業中の箇所は62カ所、準備段階のものは15カ所と、年々増殖中だ。
あしかけ6年、総事業費は約26億円
そのなかで、今年以降に開通が予定されている寄居PAスマートインターチェンジ(埼玉県)の場合、測量、設計を含めた事業開始が2012年度→用地買収が2013年度→文化財発掘調査&工事が2014年度→2018年以降供用開始予定というスケジュールになっている。総事業費は約26億円だとか。
関越道寄居PAスマートインターチェンジはPA接続型インターチェンジ。ETCを搭載した全車種対応で上下線とも出入り可能な一旦停止型フルインターだ(画像はイメージ)
■F1マシン
開発には1年半の長期間が費やされる
少し古いデータになってしまうが、2007年のF1マクラーレン・メルセデスのMP4-22は下の表のような開発スケジュールで登場した。おおむね開発期間は1年ちょっとだ。
このMP4-22はその前年の2006年シーズンを戦ったMP4-21が走行する前に始まっていた。エアロダイナミクスのコンセプトスケッチやクラッチ、ギアボックスの設計に関する会議は2005年12月にスタート。4500個もの部品と3500枚の工具設計図が使われた。
チームによって違いはあるが、当時での開発費は150億~600億円というから、現在のF1ではさらに高騰しているはずだ。
■新型車
経営会議から5~6年、正式なゴーサインから3~4年
新車開発のスタートはまずメーカー全体の事業計画のなかで、中長期戦略としてどのカテゴリーにどのような車種を投入するかといった全体的な計画を決めるのが、5~6年前。この計画をもとに「商品企画部」と「技術部」が会議を重ねて具体的なコンセプトを提案し、会社としての承認を受けてプロジェクトがスタートする(3~4年前)。
この段階で、新型車開発の要といえるチーフエンジニア(以下CE)が選任される。CEの仕事は陣頭指揮を執って開発チームを動かして新型車を作っていく。企画を渡されたCEは1年から2年の時間をかけてマーケティング部や先行開発部門、デザイン部門などに足を運び、商品概要を具体的な形にしていくのだ。
こうして企画の概要がまとめ上げられ、開発予算の算定ができると経営陣に上げられ承認を得るが、当然練り直しもある。
CEが、先行開発チームが開発したエンジンやトランスミッションなどの技術を受け継ぎ、開発試作車を作り、デザインチームに具体的なコンセプトやパッケージングを伝えてデザインが出来上がるのが、おおよそ発表日の1年半~2年前あたりとなる。
こうして各部の検討が一段落すると生産部門に移管され(1年前)、工場での生産性の確認やそれに伴う設計変更、デザイン変更などの作業に入り生産試作車によるテストを経て発表、発売を迎える。
開発予算は、エンジンやトランスミッション、プラットフォームも一新する新規投入車だと約1000億円、エンジンやトランスミッションが現行型からのキャリオーバーだと約300億~500億円かかるとされる。
プリウスのような基幹車種は800億~1000億円、マイチェンでも100億円はかかっているそうだ
■【番外コラム】東京モーターショーのコンパニオンが檜舞台に立つまで
体調管理も超重要!
モーターショーの華といえばコンパニオン。毎回、各メーカーのブースを華やかに盛り上げてくれる。ではこのコンパニオンの皆さま、いつ頃どうやって決められているのだろうか?
東京モーターショーの場合、コンパニオン募集は各メーカーが(開催年の)4月から開始。5月までにオーディションが行われ、合格者はマナー研修やクルマなどメーカーの自社製品商品知識研修を受け、10月の本番に臨む。
東京モーターショーはクルマ界で最も格式のあるイベントとなるため、その競争率は高く狭き門のようだ。オーディション合格のカギを握っているのは、やはりアピール力で、これは一般企業への就職活動にも通じる要素。
さらに本番までの体調管理と体型の維持も、コンパニオンならではの重要事項となる。費用(ギャラ)はブースによって異なるが、1日あたりの日当で、国産自動車メーカー>輸入車メーカー(インポーター)>部品メーカー の順で金額の高低があるそう。とはいえ研修も入れると1ヶ月近く拘束されるため、この仕事はコンパニオンにとって羨望の的だとのことです。
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