今回はフランスからのレポートです。私たちが高速列車というと新幹線ですよね、やはり。しかし、それと並ぶくらい有名な、そして新幹線よりもより高速な列車という印象があるのは、フランスのTGVではないでしょうか。
80年代には世界最速の高速鉄道として有名に
TGVはフランス国鉄 (SNCF、写真の車両にも書いてありますね。) が運行する高速鉄道の車両、およびそれの運行形態、システムとしての総称だそうです。名称の「TGV」は高速列車を意味するフランス語「Train à Grande Vitesse」にちなむ(trainは列車、grandeは大きい、vitesseは速度を意味)。開発されたのは日本の新幹線の工事が着工した直後。1960年代のこと。そう考えると新幹線が触発した面もあるのかも。
鼻が高いような気がしますね。1970年代、80年代には世界最速の高速鉄道として有名になりました。当初車両はオレンジ色で、この印象を持っている方も多いのではないでしょうか。平坦でカーブもトンネルも新幹線に比べて少ないこともあって、鉄道の速度記録を更新するのはTGV。そんなことで、ある種の憧れの存在、それがTGVと言ってもいいかもしれません。
イタリアのユーロスターやベルギーのタリスの他にもさまざまな国へこのシステムは輸出されているそうです。日本の新幹線も、速度と安全性のバランスの高さから採用する国も多いようですが、並んで、世界最高水準の高速列車ソリューションであると言っても過言ではないのだと思います。高速列車ですので、軌道はさぞや広いのかと思いきや、幅としては1435mm。標準軌と同じなのだそうです。
合理化された仕組み
TGVがその性能を発揮し高速走行が可能な専用軌道はLGV(Ligne à Grande Vitesse:高速線の意)と呼ばれ、一応郊外に出てからは専用の線路があるのですが、ここも軌間だけはSNCFの在来線と同一なのだそうです。これにより、線路際の干渉物やトンネル、鉄橋といった構造物を設計する際の車両限界なども在来線とほぼ共通の設計にでき、用地買収の難しい都市部において新線建設の必要がないなどの合理化が可能というメリットがあるのです。
このため、都市部では既存の線路を走行し、市街地を出ると線形のよいLGVに入って高速走行することが可能で、ターミナル駅は在来線と共用だったりします。そして、またフランスを含むヨーロッパの多くの国でも標準軌が採用されているため、他国に直通運転にも適しているのだとか。さすが合理主義のフランスの仕組みだと思わせる一面ですね。これも一度乗ってみたい列車だったりします。こんなレポートを見ていたら、国内でさえ「列車の旅」久しぶりにしてみたくなりますね。
[ライター/CL編集部・中込健太郎 カメラ/ドイツ駐在員]
※当記事は過去公開した記事の再編集版です
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