現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > BMW新型「M4」とポルシェ「911」を徹底比較! M4は911を超えられるのか?

ここから本文です

BMW新型「M4」とポルシェ「911」を徹底比較! M4は911を超えられるのか?

掲載 更新 39
BMW新型「M4」とポルシェ「911」を徹底比較! M4は911を超えられるのか?

■M乗りが気になる911という大きな存在

 2020年9月、BMW新型「M4クーペ」がドイツ本国で発表された。大型のキドニーグリルを持つボディデザインは、正直いって賛否両論巻き起こっている。しかしそこにとらわれていては、このクルマの本質が見えてこない。

BMW新型「M5 CS」登場 Mモデル史上最強の635馬力で最高時速は305km!

 なぜなら新型M4は、ただボディデザインを変えただけではなく、新設計エンジンの搭載やボディ剛性アップなどが施されたことで、走りの性能が大幅に向上しているからだ。

 明らかに走りを研ぎ澄ましてきた新型M4クーペは、運転することを純粋に楽しみたい人にとって、注目すべきクルマといっていい。

 日本でのデリバリーは、2021年秋の予定となっており、現在プレオーダーが始まっている。注目の価格は、1298万円。上位モデルとして、よりハイパワーな「M4クーペコンペティション」や、サーキット走行に対応する「M4クーペコンペティション トラックパッケージ」というモデルも同時にデリバリーされるが、これらはより趣味性が高い仕様となっている。M4クーペというクルマの実力を判断するには、ベースモデルを見るべきだろう。

 そこで、車両価格が近く、同じように走ること自体を楽しめるモデルと、比較をしてみたいと思う。選んだのは、ポルシェ「911カレラ」だ。

 といっても、M4クーペに試乗できていない状態では、実際の操作フィーリングや、インフォメーションの伝わり方、サウンドなどを比べることはできない。そのため、あくまで公表されているスペック上での比較をしてみたいと思う。

 まず車両本体価格だが、M4クーペの1298万円に対し、911カレラは1398万円と、911カレラのほうが100万円高価となる。

 M4クーペ コンペティションの車両本体価格が1348万円、M4クーペ コンペティション・トラックパッケージは1460万円なので、素の911カレラを購入するくらいだったら、ハイパフォーマンスなM4もチョイスできるわけだ。エンジンパワーもM4クーペは480psなのに対し、M4クーペ コンペティションは510psだ。ここはひとつの悩みどころだろう。

 次にトランスミッションを見てみよう。M4クーペは6速MTのみとなっているため、2ペダル限定免許所持者は運転ができない。それに対して911カレラは8速AT(PDK)のみなので、限定免許でも問題ない。そのかわり、現状ではMT仕様はラインナップされていない。M4クーペコンペティションは8速AT(Mステップトロニック)を搭載しているので、現実的な911カレラとの競合は、M4クーペ コンペティションということになるだろう。

 ただし、M4クーペは、左右どちらのハンドルポジションを選べるのに対し、911カレラは右ハンドルのみとなる。

 次にボディサイズを比べてみよう。M4クーペは全長が4805mmで、ホイールベースは2855mmと、スポーツカーとしては長めだ。トレッドはフロントが1615mm、リアは1605mmとなっている。

 それに対して911カレラは、全長が4519mmで、ホイールベースも2450mmという数値。トレッドはフロントが1591mm、リアは1557mmだ。

 この911カレラのホイールベースは、現代のスポーツカーとしてはかなり短いものといっていい。例としてあげると、「スイフトスポーツ」(ZC33S型)のホイールベースも2450mmである。ただし、スイフトスポーツのトレッドは、フロントが1510mm、リアは1515mm。コーナリングの鋭さは、ホイールベースの長さとトレッド幅の関係性も大きく影響するのだが、その点からいえば、911カレラはコーナーでしっかり踏ん張って回頭するというイメージだ。

 逆に、室内空間の広さという観点からいうと、ホイールベースの短さは、不利な点といえる。M4クーペと911カレラは、どちらも4シーターなのだが、リアシートの居住性は間違いなくM4クーペのほうがいい。

 911カレラのリアシートは、足の置き場が非常に狭く、まさしく1マイルシートといっていい狭さだ。それに対してM4クーペは、2ドアなので乗降性はあまり良くなく、ルーフも低いため快適とまではいえないだろうが、911カレラほどの狭さはない。

 トランク容量もM4クーペは440リッターとしっかり取られているのに対し、911カレラはフロントフード内の、ごく狭いスペースのみとなってしまう。リアシートを荷室として使っている人がほとんどだろう。

■新車でMTが欲しいならM4、リセールを取るなら911

 エンジンパワーに関してはどうだろうか。どちらも3リッター6気筒ターボエンジンを搭載しているが、M4クーペが直列6気筒、911カレラが水平対向6気筒と、両ブランドのアイデンティティともいえるエンジンである。

