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今こそ振り返る伝統のクロカンモデル。ディフェンダーとラングラーの武骨な魅力を再考する【Playback GENROQ 2018】

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今こそ振り返る伝統のクロカンモデル。ディフェンダーとラングラーの武骨な魅力を再考する【Playback GENROQ 2018】

Land Rover Defender × Jeep Wrangler

ランドローバー ディフェンダー × ジープ ラングラー

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時空を超えて存在する2台のオフローダー

道なき道を行く走破性能、機能優先の無骨なスタイル。ワイルドを地でいくようなSUVは、Gクラスだけじゃない。ディフェンダーとラングラーは、この世界の先駆者として燦然と輝き続けているのだ。明確な意思をもって現代までその血筋を伝えてきた「時空を超えた存在」に、モータージャーナリストの塩見 智が対峙する。

「新車同様のディフェンダー110に乗る」

2017年の生産中止後に新車同様のランドローバー ディフェンダーに乗る機会を得られるとは思っていなかった。

今回レンジャースから借り出したのは、マニアがワンテンと呼ぶホイールベース110インチの5ドアワゴン。2.2リッターターボディーゼルは最大トルク360Nm。車重2トン超のクルマに対しては物足りないかなと想像していたが、発生回転数が2000rpmと低いことと、6速MTのギヤリングが適切(ローギヤード)なことから望外に活発に走ってくれた。ただしうるさい。だから何? という話しだが。

「重労働だが、運転している実感にあふれる」

外板にアルミパネルが使われているため、新車でもボディが微妙に波打っているのはこのクルマの特徴、チャームポイントだ。こんなに腰高な姿なのに運転して重心の高さをあまり感じないのも、上屋がアルミであることと無関係ではないはずだ。

シフトレバーのストロークが長く、1速は遥か彼方にある。加えてステアリングのアシスト量は必要最小限。振動は常にあるが、ソフトなシートと“慣れ”がその大部分を吸収してくれる。そして再度言うがうるさい。重労働だが、運転している実感にあふれる。自動運転・・・はぁ? 丁寧に白線が引かれた舗装路なんて地球上の地面の何パーセントあるんだっての! ちょっと極端か。

「過剰な悪路走破性は、ディフェンダー爺さんに恥ずかしい姿を見せられないからだ」

1948年にこのクルマの先祖がデビューした際、車名は単にランドローバーだった。ディフェンダーという車名が与えられたのは1990年になってから。それまでランドローバーとレンジローバーしかなかったところへディスカバリーというレンジローバーの廉価版が追加されたので、混乱を避けるためにディフェンダーと名付けられた。

つまりディフェンダーの歴史はランドローバー社の歴史だ。現在同社がオフローダーのトップブランドのひとつとして認識されるのはこのモデルのおかげだ。レンジローバーやランドローバーの現行各モデルが、多くの人が必要としないレベルの悪路走破性を備えるのは、言ってみればディフェンダー爺さんに恥ずかしい姿を見せられないからなのだ。

「現行型ラングラーの導入時、あまりのカッコよさに衝撃を受けた」

ジープ ラングラーは2006年に現行のJK型へとモデルチェンジし、翌年日本に導入された。初めて追加された4ドア、ロングホイールベースのアンリミテッドを見て、あまりのカッコよさに衝撃を受けた。どうしても乗りたくて当時勤めていた会社に社用車として導入してもらった。車検証に「ダイムラークライスラー」とあったのを覚えている。

雪道、岩場、泥濘地、砂地など、いろいろな路面を走行し、毎度高い悪路走破性に舌を巻いた。特にマッドテレーンタイヤを装着してからはどこへでも行かれるという無双感があった。スタッドレスタイヤを装着すれば、歩けば膝まで埋まる雪道を、フロントバンパーでラッセルしながら進むことができた。

