「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、レクサス CT200h(プロトタイプ)だ。
レクサス CT200h(2010年:プロトタイプ)
今年(編集部註:2010年)春のジュネーブ モーターショーで存在が明らかになったCT200hは、レクサス ブランド初の5ドアハッチバックで、最小サイズのエントリーモデルという重責を担う。今回、デビュー間近のプロトタイプに試乗する機会を得た。
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ハイブリッドを積極展開するレクサスだから、パワーユニットはもちろんTHSーII。99psを発生する1.8Lアトキンソンサイクル エンジンと、82psを発生する交流同期モーターとのコンビは、プリウスと基本的に同じだ。
だが、初の小型ハッチバックを単なる豪華版プリウスとしたのではレクサスの名折れ。プレミアム ブランドは上質であると同時に、乗る人に感動を呼び起こすエモーショナルさが必要だ。それゆえCT200hは専用リアサスやパフォーマンスダンパーで足腰を鍛えて運動性能を上げると聞いていた。
つまり、足まわりを固めたプリウスかと想像したのだが、短時間ながら富士スピードウェイの外周路で試したCT200hプロトタイプは、そんな単純な味付けではなかった。まずフットワークが別もので、ステアリングの剛性感はプリウスのツーリングセレクション以上。切り始めの反応の良さや明快な接地感など、乗り味をとても大切にしていた。ジムカーナ風のハンドリングテストでも、ノーズの入りが良く、軽快でスタビリティも高い。
乗り味はさすがだが、乗り心地はやや硬め
これはホイールベースを100mm短くした上に、リアサスをダブルウイッシュボーン化し、さらにサス周辺のスポット溶接を増やしてボディ剛性を上げた相乗効果だ。低全高化とボンネットやリアゲートにアルミを採用することで慣性モーメントを下げているのも効いている。そして微振動を吸収するパフォーマンスダンパーが、ボディやステアリングに凛とした剛性感を出した。この一体感の強い乗り味は、まさにCT200hだけの世界だと感じた。
一方、乗り心地はやや硬め。今回は16インチ/17インチで3仕様の足まわりを試したが、16インチのバージョンCでも硬質だった。17インチのバージョンLでは明確に締まってきて、やや揺すられ感が気になる。できればシチュエーションに応じて減衰力を選べる可変ダンパーが欲しいところだ。
そうした味付けの集大成と言えるのがFスポーツ。こちらも相応にハードな設定だが、突き上げの角が取れていてしなやかだ。走りに振ったこのクルマのキャラクターを考えれば17インチはすべてこの仕様で良いだろう。
一方、パワーフィールはTHSーIIの限界を感じた。CT200hはドライブモードスイッチを備えており、スポーツモードでは出力制御が加速重視となり、インジケータがタコメーターになり、トラクションコントロールやパワーステアリングの制御も変わる。さらにパドルシフトも用意されるなど、走りの期待感を高める演出が凝らされている。
動力性能は十分で、エンジンとモーターの協調した加速はけっこうシャープだが、ダイレクト感が薄い。操作に対しワンテンポ遅れるTHSーIIの持ち味はそのままだ。パドルシフトもダウンシフトを積極的に受け入れるわけではないし、シフトアップも早め。エコと走りの両立は難しいのだろうが、シャシが速いだけにパワーユニットをもう少しスポーティにふって欲しかったところだ。
■レクサス CT200h バージョンC(プロトタイプ) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4320×1765×1460mm
●ホイールベース:2600mm
●車両重量:1400kg
●パワートレーン:直4 DOHC+モーター
●排気量:1797cc
●最高出力:73kW<99ps>/5250rpm+60kW<82ps>
●最大トルク:142Nm<14.5kgm>/4000rpm+207Nm<21.1kgm>
●トランスミッション:電気式無段変速機
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:未発表
●タイヤ:205/55R16
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みんなのコメント
普通の知識があれば違うのは一目瞭然。