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新車販売はリーマン以上の危機!! 4月の販売台数28.6%減 この状態から抜け出せるのか?

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新車販売はリーマン以上の危機!!  4月の販売台数28.6%減 この状態から抜け出せるのか?

 2020年 5月12日、トヨタはコロナ禍による影響拡大で、2021年3月期決算(国際会計基準)の営業利益が前年より79.5%減の約5000億円になりそうだと発表した。

 豊田章男社長はネットの決算会見席上で、上記に見通しとともに、今回のコロナ禍による影響は「リーマンショック以上の危機」とコメント。

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 まさに、豊田章男社長の言葉通り、自動車業界はリーマンショックを超える未曾有の危機になることは確実視されているが、直近の新車販売の状況はどうなのだろうか?

 2020年4月の登録車と軽自動車の販売台数、そして通称名別の販売台数が、日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会から発表されているので解説していきたい。

文/ベストカーWeb編集部
写真/ベストカーWeb編集部

トヨタが発表した決算発表会資料。2021年3月期の見通しでは営業利益が79.5%減の5000億円と発表。その一方で、研究開発費がむしろ増えていることにも注目したい

【画像ギャラリー】4月の販売台数NO.1に輝いたクルマ&ランキング50車

登録車と軽自動車の総台数は?

 まず、日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が2020年5月1日に発表した2020年4月の新車販売統計から見ていきたい。

 総台数は前年同月比28.6%減の27万393台となり、10%に消費税が引き上げられた2019年10月以来の大幅な落ち込み(前年同月比24.9%)となった。

 このうち登録車は、25.5%減の17万2138台と7か月連続のマイナス。メーカー別に販売台数の前年同月比を見ていくと、ロッキーが好調のダイハツの26.0%増以外は軒並みマイナスとなった。

日本自動車販売協会連合会データより作成

 トヨタが20.7%減、レクサスが23.3%減、ホンダが14.2%減、マツダが26.2%減と比較的落ち込みは少ないものの、スズキが47.0%減、日産が53.2%減、スバルが56.0%減、三菱が65.2%と4メーカーの落ち込みぶりが目立つ。

 一方、軽自動車の販売台数は33.5%減の9万8255台となり、7ヵ月連続のマイナスで2019年10月の消費税10%導入後の22.3%を大幅に上回る落ち込み幅となった。

 軽乗用車の販売台数をメーカー別に見ていくと、ホンダが24.4%減、ダイハツが33.0%減、日産が33.5%減と落ち込み幅はやや少ないものの、スズキが45.6%減、三菱が56.9%減と2メーカーが大幅に落ち込んでいる。

出典/全国軽自動車協会連合会

ヤリスが登録車トップに輝きライズが7位に落ち込む

4月の販売台数はヤリスが初めてトップに立った

 続いて、2020年5月11日に日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が発表した、2020年4月の乗用車車名別販売台数と軽四輪車通称名別新車販売速報を見ていこう。

 1位がヤリスの1万119台、2位がフィットの8977台、シエンタが6982台で3位となった。2020年1月と2月の車名別ランキング1位となったライズは7位と大幅に順位を下げた。

 ランキング表の対前年同月比を見てほしいのだが、2位のフィット意外は軒並み前年割れしており、プリウスが42.2%、アクアが58.6%、セレナが50.7%、ノートが51.1%と、ベストセラー車の落ち込みが激しく、そのほかの車種も対前年比4割~6割となっており、大幅に落ち込んでいるのがわかる。

■2020年4月の車名別販売台数ランキングBEST10
1位 トヨタ「ヤリス」:1万119台(―)
2位 ホンダ「フィット」:8977台(前年同月比132.5%)
3位 トヨタ「シエンタ」:6982台(前年同月比99.8%)
4位 トヨタ「カローラ」:6679台(前年同月比91.1%)
5位 ホンダ「フリード」:6030台(前年同月比95.7%)
6位 トヨタ「アルファード」:5739台(前年同月比98.6%)
7位 トヨタ「ライズ」:5545台(―)
8位 トヨタ「ルーミー」:5104台(前年同月比71.5%)
9位 トヨタ「プリウス」:4669台(前年同月比42.2%)
10位 トヨタ「アクア」:4551台(前年同月比58.6%)

 一方、軽自動車を見ると、1位のN-BOXが1万4034台(72.4%)、2位のタントは8295台(71.3%)、ムーヴは6877台(68.5%)で3位となった。ランキング15位に入ったクルマの対前年同月比を見ていくと、全体的に見て登録車よりも若干落ち込み幅が少ない印象だ。

4月の軽販売1位となった盤石のN-BOX。それでも前年同月比72.4%と伸び悩んでいる

■軽自動車車名別販売台数ランキング
1位 ホンダ「N-BOX」:1万4034台(前年同月比72.4%)
2位 ダイハツ「タント」:8295台(前年同月比71.3%)
3位 ダイハツ「ムーヴ」:6877台(前年同月比68.5%)
4位 スズキ「スペーシア」:6426台(前年同月比44.2%)
5位 ダイハツ「ミラ」:5506台(前年同月比70.9%)
6位 ホンダ「N-WGN」:4682台(前年同月比119.1%)
7位 スズキ「ハスラー」:4294台(前年同月比89.5%)
8位 スズキ「ワゴンR」:3668台(前年同月比49.7%)
9位 スズキ「アルト」:3445台(前年同月比60.1%)
10位 日産「デイズ」:3419台(前年同月比35.9%)

