これまで自動車メーカーは数々の技術革新を重ねてきた。その進化の中心にはいつもエンジン即ち内燃機関がいた。EVシフトが騒がれる昨今だが、エンジンにはやっぱり代え難い魅力がある! そこで、本記事では日産のベストエンジン車を、ターボとNAそれぞれで選出。対象は現行モデルのみ。ハイブリッドやEV、FCVは除き、“純粋な内燃機関”として最も優れるエンジンはどれか!?
文:国沢光宏/写真:NISSAN
ベストカー2017年12月10日号
『メーカー対抗エンジン選手権』より
ほぼマンツーマン!? NISMO車限定 日産の一流レーサーが教える運転講座が超豪華な理由
日産のベストターボエンジン車はGT-R
イヤーモデル制を採るGT-Rは11月16日に2018年モデルが発売
日産のベストターボ、GT-Rは、世界的にも見てもトップクラスのパフォーマンスを持っている。
なんたってイマドキひとりで丁寧に組み上げるエンジンなど希少品。1基組むのに1日かかるというからありがたくなるってモンです。シリンダーライナーなし(その代わりプラズマコーティング)という新しい手法が取り入れられており、エンジン出力からすればコンパクト。
人によっては「直噴じゃないので古い!」という評価もあるけれど、実用性を考えれば吸気ポートにススが付きやすい(EGR=排気再循環によって付くススはポート噴射だとガソリンで洗い流される)直噴より長持ちする?
そもそも競技で使うワケじゃないため、ニスモ用の600ps/66.5kgmなど使い切れないほどのパワーと言ってよかろう。ノーマルの570ps/65.0kgmだって満腹です。
参考までに書いておくとポルシェ911の『ターボS』に搭載される3.8L、6気筒ターボで580ps/71.4kgm。こいつの価格は2630万円である。1023万円で買えるGT-Rのピュアエディション、超お値打ちだと思う。GT-Rのスペック持つエンジンを搭載するモデルとして考えるなら、圧倒的。原稿書いていても欲しくなってしまうほど。日産の良心か?
また、スポーツターボの場合、エンジンと同じくらい重要なトランスミッションは6速ツインクラッチ。7速だったらさらによかったけれど、まぁGT-Rのエンジンはトルクバンド広いため乗っていて「7速じゃなくちゃダメだ」と思うことなどなし。
いずれにしろ日産のベスト車というより、日本のベスト車と紹介させていただきたいと思う。お金持ちなら長く持つつもりで。
■VR38DETT型エンジン【GT-R】
・形式:V6DOHCツインターボ
・排気量:3799cc
・最高出力:600ps/6800rpm
・最大トルク:66.5kgm/3600-5600rpm
日産のベストNAエンジン車はZ NISMO
7月に改良を行ったフェアレディZ NISMO。エンジンは非NISMOモデルとは出力が異なる専用仕様だ
日産のベストNA車は迷うことなくフェアレディZ NISMO。GT-Rの陰に隠れてしまっているが、3.7LのNAで355ps/38.1kgmは立派なスペックだ。
なんたってR34スカイラインGT-Rに搭載されていた、当時最強のRB26DETTを、3.7LのNAで上回っているのだから。同時代のポルシェ911に搭載されていた3.5Lと“ほぼ”同じスペックを持つ。
乗っても楽しいエンジンである。フェアレディZという車、ホイールベース短いため前後の荷重移動が大きくて落ち着かない挙動ながら、エンジンのすばらしさに救われている感じ。
マニュアルミッションに採用されている、シフトダウンの時の回転数を合わせてくれる制御など絶妙。次期型フェアレディZをひと回り小型化し、このエンジンなど搭載したら楽しいかも。やっぱし古いか?
■VQ37VHR型エンジン【フェアレディZ】
・形式:V6DOHC
・排気量:3696cc
・最高出力:355ps/7400rpm
・最大トルク:38.1kgm/5200rpm
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