「安易な変化、進化は堕落、後退と捉えられる世界。好事家からどう判断されるか興味深い」

今年初めにデトロイト・ショーで次期型ラングラーがお披露目された。奇しくも新型Gクラスと同じタイミング、同じ舞台でデビューしたことになる。価格帯は違えど悪路走破力は拮抗したライバルだ。新型Gクラスに負けない見た目の“変わらなさ”に安心したファンは多かろう。なにしろ安易な変化、進化は堕落、後退と捉えられる世界だ。フロントサスペンションが独立懸架となったGクラスに対し、ラングラーは引き続きリジッド。それぞれ好事家からどう判断されるか興味深い。

今回試乗したのは現行型の最終モデルになると見て間違いない。当初3.9リッターV6 OHVエンジンと4速ATの組み合わせで登場したが、途中で3.6リッターV6 DOHCエンジンと5速ATの組み合わせにアップデートされた。確かに多少パワフルになったし、変速のステップが細かくなった分、シフトショックもマイルドになった気がするが、まぁ五十歩百歩だ。

「成り立ちを理解し、歴史を学んだうえで魅力を感じた人にとっては最高のクルマだ」

ディフェンダーやGクラス同様、ラングラーもラダーフレームの上にボディを載せた成り立ちだ。コーナリング時に上と下が別の動きをするドタバタを感じさせる。乗用車を嵩上げしただけのSUVに乗っていた人がひと目惚れして衝動買いすると、痛い目にあうから入念に試乗したほうがいい。しかし成り立ちを理解し、挙動を正しく捉え、歴史を学んだうえで魅力を感じた人にとっては最高のクルマだ。

過給機を取り付けてエンジンの効率(燃費)を上げるのが昨今の良識あるモデルチェンジということになっているが、過給エンジンの採用を拒み続ける。このクルマにはこの時代にあっても効率より優先すべきことがあるからだ。ひとつはロバスト性というか柔軟さ。岩場を越える際など、歩くようなスピードでありながらエンジンに高い負荷がかかる状況で粘り強くトルクを発揮し続けられるのは自然吸気だ。また整備性と信頼性の面からも過給は避けたい。満足にパーツや工具が揃わない僻地では壊れにくいほうがいいし、壊れて修理するにもメカニズムがシンプルなほうがいい。それにはターボより自然吸気だ。

ウィリスMBやフォードGPWなど、米軍に制式採用されていたモデルと違って、ラングラーと呼ばれるようになってからはもう戦地で生死をかけて使われるようなことはなく、主に楽しみとしてのオフロード走行に供される乗り物になったのは事実だが、今でもヘビーデューティな使われ方をするケースは多いし、ストーリーとしても極限での特性や整備性云々は重要なのだ。

あぁそれにしてもアングロサクソンは濃いクルマ造るよな。

REPORT/塩見 智(Satoshi SHIOMI)
PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)

【SPECIFICATIONS】

ランドローバー ディフェンダー110

ボディスペック:全長4785 全幅1790 全高2182mm
ホイールベース:2794mm
車両重量:1955kg
エンジンタイプ:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
総排気量:2198cc
最高出力:90kW(122ps)/3500rpm
最大トルク:360Nm(62.2kgm)/2000rpm
トランスミッション:6速MT
駆動方式:AWD
サスペンション:前後アクスルビーム
ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク
タイヤ&ホイール:前後235/85R16
燃料消費率(JC08モード):-km/L

ジープ ラングラー アンリミテッド スポーツ

ボディスペック:全長4705 全幅1880 全高1845mm
ホイールベース:2945mm
車両重量:2020kg
エンジンタイプ:V型6気筒DOHC
総排気量:3604cc
最高出力:209kW(284ps)/6350rpm
最大トルク:347Nm(35.4kgm)/4300rpm
トランスミッション:5速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前後リジッド
ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク
タイヤ&ホイール:前後255/70R20
燃料消費率(JC08モード):7.5km/L
車両本体価格:432.6万円

※GENROQ 2018年 8月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

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みんなのコメント

1件
  • ディフェンダーカッコいいね
    なんか最近同じ名前でSUVが発売されたみたいだけど、ディフェンダーじいさんはもう死んだから恥ずかしくても関係ないんだね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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