一部改良を受けたスズキ「エスクード・ハイブリッド」を今尾直樹が試乗。想像以上によく出来たコンパクトSUVの実力に迫る!
エンジンも気持ちいい!
意外やオンロードも悪くない?──新型ジープ・グラディエーター・ルビコン試乗記
ハンガリーから輸入する年間1200台、月100台の販売目標を掲げるスズキのエスクード・ハイブリッドに、雨の日の午前中、チョイ乗り試乗した。1.5リッターのガソリン・エンジンと駆動用モーター、それにリチウム・イオン電池、さらにAGS、スズキの用語で「オートギヤシフト」を表すシングル・クラッチのオートメイテッド・マニュアル・ギアボックス、またはロボタイズド・トランスミッションと呼ばれることもある6速を組み合わせたコンパクトSUVである。
エスクード自体は2015年の発売で、内外装に特筆するような変更はない。デビューから7年を経て、ちょっと昔っぽい、でも誠実な雰囲気を漂わせている。
印象的なのは意外と静かなことだ。なぜって、駆動用モーターのみのEV走行を80km/h以下では頻繁にするからだ。もちろん電池にエネルギーがある限り、ではある。
リチウム・イオン・バッテリーの容量は6Ahで、たとえば同クラスのトヨタの「ヤリス・クロス・ハイブリッド」のリチウム・イオン電池が4.3Ah、1クラス上の「カローラ・クロス」は「プリウス」と同おなじで3.6Ahしかない。充電と放電を繰り返すハイブリッドの電池の場合、単純に容量の大きさで善し悪しの判断はできないにしても、エスクード・ハイブリッドの電池の容量が大きいことはまちがいない。
なにが申しあげたいかというと、エスクード・ハイブリッドは、静かだなぁ~と思って気がつくとEV走行しているのだ。
それと、1.5リッターの4気筒エンジンがイイ! ハイブリッド用のエンジンはアトキンソン・サイクルを採用していることが多いけれど、これは違う。「デュアルジェット エンジン」とスズキが呼ぶこの4気筒は、その名称通り、1気筒あたり2本のインジェクターを備えている。そうすることによってガソリンの噴射を細かく制御し、13.0という高い圧縮比を実現している。最高出力101ps/6000rpm、最大トルクは132Nm /4400rpmと、実用型ではあるものの、高回転をさほど嫌がらないところが美点だ。
フルタイム4WDにも注目したい
もうひとつの驚きは、シングル・クラッチのAGSをうまく使っていることである。デュアル・クラッチにすっかり移行した現在、シングル・クラッチはいかにも時代遅れに思える。
ところが、このスズキ独自のハイブリッドの場合、駆動用モーターが介在することによって、シングル・クラッチ特有の変速時のショックをうまく制御し、ほとんど違和感を感じさせない。アクセル・ペダルを深々と踏み込み、意図的にキックダウンさせると、軽いショックがあるものの、「お、ショックがある」という程度のことで、よくこんなにうまくやっているもんだ、という感心のほうが大きい。
さらなる驚きは、ハイブリッドにして、ちゃんとシャフトで後輪を駆動するフルタイム4WDを実現している点だ。
いまどきのニッポンのコンパクト・カーのハイブリッド4WDは、主に前輪駆動で走行し、緊急時にのみ後輪をリアに搭載したモーターで駆動する、いわゆる“e-4WD”ばかりになっている。
このシステムは燃費には有利だけれど、オフロードの走破能力には限界がある。それについてはどこのメーカーも自覚しており、だからこそシャフトのある4WDをちゃんと用意している。でも、それはピュア内燃機関のモデルにしか設定がない。これがニッポンの常識である。エスクード・ハイブリッドはその常識を破っているのだ。
もっとも、今回は舗装路をチョロっと走っただけなので、「ALL GRIP(オールグリップ)」というスズキ独自の4輪制御システムのもつオフロード性能を実際に試したわけではない。あくまで機械的な原則論を述べただけである。
雨の首都高を、オート、スポーツ、スノー、ロックの4つのドライビング・モードのなかからオートを選んでドライブしていた際に、フロントがずるっと滑ってから安定することは確認した。
一般の人が雪の日以外は選択するであろうオート・モードはEV走行に対応し、通常は前輪のみを駆動する。タイヤがスリップすると、それをセンサーが検知して自動的にトルクを後輪にも伝え、4WDに切り替わる。
エスクード・ハイブリッドの強みは、スノーに加え、泥濘等からの脱出に有効なロック・モードを備えている点だ。ただし、ロックといってもセンターデフをロックするのではなくて、空転している車輪にブレーキをかけることによって空転していないほうの車輪にトルクを配分するシステムだから過信は禁物である。
知恵の結晶のようなコンパクトSUV
というわけで、さる4月21日にスズキが発売したエスクードのハイブリッドに試乗して、筆者はいささか驚いた。
エスクードそれ自体は、前述したように2015年発表で、新しいとはいえない。ハイブリッドのシステムは、2017年発売の「スイフト・ハイブリッド」用をベースにしており、5AGSを6AGSに変更したり、エンジンは同じデュアルジェットだけれど、排気量を1.2リッターから1.5リッターに、リチウム・イオン・バッテリーの容量を4.4Ahから6Ahに増やしていたりする。駆動用モーターの出力、トルクは13.6ps、30Nmから33.4ps、60Nmに倍増している。クルマが大きく重くなった分、それにあわせた改良を図っているのである。
とはいえ、とくに新しいわけではない。
6速AGSはなおさらである。新しいわけではないクルマに、新しいわけではない技術を組み合わせたものが新しかろうはずもない。筆者も試乗する前まではそう思っていた。
ところがどっこい、そうではなかった。ハイブリッドのエスクードは、“ブリコラージュ”ということばを思い出させる、知恵の結晶のようなコンパクトSUVだった。地味だけれど、古典的であるがゆえに新鮮に感じさせる、感じのよい小型車に仕上がっていたのである。
えー、ブリコラージュというのは、ありものを寄せ集めて新しいものをつくる、というような意味だそうで、もちろん筆者はぜんぜんよくわかっておりませんけれど、レヴィ=ストロースというひとが『野生の思考』という本でお書きになったことである。ということを、つい最近、新聞に掲載されていた『シン・ウルトラマン』の映画評で読み、おお!と思った次第です。
エスクード・ハイブリッドはブリコラージュである。
と書いてみると、なんだかとっても知的な感じがします。と同時に、こういうモノの見方は上から目線でありまして、いかがなものか、というご批判もあるにちがいない。でも、カッコイイので、消さないで使っちゃうのだ。
スズキがヨーロッパ市場向けに開発し、ヨーロッパ(ハンガリー)で生産する、ヨーロッパ戦略車のエスクードのハイブリッドは、ニッポンにもってきても、ありそうでなかった、コンパクトSUVの大穴的存在だ、と筆者は思った。
文・今尾直樹 写真・小塚大樹
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