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【クルマの通知表】世界中で「市民」の生活を支える実力車。11代目シビックの走りと使い勝手をマルチレポート

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【クルマの通知表】世界中で「市民」の生活を支える実力車。11代目シビックの走りと使い勝手をマルチレポート

最新モデルは日本でもホンダの中軸として復活

 現行モデルが11代目となるシビックは、2022年に誕生50周年を迎えた。ベーシックカーという当初のシビックのコンセプトを実質的に引き継いだフィットが2001年に登場して以降、シビックは上級移行した。以降、日本においては存在感が薄れていったのは否めない。2011年に発売された9代目は日本では販売されず、後年にタイプRだけが限定販売されるにとどまった。

シビック・タイプRは日本の宝。速さだけでなく官能性でも大人を魅了する

 ところが、10代目では一転してハッチバック/セダン/タイプRという3モデルを一気に日本に導入。販売的には思ったほど伸びなかったようだが、シビックを再び日本で輝かせたいというホンダの意気込みは十分に伝わってきた。
 最新の11代目はハッチバックとタイプRの2シリーズ。2021年にまずガソリンターボが発売され、1年後にe:HEVハイブリッドとタイプRが発売された。

 外観はすっきりとスマート。10代目はややアクの強いデザインだった。11代目は万人に受け入れられることを念頭に置いたのだろう、印象がガラリと変わった。

 ご参考までに日本に導入されなかった9代目は、走りはそれなりに評価されたものの、質感の低さが指摘されることが少なくなかった。その反動もあってか10代目では完成度が大幅に引き上げられ、11代目もその流れを継承した。作りは入念、ドアを閉じたときの音からして、かなりこだわったことが見て取れる。

 新型はインテリアの雰囲気も上々だ。奥にエアコン送風口を収めたハニカムのパネルは見た目にも印象的で新鮮味がある。しかも風向きなどを直感的に調整可能。太いセンターコンソールも機能的な作りになっている。
 視界は良好。前方だけでなく、全方位でいい。ドアミラーとピラーに空間があるおかげで死角が小さく、鏡面もベルトラインに沿わせてできるだけ広く後方を映し出すようにされている。後方視界は太いCピラーのわきに設けられたリアクォーターの小窓が有効。小さくてもあるないとでは大違い。後席乗員の閉塞感の緩和にも貢献している。

 メーターの表示やスイッチ類のレイアウトもよく考えられている。かつてのホンダ車の多くは整理が行き届いていない印象があった。だが現行シビックは違う。まだ直感的に操作できない部分が散見されるが、オーナーになって慣れてしまえば概ね問題なさそうだ。センターディスプレイは、タッチパネルになっているだけでなく、一部を物理ボタンとしてノールックで操作できるよう配慮されている。

走りはスポーティな味わい。乗りやすく、しかもハンドリング優秀

 走りは気持ちいい。新開発のe:HEVはとにかく乗りやすい。レスポンスがよく低速から力強く、非常に滑らかな走り味を実現している。e:HEVは、高速走行が主体となる状況以外では、基本的に駆動力を生み出すのはモーターになるが、その味付けは着実に進化している。

 従来のe:HEVは、アクセル操作に対する加減速とエンジンの動作がいまひとつしっくりこないイメージがあった。新型シビックe:HEVは、キャリブレーションの最適化はもとより新たに採用された直噴エンジンが効いてか、そのあたりの感覚が大幅に改善されている。
 静粛性はハイレベル。メカニカル音はつねに低く、タイヤの発する音のほうが気になってしまうくらいだ。

 高速巡行時のフラット感や直進安定性、ワインディングでのピタリと決まるライントレース性は印象的なレベル。車体各部に目をやると、かなり剛性を意識した作りになっていることがわかる。それが走りに効いている。もちろん、シビックがこのクラスの日本車でいちはやく採用したデュアルピニオンEPSの効果も明確だ。

 2022-2023COTYでパフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞できたのは、むろんタイプRの存在が大きい。しかし、e:HEVだってなかなかの実力の持ち主である。走りの完成度は非常に高い。

 ときおり気になったのは乗り心地だ。路面のあまりよくない一般道を低~中速で走ると、やや足まわりの動きの渋さと突き上げを感じる。乗り心地の快適性を確保しつつも挙動変化を抑え姿勢を乱さないようにするには現状ぐらいがよい落としどころと判断したのだろう。だが、もう少しよく動いてくれたほうがベターだと思う。