販売の現場、ディーラーも逼迫した状況

 そこで、販売の現場であるディーラーの状況はどうなのか、ディーラーマンの生の声を聞くためにディーラーを回った。

 まず、5月から全車種全店扱いになったトヨタモビリティ神奈川に足を運んでみた。想像していたとおり、日曜日にもかかわらずショールーム内には2家族ほどでまばらな印象。さっそく営業マンにコロナ禍による影響を聞いてみた。

5月から全車種全店扱いになったトヨタの販社だったがコロナ禍の影響で販売状況は大幅に落ち込みスタートからつまづいた格好だ

 「2月にヤリスが発売されたのですが、3月から4月の上旬にかけて納車と新車を見に来たお客さんで、かなり多かったのですが、4月中旬以降はさっぱりです。

 時短で営業ということもありますが、来場するお客様はいつもよりは半分以下になっています。5月から全車種扱いになって準備万端だったのですがかなり寂しい状況で、このままでは厳しい状況です。

 売りたい魅力的なクルマがたくさんあるのに悔しいですね。車種が一気に増えてカタログを置くスペースに苦労していたのですが、お客様が少ないので期待していたほどではなく……。

 頼みのライズも生産が遅れていまして、納車が4ヵ月以上かかってしまっています。なんとか、5月中旬以降に徐々にお客様が戻っていただけることを期待しています」とかなり厳しい胸の内を明かしてくれた。

 続いて、フィットが絶好調の首都圏のホンダカーズに向かった。ショールームに到着すると、3人ほどのお客さんが座っていたが、ここもやはり寂しい状況。

 「日曜日は点検のお客さんも含めて10以上あるテーブルがすべて埋まってしまうのですが、4月中旬以降、3分の1ほどに減ってしまいました。

 でもフィットが発売したばかりで人気ですし、N-BOXやN-WGNも好調なので売り上げ半減というほどにはなっていないと思います。

 フィットの納期もホンダカーズ東京に在庫があれば3週間から1ヵ月、なければ7月末くらいという状況です。

 でも正直、こんな状況のなか、ショールームに来ていただいたお客様には心から感謝しています。

 普段、発売直後の新車ですと、お値引きは5万円程度なのですが、すぐに決めていただけるなら、特別に部長、店長にも話をすぐに通して10万円以上は頑張らさせていただきます。

 とはいってもなかなかこの時期に新車を買おうとする人はいませんので、6月のボーナス商戦からが本腰、と捉えて頑張っていきたいと思います」とコメント。

 タブレット端末で丁寧に説明してくれたのだが、「クルマの販売はやはり対面接客が基本なので、これから半年以上は厳しい状況が続くのではないか……」とも語ってくれた。

閑散としているホンダカーズのショールーム

今後の見通しについて

 さて、今後の自動車販売の見通しについては、どこまでコロナ禍の影響が広がるのかわからず、先行き不透明という状況だが、トヨタが5月12日発表した2020年4月期の決算発表会で今後の見通しを推測していたので、参考までに紹介しておきたい。以下トヨタの2020年3月期の決算発表会資料より抜粋。

「今後の世界経済は、新型コロナウイルスの影響により、多くの国・地域での急激な落ち込みが 懸念されます。

 自動車の生産面、販売面にも既に大きな影響が及んでいます。一日も早い収束を 願い、当社グループも一丸となって対応に力を尽くしていきます。

 世界の自動車市場は、全体として2020年4月から6月を底に徐々に回復し、2020年の年末から 2021年の前半にかけて、前年並みに戻る前提としていますが、影響は広域かつ甚大で、深刻であり、当面は弱い動きが続くと見込まれます」(2020年3月期決算要旨P5より)。

