ついにベールを脱いだ新型アストンマーティン・ヴァンテージ。最新モデルが新たに採用したEデフとアダプティブ・ダンピングシステムはアストンマーティンのダイナミクス性能に新局面をもたらすのか? 寒冷地試験場でのテストに帯同し、電子制御化の効果を聞いた。
スウェーデンの北極圏、アルビッツヤウルは欧州自動車メーカーのテストコース銀座だ。中でもひときわ巨大なのはメガサプライヤーのコンチネンタルの冬季試験場で、多くの自動車メーカーがここで合同テストを行っている。2017年2月、新型ヴァンテージのプロトタイプテストを取材するべく、筆者はこの地を訪れた。
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エンジニア氏の案内でテストコース内のガレージに入ると寸詰まったDB11が置かれていた。ヴァンテージのプロトタイプである。自動車メーカーが新型車を製作する際、まずシャシーとパワートレインを載せるための台車を作って試行錯誤を繰り返す。今どきはシミュレータである程度、精度の高い解析ができるが、やはりプロトタイプを製作し、泥臭く作らないとできない部分は多い。
プロトタイプのため当然ながら運転は許されない。テストドライバー運転の同乗試乗と相成った。
テストコースを出て、一般道を封鎖した林道にステージを移してテストを行う。途中パパラッチの盗撮を横目に見つつ、山道の入り口に着いた。2車線だから先ほどよりも道幅は広い。封鎖しているとはいえ、あくまで一般道だ。トナカイが出てこないとも限らないから緊張は高まる。ちなみにテストコースは全周フェンスで囲われており、トナカイの侵入はある程度防げる。ワインディングを駆け上がりながら、バーロン氏に一般道テストの意味を問うと、重視しているのは官能評価だという。なるほど、テストコースで試すような限界性能だけではなく、ドライバーとの対話を大切にするアストンマーティンらしいと感じた。
新型ヴァンテージはアジリティ、レスポンス、そこから来る感動にさらに磨きをかけたという。そのカギとなるのがEデフだ。自然な操作感と接地感を得るべく、これらの電子制御のセッティングに膨大な時間が注がれた。まずは新しいスポーツカーの誕生を祝福したい。
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