■ガソリン車に軽油を入れるとどうなるのか
ガソリンスタンドでは通常「レギュラー」と「ハイオク」、そして「軽油」と、3つの種類(油種)の燃料が販売されています。
これらは一見似たようなものに思えるものの、製造する時に違いがあります。
【画像】スゴい! これが給油口の中身です! 意外な構造を画像で見る!
どれも原油を加熱して作るのは同じですが、35度~180度で取り出すのがガソリンとなり、より高温の240度~350度でできるのが軽油です。そのため、ガソリンは常温・常圧で燃える性質があり、対して軽油は高温高圧でよく燃えます。
こうした性質の違いにより、それぞれの燃料が対応できる車種は決まっています。ガソリンは一般ガソリン車用、ハイオクガソリンはハイオク車用であり、軽油はディーゼル車向けの燃料です。
セルフ式ガソリンスタンドでは利用者が間違わないように、給油ノズルの色がレギュラーは「赤色」、ハイオクは「黄色」、軽油は「緑色」というように法令で決められているのです。
ところが、軽自動車に軽油を給油してしまうというニュースがしばしばみられます。クルマの名称から軽油を連想しやすいということもあり、意外に多いトラブルとなっているようです。
軽油はトラックや、乗用車でもディーゼルエンジンを搭載したクルマに使う燃料となっています。
そして、軽自動車にはディーゼルエンジンではなく、ガソリンエンジンが搭載されており、軽油を入れるのは間違いです。
では、なぜガソリンエンジンを搭載するクルマに軽油を入れてはいけないのでしょうか。
そもそもクルマのエンジンは、使用する燃料の性質に合わせて開発されています。ガソリンを使用するガソリンエンジンは、ガソリンを空気と混ぜて圧縮し、点火プラグにより爆発させることで駆動力を得ています。
ただこのとき、ガソリンの異常爆発により、エンジンに振動や金属音が出るノッキング現象が起こることがあります。
このノッキング現象をより起こしにくいのが、ハイオクガクソリンです。ノッキング現象の起こりにくさをオクタン価という数値で表しますが、ガソリンはその値によってレギュラーとハイオクに分類されているのです。
JIS規格のオクタン価はレギュラーガソリンが85以上、ハイオクガソリンは95以上。つまりハイオクとは、オクタン価が高い(hight octane)という意味です。
スポーツカーなどのエンジンはハイオクガソリンを使うように開発されている、と考えるとわかりやすいでしょう。
一方で、軽油を使うディーゼルエンジンは、空気を圧縮し、軽油を霧状に吹きかけて自然着火させる仕組みで、ガソリンエンジンのような引火プラグはありません。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンは、燃料を燃やす構造が異なることから、
ガソリン車に誤って軽油を入れるとトラブルが起こります。
ガソリンスタンド担当者は、誤給油について次のように語ります。
「間違った燃料を給油してしまうと上手く燃料を燃焼させることができなくなり、走れなくなってしまいます」
ガソリンに軽油が混ざると燃えにくくなるので、エンジンの出力が下がり、加速が鈍くなるという症状がでます。
そのまま走り続け、供給される燃料が軽油だけになると黒い排気ガスを出しエンジンが止まってしまうといいます。
そうした場合、燃料をガソリンに入れ替えれば、再び走行できるのですが、エンジンが壊れてしまうと修理が必要になります。
■レギュラー車にハイオクガソリンを入れたらどうなる?
反対に、ディーゼル車にガソリンを入れた場合も、エンジンにトラブルが起きます。
その際は、エンジン音が高くなり、白い排気ガスを出してエンジンが止まるという症状がでるとのこと。ディーゼルエンジンは軽油をノズルで吹きかけますが、ガソリンは潤滑性が低いため、そうしたパーツの交換が必要になることもあるようです。
万が一ガソリン車に軽油を入れたり、ディーゼル車にガソリンを入れたりと入れ間違いに気づいたら、早めにエンジンを止めることが大切です。そして、ガソリンスタンドやロードサービスに連絡して対処しましょう。
では、レギュラーとハイオクガソリンを入れ間違えるとどうなるのでしょうか。
前出の担当者は、ガソリンの入れ間違いについて次のように話します。
「レギュラーとハイオクを間違えて入れる分にはクルマ側のコンピュータで調整してくれたりするため直ぐに問題が発生するという訳ではありません」
燃料メーカーでも、レギュラー仕様車にハイオクを給油してもとくに問題はないと説明しているようです。
ただ、レギュラーに合わせてエンジンを設計しているため、燃焼効率が上がるといった効果はないようです。
しかし、ハイオク仕様車にオクタン価の低いレギュラーガソリンを入れると、クルマの性能を十分に引き出せなくなるので、間違えないように注意しましょう。
※ ※ ※
入れ間違いが起きる背景について、前出の担当者は次のように語ります。
「セルフガソリンスタンドが増えた際に『軽自動車なんだから軽油を入れればいいだろう』という誤った考えで間違った燃料を給油してしまう人が多くいました。
他には、普段使用しない燃料を使うレンタカーに対して、癖で普段使う燃料を間違えて給油してしまうということもありました」
とくに、同じモデルにガソリン車とディーゼル車が設定されている場合、普段乗り慣れている燃料を給油してしまうことがあり、注意が必要なようです。
JAFによると、2022年10月の1か月で、誤給油での出勤要請は105件にのぼったといいます。
あわせて、レンタカーやシェアカーなど初めて乗るクルマに給油をする際は、取扱説明書などで燃料の種類を確認するよう呼びかけています。
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