 最高出力は、M4クーペが480ps/M4クーペ コンペティションが510ps、911カレラは385psである。しかし車両重量が、M4クーペは1710kgなのに対し、911カレラは1505kgと、200kgもの差があるため、0-100km/h加速の数値は、いずれも4.2秒と同タイムだ。

 これらのことから想像すると、M4クーペは大パワーの余裕で走らせることができ、高速巡航でもラクチンなクルマ、911カレラは軽さとホイールベースの短さで、ワインディングでの走りの楽しさを味わえるクルマ、と考えていいのかもしれない。もちろん、どちらもドライバーのスキル次第で、どんな走りも楽しめるのはいうまでもないだろう。

 では、これらのスペックも含めて、どちらのクルマを買ったほうがバリューがあるのだろうか。正直にいえば、「それはもう好みですよ」と投げてしまいところだが、ちょっと考えてみよう。

 M4クーペは、間違いなく運転は楽だと想像できる。パワーもそうだがトルクがあるので、ずぼらな走りもできる。6速MTのみのラインアップというのが問題となるかもしれないが、この先MT車が減っていくことを考えれば、いま乗っておいて損はないだろうし、将来カルト的な人気となる可能性もある。もちろん、本気を出せばサーキットだろうがどこだろうが、一級品の走りができる、というのも大きい。

 911カレラは、たとえば2泊3日の旅行などというときには、使いづらいかもしれない。しかし純粋に乗ること、走ることを楽しみたいなら、M4クーペよりもアドバンテージが高い。筆者自身はあまり重視していないが、2ペダルのPDKとポルシェブランドは、リセールにも期待ができるだろう。

 いずれにしても、走りを楽しみたいクルマは、まずは試乗して、そのクルマが持つ個性を感じてから購入を検討すべきだ。M4クーペのデリバリーまで約半年。乗ることができる機会を心待ちにしているのが現状である。

●VAGUEの見解

 M4クーペと911カレラのいずれかを購入しようと検討中の場合、MT仕様が欲しいのならば、M4クーペを選ぶしかない。海外では911にもMT仕様がラインナップされているので、日本に正規導入されるかこともあるかもしれないが、そうしたアナウンスは今のところない。同様に、左ハンドルを選びたい場合もM4クーペを選ぶしかない。

 そこで、右ハンドルかつATという縛りで両車を比べる場合、1348万円のM4クーペ コンペティションと1398万円の911カレラが近い条件となる。この場合、0-100km/h加速はM4クーペ コンペティションが3.9秒と、911カレラより0.3秒速い。

 路上での新規感を求めるのなら、M4クーペ コンペティションを選んで正解だ。巨大なキドニーグリルは、いい意味でも悪い意味でも、発売当初は目立つことは間違いない。逆にあまり路上で目立つことを望まない場合は、コンサバティブは911カレラをチョイスするといいだろう。

 ひと昔前までは、911のスタイルが目立つために、知らない人が見たら普通の3シリーズのように見える「M3クーペ(E36型/E46型)」は、羊の皮を被った狼的な存在が良しとされ、911ではなく敢えてM3クーペを購入していた人も多かったが、いまや立場は逆転してしまったようだ。

 想像だけでの比較だが、ほぼ確実なことは、リセールは間違いなく911カレラの方が良いということだ。BMWには、E65型「7シリーズ」やE46型「ti」など、大きくフロントフェイスのイメージを変えた車種が、不評のあまり数年後に既定路線に戻ってしまったという歴史がある。巨大キドニーグリルがこの先受け入れられるのか否かも含め、しばらくは様子見という人も多いようだ。

 911は、スタイルとストーリーを頑なに堅持し続けたため(もしくは堅持せざるを得なかったため)、いまや唯一無二の何物にも代えがたい存在にまでブランディングできた。一方のM4は、M3という名前からの変更も含めて、ブランドストーリーがうまく引き継がれていない。現在、ブランディングの再構築の途上なのかもしれないが、カスタマーからすれば、M4でなければならないという理由が見当たらないという点で、大きく911の後塵を拝することになってしまったと見てよいだろう。性能が互角ならば、確固たるブランディングのプロダクトに惹かれるのは、自明の理である。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

