クルマは長く乗れば乗るほど見えてくるものがある。これまでいくつものエンジン搭載モデルを長期にわたってレポートしてきたが、今回連載している長期レポートのクルマは電気自動車(BEV)である「DS3クロスバック Eテンス(DS3 CROSSBACK E-TENSE)」だ。(第4回/Motor Magazine 2022年5月号より)
長く乗ってこそ見えてくる電気自動車との付き合い方
徐々にではあるが、日本市場においてもラインナップ数を増やして存在感も強まりつつある電気自動車。運転してどうだったかというインプレッションはもちろん気になるが、販売台数がまだ少ない現段階において知りたいことといえば「どれだけ走れるの?」ということではないだろうか。今回はDS3クロスバック Eテンス(以下、DS3 Eテンス)の電費や走行可能距離について書いていこうと思う。
長期レポート初の電気自動車を導入。DS3クロスバック Eテンスが来る前に担当者が準備していたこと【第1回】
DS3 Eテンスはボディの床下ほぼ中央にあたる、フロントシート下とリアシート下に、合計50kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載している。
近年登場した大型のBEVたちと比較すれば小さい容量に見えてしまうが、国産モデルでいえば日産 リーフが40~60kWhだったり、レクサス UX300eが54.4kWhだったりと特別小さいわけではない。自分のライフスタイルや使用環境を考えて選択すればなんら問題ないように思う。
主要諸元を見ると1回の満充電による航続可能距離は398kmと記載されているが、これはJC08モードによる数値なのでWLTCモードではもう少し短いだろう。参考までに兄弟車であるプジョー e-2008のWLTCモードデータを参照すると360km(編集部註:一部改良により現在は380km)なので、DS3 Eテンスもおそらく同程度ではないかと予想できる。
丸々2週間走りも充電もしなかったら、充電残量はどれほど減るのか
では実際に走行してみるとどうか。1月の平均電費を振り返ると「6.2km/kWh」。ここから航続可能距離を換算すると310kmとなる。この数値であれば、片道100kmの小旅行を充電なしでこなせるだろう。
しかし実はこの月、データ取りのため、春や秋を想定してエアコン・暖房を一切使わず、着衣による防寒対策を万全にして走っていたので、電費も良かったのだ。
そして翌2月。車内で上着を脱いでエアコンを22度フルオートに、車内を快適な環境に設定して楽しんでいた。その結果、平均電費は4.6km/kWhを記録した。これはつまり230kmの航続可能距離となる。
とくに車内気温の低い走り出しに電力を多く消費している印象で、同じ設定のまま3月に入って暖かくなると、電費も改善(5.2km/kWh)してきたことは当然の話である。
ちなみに以前、14日間にわたってまったく乗らず・充電せず、駐車場に保管していたことがあった。当時の外気の最低気温は0~5度と寒く、低気温に強くないリチウムイオンバッテリーの残量低下を心配していたのだが、その変化はゼロに近いものだった。
考えてみれば影響を受ける気温はもっと低く、しかも低気温下でバッテリーを保護するためのヒーターがDS3 Eテンスには備わっているので、安心感はある。またスマホのように電波を受信して待機電力を大きく消費するわけではないので、心配して損してしまった気分である。
第4回/2022年2月18日~3月22日(4カ月目)のデータ
・オドメーター:5934km
・当月の走行距離:2486km
・充電量:約477.5kWh(充電メーター換算値)
・電費:約5.21km/kWh
・充電回数:23回(内、200V普通充電を14回/急速充電を9回)
DS3 クロスバック Eテンス 主要諸元
●全長×全幅×全高:4120×1790×1550mm
●ホイールベース:2560mm
●車両重量:1580kg
●モーター:交流同期電動機 ZK01型
●最高出力:100kW(136ps)/5500rpm
●最大トルク:260Nm/300-3674rpm
●バッテリー総電力量:50kWh
●JC08モード航続距離:398km
●0→100km/h加速:8.7秒
●最高速度:150km/h
●駆動方式:FWD
●タイヤサイズ:215/55R18
●車両価格:559万3000円(2022年12月現在)
[ アルバム : 長期レポートDS3 Eテンス-第4回 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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