2017年9月から『ヤングマガジン』に連載がスタートしている『MFゴースト』(しげの秀一著)。本企画ではそのしげの氏に、『頭文字D』との関係や自身の自動車観、これから描きたいことなど、60分にわたってインタビューしました。
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文:ベストカー編集部
ベストカー2018年1/26号より
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■主人公の愛車に86を選んだ理由は?
『ベストカー』本郷編集長(以下、本郷) いきなりで恐縮ですが、『MFゴースト』の第7話からトヨタ86が登場して「オオッ!」と思いました。最初から86を登場させるつもりでしたか?
しげの秀一氏(以下、しげの) そうですね。『頭文字D』を描いた時の愛車はAE86でした。前期型の白・黒のトレノ。今の愛車は赤の86、前期型のGTです。自分の愛車を主人公に乗せてしまう、それは、やっぱりクルマのことを知らないとなかなか描けないからです。
本郷 では86を選んだ理由はどのあたりにあるのですか?
しげの 「ハチロク」という響きがとてもいいことが一番の理由です。もうひとつ、主人公として扱うには86ってドンピシャじゃないですか。もちろん『頭文字D』のオマージュみたいなものもあります。
本郷 わたしたちファンからも、しげのさんの作品に86が登場するとうれしいです。
しげの 『スター・ウォーズ』のように、キーワードで読者の心をくすぐれたらと思ったんです。あと『頭文字D』のことで少し付け加えておくと、AE86はボクが有名にしたと思われているけれど、その前から『CAR BOY』とか『Option』といったカー雑誌がAE86を盛んに取り上げていて、大ブームだったんですよ。ボクの愛車が皆を引きつけるモデルだったということは、今でも幸運だったと思っています。
本郷 そうなんですね。しげのさんはAE86が発売になったと同時(1983年)に購入されたとお聞きしました。
しげの そうです。その後AE86が「峠」御用達のカリスマモデルになっていくことなど考えもせずに、単純にかっこいい、それだけで買いました。1984年に土屋圭市さんが富士フレッシュマンレースのAE86クラスでドリフトしながら全勝しちゃうんだけど、あれでAE86が凄いクルマなんだと皆が驚いたんですよ。
新型86のほうは、すっかりクルマとして評価が定まってから手に入れて、作品にしたので、「後出しじゃんけんかな」と思ったりします。
しげの先生の最新作『MFゴースト』では第1話からGT-Rが激走。長年のファンも万感の思い
■EVもハイブリッドも出場資格がない
本郷 (作品の中での)ライバル車というか、86の相手になるクルマがすごいじゃないですか。あれはどういった基準で選ばれるのですか?
しげの 現時点で最も新しいクルマにしようと思いました。『MFゴースト』は202X年を舞台にしています。今から10年ほどあとの話になります。その時にリアリティがあるクルマにしよう、基本はスーパーGTに出場しているクルマを出そうと思いました。
本郷 モータースポーツはけっこうご覧になりますか?
しげの 最近見ませんが、すごく見ていた時代があります。ちょうどロードレースの世界選手権でワイン・ガードナーがホンダで強かった1980年代後半、F1も、ロータス・ホンダで中嶋悟さんが活躍した1980年代の終わりからセナとプロストの時代、さらにシューマッハが活躍した2000年代くらいまでけっこう見ていましたね。
本郷 やっぱり日本人が活躍しないとモータースポーツは面白くありませんよね。少し話を変えさせてください。自動運転と電動化というベストカーの読者が、あまり好きではない動きが進んでいます。しげのさんは、この動きどう思われますか?
しげの ボクもベストカーの読者だから好きじゃありませんよ(笑)。
本郷 じゃ、EVは物語に登場しないんですか。
しげの 今回設定した「MFG」というレースには、EVもディーゼルもハイブリッドも参加資格がないんです。
本郷 厳しいですね。NSXはどうするんですか?
