今回の広州モーターショーでは確かにEV(電気自動車)も多く登場したのだが、ちょっと注目されたのがミニバンの登場だ。ここには見逃せない大きな動きが関わっている。REPORT◎松永大演(CarStyling編集長)
中国市場では高額収入者が増えることによって、高級車の販売が好調だ。その中には当然ながら高級クロスオーバーSUVも含まれるが、現在注目されているトレンドが小型のクロスオーバーSUVだ。ブランドや歴史が重要となる高級車部門では主役は欧州車となるが、小型のカテゴリーであれば、ブランドにこだわるユーザーばかりではない。そのため、中国のさまざまなブランドが個性的な小型SUVを提案しており、また注目を受けている。
『C001』流麗さに隠されたホンダの中国デザイン戦略@広州モーターショー2017
今となれば、もはやコピー商品という傾向はかなりなくなり、それぞれがオリジナルデザインの構築に躍起になっている。
高速道路ですら陥没のある場所もあるほど道路事情の悪い中国にあっては、SUVのニーズは高く、こぞってハイエンドメーカーすらもSUVを開発しているのは、そのためだ。
ところで、今回の広州ショーではまた異なるモデルも登場していた。それがミニバン=多人数乗車モデルである。割とゴージャスで、煌びやかな方向に進みつつある中国が、なぜに生活感の強いモデルにも着目し始めたのか。
それは2015年の、ある規制の解除にさかのぼる。(次ページへ続く)
それが1979年に施行された、一人っ子政策の解除だ。この一人っ子政策とは、人口調整の狙いにしたがって実施されたもの。
とあるメーカーのモーターショー用プロモーションビデオでは、小さな兄妹が手をつないでミニバンに乗るシーンがある。日本にとってみればごくありふれたワンシーンだが、中国ではここ37年間の間に誕生した家族にはありえなかった光景なのだ。家族、祖父母での移動でも5人を超えることがなかったので、多人数乗車の3列シートを持つミニバンは、商用車としてのニーズがほとんどだった。
それが2015年以降、親、兄妹、祖父母といった6人を超えることから、3列シートミニバンがにわかに脚光を浴びてきた。
中国市場としては、より広い層に車が新問していく時代を迎えるとするならば、このミニバン市場は新たなステージとして注目されるものとなるだろう。
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