スタリオンの後継とデビューしたスポーツモデル
三菱GTOは、グループAレースのインターテックなどでも活躍したスタリオンの後継車として、1990年にデビュー。
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三菱には、1970年代にギャランGTOというクルマがあった。ライバルのセリカが80万円ぐらいだったのに、120万円と強気なプライスをつけたため、販売台数は……。そのGTOのネーミングが復活しての登場だった。
ちなみに、GTOという名称は三菱のオリジナルではなく、世界的には、フェラーリ250GTO(1962年 オークションで65億円の値がついた)と、フェラーリの288GTOが有名。
GTOは「Gran Turismo Omologato」の略で、レースのGTカークラスの公認(ホモロゲーション)取得車両という意味。フェラーリのGTOは、名前のとおり競技車両ベースだったが、三菱のGTOは、新旧ともにモータースポーツのイメージは薄い。
しかし、じつはN1耐久選手権にも参戦しており、クラス1で、打倒スカイラインR32GT-Rを本気で目指していた時期がある(最高位は2位)。そんなGTOのメインターゲットは、アメリカ市場。
当時の三菱の主力セダンのひとつだったディアマンテがベース。最大トルク43.5kgf·m(280馬力)とかなり強力な3リッターV型6気筒のツインターボエンジン=6G72型を横置きにマウントしたFFベースの4WD車だった。
スタイリングは、当時のランバル車の中でも一際広い全幅1840mmを誇り、全高が1285mmだったので、かなりロー&ワイド。プアマンズ・フェラーリと評する人もいたようだが、サイドダムのエアインテークがダミーだったり、かなりトホホな部分も。
一方で、可変リヤスポイラー及びアクティブエアロシステムや、スイッチで排気音を変えられるアクティブエグゾーストシステムなど、ちょっと変わった機能も付いていた(いずれも日本初)。
ライバル視していた日産R32GT-Rを凌ぐ空力とエンジン
三菱が久しぶりに登場させたスポーツモデルということもあり、実力的に評価できる部分も少なくない。
まず、前記のV6ターボエンジン。このエンジンの低速トルクは、当時としては無比無類で、アイドリングのまま6速発進ができたほど! GT-RのRB26エンジンよりも、400cc排気量が多い分、ブーストアップチューンだけでも、驚くほどパワフルになった。
また、ブレーキはアルミ製4ポット異径対向ピストンブレーキキャリパーを、国産車で初めて採用。1994年のマイナーチェンジでは、GT-Rのブレンボブレーキに対抗し、APロッキード製6ポットブレーキ(!)のオプションも用意(レーシングカー以外ではほとんど見たことがない)。
また、ゲトラグ社のミッション(5速MT、中期以降は6速MT)を採用したのも、GTOが最初。GTOが、ライバル視していたR32GT-Rと比較すると、エンジンと低重心。そして空力面はGTOにアドバンテージがあった。空気抵抗係数(Cd値)は、GTOが0.33、GT-Rのノーマルが0.40。N1レースのベース車になったNISMO仕様が、0.42だった。
しかし、車重が1.7トンもあり、軽量化モデルと言われた「MR」ですら、1670Kgもあった。さらに重量バランスもかなりフロントヘビーだったので、レースの世界ではGT-Rには及ばなかった。
しかし、このGTOがあったからこそ、のちにWRC、そしてレースの世界でも輝かしい実績を残した、あのランエボシリーズが生まれたともいえる。
車格の割に、車体価格が330万円~390万円ぐらいと安かったので、もう少し販売台数が多くて、本気でチューニングする人がいれば、ハイパフォーマンスカーとしてもっと評価が高かったはず。もったいないという印象が残る一台だ。
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