 マニア垂涎のタイプRは、いうまでもなく別物である。タイプRといえばまずエンジン。330㎰を発揮する強力なターボエンジンは、優れたレスポンスと踏めば伸びやかに吹け上がる圧倒的なパワーを実現している。心躍る仕上がりだ。シフトフィールも素晴らしくクラッチも扱いやすい。公道を普通に走るシーンでも痛快な味わいと優れたパフォーマンスの片鱗を味わうことができる。

 最新のシビックはホンダらしいクルマだ。e:HEVとタイプRの方向性は異なるが、お互い開発目標設定に対して忠実であり、それぞれ達成度がかなり高い点で共通している。クルマ好きの琴線に触れる魅力を持っている。

通知表/ホンダ・シビックe:HEV 価格/394万200円

総合評価/78点

Final Comment

クルマ好きを魅了する走り味
ホンダらしさが味わえる逸材

 全体の完成度はかなり高い。このクラスで世界に誇れるレベルだ。とくにe:HEVのパワートレーンは、かなりの高評価になった。レスポンスがよくスムーズでパワフルというe:HEVの強みがそのまま点数に表れた。使い勝手の点数も、上出来といえる。気になった点をいくつか挙げると、小回りが利かないこと。足回りは日常的な使い方では乗り心地の面でやや気になる点がある。一方、実走燃費テストではWLTCの郊外モードを上回る数値を達成したことに大いに感心した。

ホンダ・シビックe:HEV主要諸元と主要装備

グレード=e:HEV
価格=394万200円
全長×全幅×全高=4550×1800×1415mm
ホイールベース=2735mm
トレッド=前1535/後1565mm
車重=1460kg
エンジン=1993cc直4DOHC16V(レギュラー仕様)
最高出力=104kW(141ps)/6000rpm
最大トルク=182Nm(18.6kgm)/4500rpm
モーター最高出力=135kW(184ps)/5000-6000rpm
モーター最大トルク=315Nm(32.1kgm)/0-2000rpm
WLTCモード燃費=24.2km/リッター(燃料タンク容量40リッター)
(市街地/郊外/高速道路=21.7/27.6/23.4 km/リッター)
サスペンション=前ストラット/後マルチリンク
ブレーキ=前ベンチレーテッドディスク/後ディスク
タイヤ&ホイール=235/40ZR18+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.7m

・主な燃費改善対策:直噴エンジン/ハイブリッドシステム/アトキンソンサイクル/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング
・主要装備:フルLEDヘッドライト/アダプティブドライビングビーム/LEDフォグランプ/アクティブコーナリングライト/プライムスムーズ&ウルトラスエードコンビシート/前席電動調節機能/BOSEプレミアムサウンドシステム/プラズマクラスター技術搭載AC/ワイヤレス充電器/レッドステッチ本革巻きステアリング/フロントドア&フットLEDアンビエントライト/自動防眩ルームミラー/リアベンチレーション/グロスブラックドアモールディング/ベルリナブラック&ダーク切削クリア18インチアルミ/ホンダセンシング(衝突被害軽減ブレーキ+前後誤発進抑制機能+近距離衝突軽減ブレーキ+歩行者事故低減ステアリング+路外逸脱抑制機能+渋滞追従機能付きアダプティブクルーズコントロール+車線維持支援システム+トラフィックジャムアシスト+先行車発進お知らせ機能+標識認識機能+オートハイビーム)/パーキングセンサー/ブラインドスポットインフォメーション/後退出庫サポート/ドライバー注意力モニター/アジャイルハンドリングアシスト/デュアルピニオンアシストEPS/ヒルスタートアシスト/ホンダコネクトディスプレー+ETC2.0車載器/デジタルグラフィックメーター/左右独立温度調節式オートAC/パドル減速セレクター/スマートクリアワイパー/遮音機能付きフロントウィンドウガラス/プライバシーガラス(リア3面)}
・ボディカラー:プラチナホワイトパール (op3万5000円)
※価格はすべて消費税込み

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モーサイ

みんなのコメント

20件
  • 何回な乗る機会があったけれど、この安さであの質は凄いよね。回転半径以外不満無しでした。
    あとは、日本が経済復興すれば、新車シビックが190万時代と変わらぬ時代が来る。はず笑

    特定の業界以外、年収上がらんのは本当困った時代だね。
  • 高い買えない。シビックって安かった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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