走るシーンだけでなくクルマの生涯で見たCO2排出量を考えている
最近、マツダのエンジン開発が活発化している。ディーゼルエンジンではCX-8のSKYACTIV-D 2.2から新しい考え方である「急速多段燃焼」を採用、CX-5のディーゼルエンジンもマイナーチェンジによって同様に進化させた。また、2017年の東京モーターショーで展示した、自己着火をコントロールするSPCCIを採用する新しいガソリンエンジン「SKYACTIV-X」の登場も予告されている。そうした内燃機関の進歩を支えるのは、環境に対するマツダの考え方にある。
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自動車におけるCO2排出量を自動車単体で考えるのではなく、Well to Wheel(エネルギーの採掘・製造・輸送段階のCO2排出量までも考慮した考え方)によって評価するということも前面に押し出しているのだ。つまり走行中は排ガスを出さないゼロエミッションであるEVであっても発電時に化石燃料を使っているのであればCO2をはじめゼロエミッションとは言えないという指摘だ。
燃費(熱効率)に優れたエンジンを生み出せば、送電ロスなどを考慮すると、EVよりもWell to WheelにおいてCO2排出量を減らすことができるという見方だ。
たとえば2016年のデータでいうと、日本の化石燃料による発電は発電量ベースで84%弱となっている。この状況ではEVにシフトしたといっても大筋ではCO2削減につながらないという主張である。一方で、フランスのように化石燃料の発電比率が6%程度(原子力発電が8割弱)となっている国もある。
そして、先進国でいうと日本の化石燃料比率は圧倒的に高い(イタリアやイギリスは5~6割程度、アメリカでも7割弱)。日本ではWell toWheelからメリットが感じづらいEVも、グローバルにみればパリ協定の実現に向けて欠かせないピースとなっている。そうした状況において、内燃機関推しのマツダは生き残っていけるのか、そんな疑問も出てくるだろう。
しかし、心配ご無用。すでに報道されているようにマツダはトヨタなどと共同出資をしたEVの基本となる技術開発を進める会社を興すなど、EVへのアプローチも始めている。実際、マツダの次世代技術導入ロードマップを見れば、2019年にはEVをローンチする予定となっている。その計画に、レンジエクステンダーEV(発電用エンジンを積んだ電気自動車)が含まれているのは、マツダらしいところであるし、そこに小型・高出力エンジンであるロータリーエンジンが採用されるという期待も高まっているところだ。
マツダ自身、内燃機関だけで走るクルマは2020年頃をピークに減っていくと予想している。しかし、ハイブリッドカー、レンジエクステンダーEV、プラグインハイブリッドなどなどエンジンを搭載する電動車両に置き換わる傾向にあり、いわゆるゼロエミッションビークルが多数派になるには、まだまだ時間がかかると考えているようだ。つまり、内燃機関を磨くことは環境対応としても欠かせず、また自動車メーカーとして生き残るのに必須というのが、マツダの考える未来予想図なのである。
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