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非背高ノッポに隠れた人気? スズキが新型軽「ワゴンRスマイル」投入でキャンバス競合となるか?

掲載 更新 24
非背高ノッポに隠れた人気? スズキが新型軽「ワゴンRスマイル」投入でキャンバス競合となるか?

■「ワゴンR」人気復活の狼煙となるか?

 軽自動車に詳しくない方でも、スズキ「ワゴンR」はご存知でしょう。初代モデルは1993年に発売され、背の高い軽自動車の先駆けになりました。

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 今でもワゴンRの6代目が販売されていますが、最近は人気が下降気味です。

 2010年頃までは、軽自動車の年間新車販売ランキングの1位になることも多かったですが、それ以降は、さらに背の高いホンダ「N-BOX」、スズキ「スペーシア」、ダイハツ「タント」のようなスーパーハイトワゴンが売れ筋になりました。

 これらのスーパーハイトワゴンは全高が1700mmを上まわり、後席側にはスライドドアを備えます。ミニバンのような機能が人気を得て、今では新車として売られる軽乗用車の50%以上がスーパーハイトワゴンです。

 そのためにワゴンRのユーザーを調査しても、約40%が「ワゴンRにもスライドドアが欲しい」と回答しました。また「スライドドアを装着しながら、スペーシアよりも背が低い軽自動車を買いたい」という意見も聞かれました。

 そこで開発されたのが、スズキ新型「ワゴンRスマイル」です。全高は1695mmですから、1700mmを下まわり、スペーシアよりは90mmほど低いです。逆にワゴンRに比べると45mm高くなります。

 外観はスペーシアやワゴンRとは異なり、丸みのある柔和なデザインに仕上げました。ヘッドランプは楕円形で、フェンダーなどにも丸みを付けています。

 ピラー(柱)の配置も工夫され、斜め前に縦長のウインドーを装着して、前方視界も良好です。ボディが水平基調なので、側方や後方も見やすいです。

 ちなみに全高が1700mm以下で、後席側にスライドドアを備えた軽自動車には、ダイハツ「ムーヴキャンバス」もあります。ムーヴキャンバスの全高は1655mmなので、ワゴンRスマイルのほうが40mm高いです。

 ワゴンRスマイルにはハイトワゴンの雰囲気があり、ムーヴキャンバスはワゴン感覚をさらに強めました。それでも丸みのあるフロントマスクなど、車両全体の雰囲気は、両車とも似ています。

 なお、全国軽自動車協会連合会が公表する販売データでは、ムーヴキャンバスの台数をムーヴに含めていますが、これを別々に算出するとムーヴキャンバスが約60%に達します。

 スライドドアを装着する全高が1700mm以下の軽乗用車は、多くの販売を見込めるので、スズキもワゴンRスマイルを投入しました。

 車内も外観と同じく柔和な雰囲気です。インパネは水平基調ながらも曲線を描き、ATレバーやエアコンのスイッチは高い位置に装着したから操作しやすいです。

 インパネの中央には、9インチのモニター画面を備えるメモリーナビゲーションをオプション装着することも可能です。

 シート生地は伸縮性の優れたファブリックで、座り心地は柔軟です。これもワゴンRスマイルの性格に合っています。

 前席は着座位置が高めで、床と座面の間隔も広いです。長身の乗員も座りやすいですが、小柄なドライバーは、ペダル操作がしにくくなる場合があるので注意しましょう。

 後席はスライド位置を後端に寄せると、足元空間が大幅に広がります。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は、握りコブシ3つ半に達します。

 また後席に座る乗員の足が前席の下にスッポリと収まるので、後席を前側にスライドさせても窮屈には感じません。この状態にすると、後席の後ろ側に、十分な量の荷物を積めます。

 そして後席の背もたれを前側に倒すと、座面も連動して下がり、平らで大容量の荷室に変更できます。

 ライバル車のムーヴキャンバスでは、後席の下に引き出し式の収納設備を装着しました。引き出した状態で中敷きを立ち上げると、バスケットのような形になり、買い物袋を収められます。

 買い物袋をシートの上に置くと、走行中に倒れやすいですが、バスケットのなかに入れておけば安心です。

 その代わりムーヴキャンバスでは、後席の背もたれを倒しても、座面は下がりません。下側に収納設備を配置したからです。従って後席を倒して荷室を広げても、床には段差と傾斜ができます。

 つまりワゴンRスマイルは荷室が使いやすく、ムーヴキャンバスは、収納設備と買い物袋の収納性に特徴があるのです。

■スズキ初となる注目の装備とは?