 トヨタが推測した通り、4月から6月を底に徐々に回復していってほしいと願うばかりだ。

2020年5月以降の各社の国内生産体制について

スバルの生産工場は長らく稼働していなかったが5月11日から稼働開始

 最後に、2020年5月以降の国内生産体制について各社が発表している内容をまとめてお伝えしておこう。

■自動車各社の国内自動車生産の調整計画
※各社のプレスリリースから抜粋
■トヨタ
■稼働停止(全15工場28ライン中、5工場9ライン)
●堤工場 第1ラインおよび2ライン 5/12~15、4日間。生産車種:プリウス、プリウスPHV、カムリ、プレミオ、アリオン、カローラスポーツ
●田原工場 第1ライン 5/12~18、5日間。生産車種:LS、IS、GS、RC、NX、ランドクルーザー、4ランナー、各種エンジン
●トヨタ自動車東日本(TMEJ)東富士工場 F201ライン及びF301ライン 5/12。生産車種:センチュリー、ポルテ、スペイドなど
●トヨタ自動車東日本(TMEJ)岩手工場 第1ライン 5/12~13、2日間。生産車種:アクア、C-HRなど
●日野自動車 羽村工場・第1ライン 5/12~15、4日間 生産車種:ランドクルーザープラド、FJクルーザー
●日野自動車 羽村工場 第2ラインおよび第4ライン 5/12。生産車種:ランドクルーザープラド、ダイナ/トヨエース
■ライン稼働を半減、1直化(3工場4ライン)
●田原工場 第1および第3ライン 5/1~6/30。稼働1直化(2直とも従業員は出勤)。生産車種:LS、IS、GS、RC、NX、ランドクルーザー、4ランナー、各種エンジン
●日野 羽村工場 5/1~6/30。第1ラインのみ稼働1直化(2直目は休業対応)。生産車種:ランドクルーザープラド、FJクルーザー
●岐阜車体 第2ライン 5/1~6/30。稼働1直化(2直目は休業対応)。生産車種:コースター

■日産
●追浜工場 5/11、5/12の車両生産停止。生産車種:リーフ、シルフィ、ノート
●栃木工場 5/11~15、5/18~20、5/22~29の車両生産停止。生産車種:シーマハイブリッド、フーガハイブリッド、フーガ、スカイライン、GT-R、フェアレディZ。海外向けはインフィニティ各車種、370Z
●日産自動車九州 5/11~13の車両生産停止。生産車種:セレナ、エクストレイル、海外向けローグ、ローグスポーツ
●日産自動車九州 第2工場 5/14~15、5/18~19、5/21、5/25、5/28~29の車両生産停止

■ホンダ
●埼玉製作所狭山工場完成車ライン生産休止。4/27~5/1(5稼働日)。生産車種:ステップワゴン、オデッセイ、ジェイド、レジェンド、クラリティPHEV、クラリティフューエルセル
●埼玉製作所寄居工場完成車ライン生産休止。4/27~4/29(3稼働日)。生産車種:CR-V、ヴェゼル、フリード、グレイス、シビックセダン、インサイト

■マツダ
●宇品工場第一工場は昼勤のみ。生産車種:CX-3、CX-30、CX-5、CX-8、CX-9、ロードスター、ボンゴ、フィアットクライスラー向けスポーツカー
●防府工場第一工場は昼勤のみ。生産車種:マツダ2、マツダ3、CX-3
●宇品工場第二工場生産休止。5/11~12、5/20~22、5/25~29。生産車種:CX-5、レシプロガソリンエンジン、ディーゼルエンジン
●防府工場第二工場生産休止。5/11~14、5/18~21、5/26~29。生産産車種:マツダ6、CX-5
※稼働している日はすべて昼勤のみ

■スバル
●5月11日に生産再開後、29日まで、完成車を製造している本工場と矢島工場で通常、早番・遅番の2直操業のところ早番のみの1直で操業する。エンジン、トランスミッションを製造する大泉工場は完成車拠点の1直操業に合わせた形で稼働する。
●群馬製作所・本工場生産車種:レヴォーグ、インプレッサ、XV、WRX、BRZ、大泉工場(エンジン・トランスミッション工場)
●矢島工場生産車種:レガシィ、インプレッサ、XV、フォレスター

■三菱
●水島製作所第1組立ライン(軽自動車) 5/12~5/15生産停止
●水島製作所第2組立ライン(登録車) 5/12~15生産停止。生産車種:RVR、i-MIEV、ekワゴン、eKクロス、ekスペース、ekクロススペース
●岡崎製作所組立ライン 5/12~15生産停止。生産車種:アウトランダーPHEV、アウトランダー、エクリプスクロス
●パジェロ製造(株)組立ライン 5/12~15生産停止。生産車種:デリカD:5、海外向けパジェロ

■スズキ 
●主力の湖西工場(四輪) 5/14、15、22の一部操業以外は2勤の通常操業。生産車種:アルト、スペーシア、ワゴンR、ハスラー、ジムニー
●磐田工場 5/14、15、22操業停止以外は2勤の通常操業。生産車種:エブリイワゴン、エブリイ、キャリイなど
●相良工場 5/11~22まで交代勤務から1勤へ変更。生産車種はイグニス、スイフト、ソリオ、クロスビーおよびエンジン組み立てなどを行う
●浜松工場(二輪車生産)および湖西工場(船外機) 5/11~29は2勤の通常操業
●鋳造部品の製造などを行う大須賀工場 2勤の通常操業
※5月11日以降

■ダイハツ
●本社池田工場 5/1、5/11~13生産停止。生産車種:トール、ルーミー、タンク、ジャスティ、ブーン&パッソ、コペン
●京都工場 5/1、5/11生産停止。生産車種:プロボックス&サクシード、ムーヴキャンバス
※上記工場以外は稼働中

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みんなのコメント

2件
  • 「前年同月比28.6%減」によっぽどひどいことかと思ったが、「10%に消費税が引き上げられた2019年10月以来の大幅な落ち込み(前年同月比24.9%)となった。」ってことは、ときどきあることなの?飲食業やデパートが80~90%減というのを聞くと、そんなに驚く数字ではないのかなと思ってしまう。
  • あっそ!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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