しげの 厳しいでしょう? NSXはハイブリッドシステムを外して登場します。それくらい内燃機関にこだわった設定にしています。フォーミュラEとか、テレビで見ていてもあまり興奮しませんよね。クルマ乗り換えて走るとか、かっこよくないですよね。
本郷 自動運転はどうですか?
しげの 完全な自動運転ではありませんが、ゴルフの帰りとかに、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)使うと便利ですよね。これから自動運転が普及すれば事故も減るだろうから、歓迎すべきことなのかもしれませんが、自動運転がなかった時代のほうがよかったという思いはあります。
本郷 そう考えると描きにくい時代になりましたか?
しげの そうなんです。だからこそ(作品世界は)一気に未来に飛んじゃったんです。描いているうちにその世界観が「なんか苦しいね」、「なんか微妙だね」ってなるのがイヤで、10年も先だとわからないから、自由に描けるじゃないですか。
最新作で峠を爆走するトヨタ・86。しげの氏の描く走行シーンは相変わらず手に汗握る迫力
■ポルシェやフェラーリが公道でケンカ
本郷 その未来はダークな感じですが、その狙いを教えてください。
しげの ものすごいネガティブな世界のなかにロマンが展開できると思い、あえてそうしています。MFGは10年後の「クラシックカーレース」だと思っていただけるとわかりやすいかもしれません。
本郷 しげのさんのスタイルとして、実車にこだわっていらっしゃいますね。
しげの そうなんですよ。絶対に実車を見ないとダメですね。あと助手席ですけど、隣に必ず乗せてもらうようにしています。少ない情報かもしれませんが、あれがすごくボクにとっては効くんですよ。たぶん、情報がありすぎてもダメで、少ない情報からいろいろ膨らませていき、独自の世界観が出せたらと思います。
本郷 しげのさんは、そのあたりすごくピュアで僕らみたいな「クルマずれ」していないことを感じます。
しげの いえいえ、単純なんですよ。ポルシェやフェラーリやランボルギーニが公道で本気でケンカするなんて、実際にはないじゃないですか? でも本当に起こったらゾクゾクするだろうし、漫画ならできると、そこがエネルギーになっていますね。
本郷 話は変わりますが、もし物故者を含めて自動車関係者1人と1時間だけ会えるとしたら、どなたに会いたいですか?
しげの 心底憧れ、リスペクトしているのはアイルトン・セナなんです。速いドライバーはたくさんいるけれど、本当に天才という称号にふさわしいのはセナだけだと思っています。
本郷 もし、セナがここに降りてきたらどんなお話をしますか?
しげの いや、話せないんじゃないですか!? とりあえず記念写真を撮らせてもらいます(笑)。いろんな伝説があったでしょう。天候を変えてしまうとか、5速しかなくても勝ったとか、たくさんエピソードがありますが、本当なのか聞くと楽しそうですね。
本郷 最後に『MFゴースト』はこれからどんなところに期待したらいいですかね?
しげの たくさん見どころを作っていきますが、クルマの楽しさ、それはこの先も変わらないということを伝えていけたらなと思います。
しげの秀一氏 1958年新潟県生まれ。1981年漫画家デビュー、1983年『バリバリ伝説』が週刊少年マガジンで大ヒットする。1995年から2013年まで週刊『ヤングマガジン』で『頭文字D』を連載、単行本累計5000万部の大ヒットになる。2017年9月から週刊ヤングマガジンで『MFゴースト』を連載中。
『MFゴースト』西暦202X年、自動運転が普及した日本。世界中の人気を集める公道レースの名を「MFG」といい、その開幕戦が小田原のパイクスピークで行われる。そこにイギリスのレーシングスクールをトップで卒業した天才ドライバー、カナタ・リヴィントンが帰国し、レースに参戦するところから物語は始まる。第1巻、絶賛発売中&早くも大重版。表紙をクリックすると公式サイトに飛べ、第一話が無料で読めます。
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