 ワゴンRスマイルのスライドドアは、開口幅が600mmで、スペーシアと同じ数値です。N-BOXの640mmに比べると狭いですが、ムーヴキャンバスの595mmと同等です。子供を抱えたり、両手に荷物を持っていても乗り降りしやすいです。

 収納設備は豊富で、助手席の下には大容量のボックスが装着されています。インパネのカップホルダーには、500mlの紙パックが収まります。

 エンジンは直列3気筒660ccの自然吸気です。街中を中心に使う性格の軽自動車なので、ターボは用意されません。その代わりマイルドハイブリッドを設定しました。

 マイルドハイブリッドには、モーター機能付き発電機が搭載され、減速時の発電と充電、モーター駆動の支援、アイドリングストップ後の再始動をおこないます。

 エンジンの再始動にはベルトを使うので、スターターモーターの金属音を発生させず静かです。アイドリングの停止と再始動を繰り返しても、煩わしく感じません。

 WLTCモード燃費(2WD)は、ノーマルエンジンのGが23.9km/L、マイルドハイブリッドのSとXは25.1km/Lです。後者の数値は、ワゴンRにマイルドハイブリッドを搭載した25.2km/Lに近いです。

 衝突被害軽減ブレーキを作動させる安全装備のデュアルカメラブレーキサポートは、全グレードに標準装着しました。サイド&カーテンエアバッグなども同様です。

 スズキ初の「すれ違い支援機能」も注目の装備です。

 デュアルカメラブレーキサポートのカメラセンサーにより、狭い場所でのすれ違いを検知すると、ボディの左側面と前側の映像をモニター画面に自動的に表示します。ドライバーの死角を補い、すれ違いを容易にします。

 グレードは3種類で、ノーマルエンジンの「G」(129万6900円/2WD)、マイルドハイブリッドを搭載する「ハイブリッドS」(147万2900円/2WD)、「ハイブリッドX」(159万2800円/2WD)を選べます。Gにも基本的な安全装備などは標準装着されます。

 主力グレードはハイブリッドSで、Gに比べると17万6000円高いですが、マイルドハイブリッドシステム、両側スライドドアの電動機能、運転席の上下調節機能、運転席シートヒーター、チルトステアリングなどが加わります。

 ハイブリッドSは、実用的な機能を数多く装着しながら、価格は割安に抑えました。

 そしてさらに装備を充実させたいなら、ハイブリッドXを検討しましょう。

 ハイブリッドSに、LEDヘッドランプ/フォグランプ/ポジションランプ、360度プレミアムUV&IRカットガラス、右側後席用のパーソナルテーブルなど、15万円相当の装備を加えました。

 ハイブリッドSとの価格差は11万9900円なので、装備を充実させたいユーザーにとっては、ハイブリッドXも買い得です。

 装着を推奨する注目のオプションには、セーフティプラスパッケージ(4万6200円)があります。車間距離を自動制御できるアダプティブクルーズコントロール、標識認識機能、ヘッドアップディスプレイなどをセットにして、価格を割安に抑えました。

 全方位モニター用カメラパッケージ(5万5000円)も安全性を向上させます。

 またディーラーオプションを使ったブリティッシュスタイル、エレガントスタイルなど、オシャレな内外装の組み合わせも選べます。スペーシアカスタムのようなエアロパーツ装着車はありませんが、外装パーツの組み合わせを楽しめます。

※ ※ ※

 ワゴンRスマイルは、「スライドドアは欲しいけれど、自転車を積むわけではないから、車内の広さは追求しない」と考えるユーザーにピッタリです。天井の高さを少し抑えて、内装の質を高めました。

 とくに大人4名で移動するニーズに適しており、長距離の移動も快適です。その意味では、ターボ仕様が今後追加されるかもしれません。

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