最近F1見てますか? 自動車レースの最高峰でありながら、ここ最近は地上波でのテレビ放映がなくなったこともあって、今イチ話題になることが少なくなっています。しかし「日本GP」といえば話は別。なにしろ自動車大国ニッポン。2017年のF1鈴鹿GP、観客数は(残念ながら過去最低となってしまったが)開催期間3日間でのべ13万7000人にのぼりました。
そんなF1を幸運にもバックヤードにて観戦する機会を得た自動車ジャーナリストの鈴木直也氏が、ルノーF1と最新のF1マシンについてレポートします
【速報】鈴鹿F1日本GPに行ったらルノーF1チームが新型カングーをテスト利用してた??
文:鈴木直也 写真:RENAULT SPORT、編集部
■損得を考えるならF1はやらないほうがいい
ホンダの低迷もあって最近ちょっとF1の人気がパッとしないようだが、こういうお祭りは継続することが大事だ。
そういう意味では今年F1参戦40周年となるルノーは立派。基本的にルノーは大衆車メーカーだから、F1活動が販売促進の糧となるかというと微妙だが、「損得」だけを考えるなら最初からF1なんかやらないほうがイイ。やると楽しいからやる。やると燃えるからやる。スポーツというのは本来そういうものだろう。
もちろん、ルノーにとってのF1だって「いい時」もあり「悪い時」もありで、一度ならず撤退を噂されたことはあったけれど、気がつけばフェラーリ同様「居て当たり前」の存在。F1にとって不可欠のメンバーとなっている。
今回ぼくはルノー・ジャポン(とチーム関係者のFさん)のはからいで鈴鹿の日本GPをバックステージから取材してきたのだが、まず感じたのは心地よい仲間意識だ。F1ソサエティの誰もがルノーの存在をリスペクトしている……。ぼくみたいなただの「お客さん」でも、ルノーチームの周りにそういう暖かい雰囲気がじんわり漂っているのがわかるのだ。
それはたぶん、ルノーがF1に参加するにあたって、あんまり無理をしていないからだと思う。
■ルノーのF1には「無理をしてない感じ」がする
エンジンファクトリーだけで450名が働いているという話を聞けば、そりゃ予算は決して少なくないとは思うが、レッドブルとトロ・ロッソ、そしてルノー本体の3チームがパワーユニットを使って、レッドブルを筆頭にそれなりの成績もあげている。チャンピオンを狙うレッドブルにしてみれば、もっとシャカリキになって欲しいところだろうが、メルセデスやフェラーリほどカリカリしていないのがルノーらしい。
こういう自然体のモータースポーツとの関わり方は、ルノーという会社、そしてルノーというクルマのキャラクターにも通じるものがある。ルノーみたいな大衆車メーカーがF1というトップカテゴリーに長く留まるには、ガツガツせず少し肩の力を抜いたスタンスが大事。しみじみ「ルノーは上手くやってるなぁ」と、ついホンダと対比したり余計なことを考えてしまう。
さて、そんなほのぼのルノーチームではあるが、ピットの中に一歩足を踏み入れると想像を絶する世界が広がっているのに驚かされた。
■巨大な実験室のような光景
ピットやピット裏のガレージというのは、基本的にレースの時だけ設営される仮設のもの。レースが終われれば解体されて元のガランとした空間に戻る。それが常識だ。
ところが、F1のそれはまるで工場がそのまま移転してきたかのごとく設備や環境が完璧に整備されていて、なおかつ一部には研究所のテストラボ的な機能までが備わっている。
今回はルノーチームでプレス担当をやっているデヴィッドさんに、普通はあんまり見れないガレージ内の秘密の小部屋まで案内していただいたのだが、見えないところでこんな凄いことが行われていたのか!という驚きの連続だった。
たとえば、走行を終わったクルマからオイルのサンプルを抽出して、それを即座にガスクロマトグラフィ分析器にかけて不純物の検出するなんてことをやってる。
現在のF1は年間20レースをエンジン4基で回さなければいけないレギュレーションだから、トラブルの兆候があればできる限り早く発見しなければならない。デヴィッドさんに「まるで健康診断の血液検査みたいだね」と言ったら、「そのとおり! 人間と同じく病気の兆候は早期発見が一番だよ」という返事。現在のF1はこのレベルが当たり前なのだ。
■最先端のコネクテッドカー
