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中国CATL、成長戦略を発表…電池を製品からサービスに転換へ

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中国CATL、成長戦略を発表…電池を製品からサービスに転換へ

中国の電池大手CATLは、パリ協定締結から10年を迎えるにあたり、同社の成長と今後の戦略を発表した。

2025年第3四半期までに、中国の「新三種」(電気自動車、リチウムイオン電池、太陽光発電セル)の輸出総額は9000億元を超え、このうちリチウムイオン電池は約4000億元と全体の40%以上を占めた。リチウムイオン電池の総輸出量約200GWhのうち、CATLは約120GWhを占め、世界シェアの約6割に達している。

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同社は世界13カ所に生産拠点を持ち、約15万人の雇用を創出。2024年第3四半期までの納税額は245億元に達し、前年同期比で大幅に増加した。

過去10年間で、CATLは研究開発に総額800億元以上を投資し、2024年第3四半期だけで150億元以上を投じた。2024年上半期時点で、保有または申請中の特許は約5万件に達し、国際特許出願数で中国企業トップクラスとなっている。

現在、世界で2000万台以上の新エネルギー車がCATL製電池を搭載しており、年間約1400万トンの二酸化炭素排出削減に貢献している。

同社は「包括的成長の時代」に向けて4つの成長戦略を展開している。

第一に、技術革新の推進。第4世代リン酸鉄リチウム(LFP)電池は、エネルギー密度、製品寿命、出力密度で業界の主流製品を上回る性能を実現。最近発表した第5世代LFP製品では、エネルギー密度とサイクル寿命でさらなる進化を遂げた。三元系電池では「麒麟(Qilin)」や「Freevoy」などのシリーズで長期的な優位性を維持している。

今年発表した「Naxtra」ナトリウムイオン電池は、リチウム資源への依存を軽減し、安全性と低炭素排出を実現。低温性能の課題にも対応し、高緯度地域での新エネルギー車普及に新たな道を開いた。全固体電池の研究開発と産業化の進捗も世界トップクラスにある。

第二に、応用シーンの拡大。乗用車から商用車、電動船舶、電動航空機へと電池の応用範囲を広げている。商用車分野では、新エネルギー大型トラックの普及率が過去最高を記録し、CATL製「Tectrans」電池が純電動大型トラックの第一選択肢となっている。

電動船舶分野では、CATL製電池を搭載した約900隻が運航中で、内陸および沿岸航行エリアをカバー。中国初の全電動旅客船や貨物船向け電池交換プロジェクトにも貢献した。

低空モビリティ分野では、2トン級eVTOLが複雑な環境下で複数回の飛行検証を完了。型式証明(TC)、製造証明(PC)、耐空証明(AC)を取得済みで、現在運航証明(OC)の取得手続き中だ。

第三に、ビジネスモデルの革新。「車電分離」に基づく電池交換モデルを推進し、電池を製品からサービスへと転換している。

今年、CATLの「Choco-Swap Alliance」は中国国内45都市に拡大。年末までに1000カ所の電池交換ステーションを建設し、将来的には世界で3万カ所の展開を目指す。これにより、ユーザーは給油と同じように、いつでもどこでもエネルギー補給が可能になる。

最近、京東集団(JD.com)や広州汽車集団(GAC)と共同で、Choco-Swapシステムに基づく「People's Great Car」を発表。この車両には最新の耐高温電池を採用し、水冷システムが不要で、より長い寿命と高い安全性を実現した。電池交換システムは全固体電池にも柔軟に対応し、ユーザーが常に最先端技術にアクセスできる。

第四に、ゼロカーボンエコシステムの構築。CATLは風力、太陽光、蓄電を統合したソリューションを積極的に展開し、グリーン電力で直接稼働するゼロカーボン産業パークを創出している。四川省宜賓市をはじめ、海南省、福建省、山東省などで「ゼロカーボンモデル」の実証実験を実施中だ。

同社は動力電池リサイクルの国家標準策定も主導している。現在、ニッケル、コバルト、マンガンのリサイクル率は99.6%に達し、リチウムのリサイクル率は91~93%から現在の96.5%に向上。いずれも世界最高水準という。今年、CATLは「Global Energy Circularity Commitment(GECC)」を立ち上げ、世界のパートナーと共に循環経済への転換を推進している。

CATLは、新エネルギー産業が高速成長から高品質発展へ、そして単独の技術革新から包括的成長へと移行する新たな段階に立っていると強調。品質を基盤とし、イノベーションを原動力として、すべてのステークホルダーと協力し、新エネルギー産業の「包括的成長の時代」への移行を加速させ、より良いゼロカーボン社会とグリーンな未来を共に創造していく、としている。

文:レスポンス 森脇稔
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