自主的な改修はヨーロッパのみで実施
ヨーロッパからの第一報は7月13日のことだった。「メルセデス・ベンツがヨーロッパで販売したディーゼルエンジンに排気ガス不正の疑い」という内容。これに対するメルセデスの対応は驚くほど早かった! 一週間後の7月20日に「販売済みの300万台を自主的に改修する」。
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この対応、ヨーロッパの当局と「打ち合わせした結果」だとすれば、VWと違い大きな騒ぎにならないかもしれない。けれど内容的に悪質と言うことになれば(VWと同じく排気ガス試験の時だけクリーンになるというディフィートデバイス)、おそらく簡単に終わらないと考えていいだろう。
ちなみにこの対策費用としてメルセデスが計上した予算は1台あたり8500円程度。金額からすれば部品の交換でなく、エンジン制御コンピュターのアップデートということになる。制御内容で最も疑われるのはディフィートデバイスだ。果たしてどうなるか、現時点では読めない。
そんな中、メルセデス・ベンツ日本がリリース出した。内容を見ると「今回の補修はヨーロッパのみで実施。現時点では日本を含め他のマーケットでは実施しない」。リリースを読んで驚いた。というのも300万台の内訳は、2011年以降に欧州で生産された”ほぼ”すべてのディーゼル車になっている。
メルセデス・ベンツ日本のリリースによれば「日本仕様は制御あるいはハード、もしくは両方異なるため日本は(サービスキャンペーンの)対象外」だという。もし日本やアメリカ向けエンジンが「セーフ」なら、ヨーロッパ仕様だけ組み込まれていたプログラムということで、ヨーロッパ市場からすれば一段と悪質。
ヨーロッパの状況を取材しようと思っていたらメルセデス・ベンツ日本から追加のリリースが出た。曰く「国内の車両への対応については詳細情報出てから判断する」。当然のことである。そもそも、なんで「日本は実施しない」と言い切ったのか全く理解出来ない。相当の確率で日本も対象になるだろう。
VWから始まったディーゼル不正問題で初めての日本対象車になるかもしれない。アメリカで販売されていた車両も対象になる可能性が大きくなってきた。国交省はアメリカと同じ方針を取るだろうから、寛大な処置なら自主改良になる。VWと同じ厳しい処置であれば日本も大きな問題になると思う。
ちなみにメルセデス・ベンツ日本が詳細も分かっていない段階で「日本では実施しない」というリリースを出したことに対し、国交省はカンカンだという。確かに国交省のメンツ丸潰れ。日本の自動車メーカーなら考えられないお粗末な対応である。もう少し慎重になるべきだ。
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