データの処理に関しても、以前はピット内のコンピュータですべて処理していたものが、現在はインターネット経由でヨーロッパの本拠地にデータを送り、より高速なクラウドで処理した結果を受け取るシステム。しかも、それはレース中のタイヤ温度分析など、完全なリアルタイム性を要求されるクリティカルミッションにも応用されている。
まぁ、考えてみればぼくらがiPhoneのSiriに話しかけている音声認識だって、インターネット経由でクラウドの認識エンジンで処理されて返ってくるわけだから今や特別な技術ではないのだが、あらためてF1が最先端の「コネクテッドカー」であることを再認識するエピソード。F1はチームラジオとテレメトリーでピットとつながっているだけじゃなく、インターネット経由で走りながらファクトリーともデータ通信を行なっているわけだ。
■それでも「たった一人」のドライビングが左右する
そんな高度なテクノロジーに支えられているF1だが、最終的にステアリングを握るのはひとりの人間であるという点がまたオモシロイところだ。現代のレーシングドライバーは、速さはもちろんだが決められたオペレーションを正確に実行する能力もきわめて重要とされている。しかし、それでもドライバーも生身の人間だから熱くなるし、レースは戦いだから予測不可能なことも起こる。
今回ルノーF1チームはタイヤ交換で1ストップ作戦を実行し、エースのニコ・ヒュンケンベルグが40ラップ目までソフトタイヤを引っ張って6位につけていたのだが、残り13ラップで満を侍してスーパーソフトに交換してコースに復帰したところ、予想外のウイングトラブルが発生。DRS用のフラップヒンジが破損してリタイアを余儀なくされてしまった。
これもレースといえばレースなのだが、わずか全長5cmくらいのチタニウムのパーツが壊れただけで、莫大なコストと膨大な人員が関わったプロジェクトが失敗に終わる。F1の凄さ、面白さ、そして恐ろしさを立て続けに味わった、とっても密度の濃い週末でございました。
【ルノーF1参戦40周年記念動画】
【F1 2017年シーズン成績&日程(10/13時点)】
■コンストラクターズランキング
1位 540p メルセデス
2位 395p フェラーリ
3位 303p レッドブル
4位 157p フォース・インディア
5位 69p ウィリアムズ
6位 52p トロ・ロッソ
7位 43p ハース
8位 42p ルノー
9位 23p マクラーレン・ホンダ
10位 5p ザウバー
■ドライバーランキング
1位 306p ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2位 247p セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
3位 243p バルテリ・ボッタス(メルセデス)
4位 192p ダニエル・リカルド(レッドブル)
5位 148p キミ・ライコネン(フェラーリ)
6位 111p マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
7位 84p セルジオ・ペレス(フォース・インディア)
8位 63p エステバン・オコン(フォース・インディア)
9位 48p カルロス・サインツ(トロ・ロッソ)
10位 34p ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)
(以下略)
■2017年 日程(決勝日)
第1戦 オーストラリアGP 3月26日
第2戦 中国GP 4月9日
第3戦 バーレーンGP 4月16日
第4戦 ロシアGP 4月30日
第5戦 スペインGP 5月14日
第6戦 モナコGP 5月28日
第7戦 カナダGP 6月11日
第8戦 アゼルバイジャンGP 6月25日
第9戦 オーストリアGP 7月9日
第10戦 イギリスGP 7月16日
第11戦 ハンガリーGP 7月30日
第12戦 ベルギーGP 8月27日
第13戦 イタリアGP 9月3日
第14戦 シンガポールGP 9月17日
第15戦 マレーシアGP 10月1日
第16戦 日本GP 10月8日
第17戦 アメリカGP 10月22日
第18戦 メキシコGP 10月29日
第19戦 ブラジルGP 11月12日
第20戦 アブダビGP 11月26日
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