2億年前の石材を使ったベントレー!? 「テクスチャー表現」に匠のワザ光る4台
2億年前の石材を使ったベントレー!? 「テクスチャー表現」に匠のワザ光る4台
レスポンス
SS12は“安全上の問題”でキャンセルに。SS11を終えた時点でトヨタ勝田貴元は総合3番手|WRCラリージャパンDAY3午前
SS12は“安全上の問題”でキャンセルに。SS11を終えた時点でトヨタ勝田貴元は総合3番手|WRCラリージャパンDAY3午前
motorsport.com 日本版
トヨタ大逆転か、ヒョンデ初の3冠か。勝田貴元が握る、タイトル防衛のカギ【ラリージャパンの見どころ】
トヨタ大逆転か、ヒョンデ初の3冠か。勝田貴元が握る、タイトル防衛のカギ【ラリージャパンの見どころ】
AUTOSPORT web
フェラーリ、予想通りタイヤのウォームアップに苦労。ルクレール「レースペースは良い。逆よりマシだ」
フェラーリ、予想通りタイヤのウォームアップに苦労。ルクレール「レースペースは良い。逆よりマシだ」
motorsport.com 日本版
「昔あったなぁ」装備 「燃料コック」操作したことありますか?
「昔あったなぁ」装備 「燃料コック」操作したことありますか?
バイクのニュース
スズキ「ジムニー」の“スライドドア仕様”を初公開!? アウトドア最強の「本格オフロード」モデル実車登場! めちゃゴツ顔の「エブニイ SPIEGEL」に反響続々!
スズキ「ジムニー」の“スライドドア仕様”を初公開!? アウトドア最強の「本格オフロード」モデル実車登場! めちゃゴツ顔の「エブニイ SPIEGEL」に反響続々!
くるまのニュース
フェラーリ代表、選手権争いに向け「自分たちの潜在能力に自信を持っている」ラスベガスでは好結果を残せると確信
フェラーリ代表、選手権争いに向け「自分たちの潜在能力に自信を持っている」ラスベガスでは好結果を残せると確信
AUTOSPORT web
アルファロメオ、日本初導入となる『ジュリア』左ハンドル車のカスタマイズプログラムを実施
アルファロメオ、日本初導入となる『ジュリア』左ハンドル車のカスタマイズプログラムを実施
AUTOSPORT web
【1970年代国産GTカーに思いを馳せて】光岡自動車からM55の市販バージョンが登場!
【1970年代国産GTカーに思いを馳せて】光岡自動車からM55の市販バージョンが登場!
AUTOCAR JAPAN
BMWの次世代EV「ノイエ・クラッセ」、SUV版のテスト車両を生産開始
BMWの次世代EV「ノイエ・クラッセ」、SUV版のテスト車両を生産開始
レスポンス
排気量アップで140馬力!? 軽枠超えのコペンが本気すぎ
排気量アップで140馬力!? 軽枠超えのコペンが本気すぎ
ベストカーWeb
[2000年]代[軽スポーツ]に注目!? 流通量豊富なスズキ[アルトターボRS]に中古で乗る!!
[2000年]代[軽スポーツ]に注目!? 流通量豊富なスズキ[アルトターボRS]に中古で乗る!!
ベストカーWeb
旧車ベンツW111型「220SE」をデイリーに楽しむ!「羽根ベン」と呼ばれる理由は当時の米国の流行に乗ったデザインにありました
旧車ベンツW111型「220SE」をデイリーに楽しむ!「羽根ベン」と呼ばれる理由は当時の米国の流行に乗ったデザインにありました
Auto Messe Web
交換のたびに「ちょっと余る」エンジンオイル! コツコツためて使っても問題ない?
交換のたびに「ちょっと余る」エンジンオイル! コツコツためて使っても問題ない?
WEB CARTOP
【F1メカ解説】レッドブルがラスベガスで見せた”荒療治”。大きすぎた空気抵抗に対処すべく、サーキットでリヤウイングを削る苦肉の策
【F1メカ解説】レッドブルがラスベガスで見せた”荒療治”。大きすぎた空気抵抗に対処すべく、サーキットでリヤウイングを削る苦肉の策
motorsport.com 日本版
ライダーを重視した先進装備を多数搭載。新型『トライアンフ・タイガースポーツ660』発表
ライダーを重視した先進装備を多数搭載。新型『トライアンフ・タイガースポーツ660』発表
AUTOSPORT web
F1メディア委員会、故意のフェイクニュースの監視と取り締まりを検討
F1メディア委員会、故意のフェイクニュースの監視と取り締まりを検討
AUTOSPORT web
アルパイン2025年モデル発表 車種専用モデルさらに拡充 ナビもディスプレイオーディオも充実
アルパイン2025年モデル発表 車種専用モデルさらに拡充 ナビもディスプレイオーディオも充実
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

39件
  • デザインの時点でポルシェの圧勝。
  • なんだか薄っぺらい比較だな。スペックだけじゃないんだよ。旧モデルでもなんでも、両方とも所有した事がないような人間に記事書かせんなよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1694.03642.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

180.08000.0万円

中古車を検索
911の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1694.03642.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

180.08000.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村