車検自体の費用は変わらないがトータルでは手間や費用が増す
日本には車検制度があるが、車検が切れた状態で走っているクルマも20万台程度は存在すると推定されている。
そうした車両を発見すべく、可搬式の「ナンバー自動読取装置」によって、車検切れ車両を把握するといった施策を取ることを国土交通省が発表したというニュースも記憶に新しい。
そして、日本の制度においては車検が切れた状態というのは、自賠責保険に未加入状態とニアリーイコール。四輪車だけでなく、原付バイクまで公道を走る際には自賠責保険(共済)に加入していることは必須となっている。未加入で運行した場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金、さらに無保険での運転は違反点数6点の交通違反であり、即免停となるほどの重い罰則が課せられる。すなわち車検が切れた状態というのは、許されないのだ。
では、うっかり車検が切れてしまったクルマの車検を取ろうとすると、余計なコストがかかるのだろうか。しかし意外にも、ユーザー車検で、運輸支局等に持ち込んで検査を受けるという前提でいえば、検査料自体は変わらない。
いわゆるナンバーがついた状態のクルマであれば、たとえ車検が切れていても、車検が切れる前のクルマと同じように継続車検を受けることが可能だ。つまり、検査料に関していえば軽自動車で1400円、小型車で1700円、普通車で1800円となっているのだ。
ただし、車検が切れた状態で公道を走ることはできない。持ち込み検査をするため運輸支局や軽自動車検査協会などに、合法的に車両を運ぶ必要がある。そのための、主だった手段は次の2つとなる。
1)仮ナンバー(臨時運行許可)を借りて運ぶ
2)ローダー(キャリアカー)などで運ぶ
いずれも余計なコストになるが、仮ナンバーを市町村から借りるための手数料は750円なので、この手を使えば金額的な負担はそれほど変わらないだろう。ただし、仮ナンバーを借りるために余計な手間がかかるのは同様であるし、仮ナンバーの有効な期間は長くても5日以内なので、整備が必要なクルマでは「自宅(駐車場)から整備工場」、「整備工場から運輸支局」と二度借りる必要が出てくるケースもあるだろう。さらに整備に時間がかかる場合は、自賠責保険の加入についての条件も変わってくるので、さらに余計なコスト がかかることもある。
そう、冒頭で自賠責保険について触れたが、仮ナンバー時でも自賠責保険に入っていることは必須なのだ。もっとも、そこまで整備が必要なクルマでは仮ナンバーをつけて自走すること自体がリスキーなので、やはりローダーと呼ばれる自動車運搬用のクルマを使って運んだほうが安心だろう。なお、ローダーを一般のレンタカーで見つけることは容易だが、料金的には半日で1万円以上はかかると考えておきたい。
なお、車検や自賠責保険が切れていると、どんな状態でも公道走行はNGなので、レッカー業者でも基本的には引き受けてもらえないし、たとえば友人に頼んで牽引してもらうという手は使えない。その状態で見つかると、冒頭で記したような罰則を受けることになる。
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