現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 維持費の利点じゃない! 軽自動車人気の理由は20年以上改定されない規格にあり

ここから本文です

維持費の利点じゃない! 軽自動車人気の理由は20年以上改定されない規格にあり

掲載 更新
維持費の利点じゃない! 軽自動車人気の理由は20年以上改定されない規格にあり

 駐車場事情や現在流行の小排気量ターボが理に適っている

 2017年、日本国内における新車・乗用車の販売台数は、軽自動車が144万3367台(前年比107.3%)、登録車(小型車・普通車)が294万3010台(同105.1%)。2017年に新車販売された乗用車の1/3は軽自動車となっている。

【どっちがお得】1リッターコンパクトと軽自動車を5年乗った費用を比較してみた

 こうしてシェアを拡大しているのにはいくつかの理由があるだろうが、維持費が有利というのは少々疑問だ。そもそも軽自動車が税金や高速料金など維持費の面で有利なのは、昭和の時代から変わっていない。もし維持費のメリットが売れている理由だとすれば、20年前と比べて軽自動車の人気が伸びていることは説明できない。

 おそらく平成に入ってから、2度の規格拡大(1990年、1998年)、ハイトワゴンの登場(スズキ ワゴンRが大ヒットした)、スーパーハイトワゴンの登場(ダイハツ タントが先鞭をつけた)といったカテゴリー全体の商品性を上げる事象があり、そして現在のホンダN-BOXが日本一売れているという状況につながっているのだろう。維持費が安くても我慢を強いられるのでは買いたくないというユーザーも、今の軽自動車であれば納得してファーストカーとして愛車にできるようになったことも見逃せない。

 また、さまざまな要件からクルマが大きくなる中で、軽自動車の大きさは一定という点も好調なセールスには貢献していると思われる。モデルチェンジごとに車体が大きくなってしまう中で、全長3.4m、全幅1.48mという大きさに収まっていることがある意味で保証されている軽自動車は、駐車スペースなどが限られた環境においては安心材料になる。

 そんな軽自動車だが、しばしば排気量拡大の話が聞こえてくる。排気量に余裕があれば、結果的に燃費などの環境性能にも有利になるはずだ、というのがそうした主張を支えている。しかしながら過去には軽自動車に大きめのエンジンを積んだモデルが存在していなかったわけではない。

 たとえば、軽自動車ボディに1リッターエンジンを搭載したダイハツ・ミラジーノ1000というモデルもあったが、燃費でもパフォーマンスでも、それほどのメリットがあったという記憶はない。むしろ、ダウンサイジングターボのトレンドからすると660ccターボを進化させた現代の軽自動車のほうがトルクフルで乗りやすい面はあるかもしれない。

 もうひとつ、電池の生産性が上がり、コストが下がってくると、近距離ユースの多い軽自動車は電気自動車にシフトする可能性がある。そうした現状と将来像からすると、排気量を上げるという規格変更は考えにくいといえそうだ。

 それに、フォルクスワーゲン・ゴルフなどのCセグメントが1.2~1.4リッターターボ、Bセグメントのポロが1リッターターボを搭載していることからすると、Aセグメントの中でも小さいボディの軽自動車が660ccターボというのは、結果的にライトサイジングエンジンを得たといえるかもしれない。

 軽自動車という規格下にあって、大きさの変わらないボディと排気量を660ccに制限されたエンジンによって構成されているが、モデルチェンジごとに使い勝手やハンドリングといったトータルでの性能をアップさせてきたことが、確固たる支持を集めているのだろう。グローバルモデルにはない、日本専用にアップデートしてきたメリットが大きくなっているという見方もできよう。

 もうひとつ、政治経済的な視点でいえば、軽自動車というのは日本独自の規格であり、しかも比較的利幅の小さいカテゴリーであるため、海外で生産するというインセンティブがわきにくい。個々のメーカーはもちろん、自動車産業全体としてみても国内の生産拠点を一定規模で維持するためには軽自動車が売れるということはプラスである。

 ユーザーがそこまで考えてクルマ選びをしていることはないだろうが、軽自動車を生産しているメーカーとしては「軽自動車を売ること」は重要だ。そのためには各社が企業努力をすることになる。これもまた軽自動車が売れている理由として挙げられそうだ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

高速の大渋滞「乗り方」次第で「緩和できるかも…」ってマジ!? 明日から実践したい「スゴイ運転術」とは
高速の大渋滞「乗り方」次第で「緩和できるかも…」ってマジ!? 明日から実践したい「スゴイ運転術」とは
くるまのニュース
“オートバイ界のロールス・ロイス” 復活した高級ブランド ブラフ・シューペリア「SS100」ってどんなバイク?
“オートバイ界のロールス・ロイス” 復活した高級ブランド ブラフ・シューペリア「SS100」ってどんなバイク?
VAGUE
直感的にチョイスした「ピリ辛ネギ醤油ラーメン」は王道の味 関越道「三芳PA」
直感的にチョイスした「ピリ辛ネギ醤油ラーメン」は王道の味 関越道「三芳PA」
バイクのニュース
スバル『アウトバック』次期型はSUVで登場! デザインを予想…土曜ニュースランキング
スバル『アウトバック』次期型はSUVで登場! デザインを予想…土曜ニュースランキング
レスポンス
ペレス「キャリアの最後をプレッシャーが最高潮に達する頂点で過ごしたい」他チームからの契約オファーを2件断ったと明かす
ペレス「キャリアの最後をプレッシャーが最高潮に達する頂点で過ごしたい」他チームからの契約オファーを2件断ったと明かす
AUTOSPORT web
日本に設定のないカラーを求めてイタリアから取り寄せた「アバルト595」に「500」から乗り換えた「アバルト595」…三者三様の「595ライフ」を紹介します
日本に設定のないカラーを求めてイタリアから取り寄せた「アバルト595」に「500」から乗り換えた「アバルト595」…三者三様の「595ライフ」を紹介します
Auto Messe Web
ツーリングアプリ「RISER」での新しい旅を、豪華賞品が当たる<CHALLENGE>機能で体験だ!【クシタニ】  
ツーリングアプリ「RISER」での新しい旅を、豪華賞品が当たる<CHALLENGE>機能で体験だ!【クシタニ】  
モーサイ
「ROYAL ENFIELD石川」が県内初の正規販売店として金沢市にオープン!  
「ROYAL ENFIELD石川」が県内初の正規販売店として金沢市にオープン!  
モーサイ
【写真蔵】Mモデル初のハイブリッドシステムを採用した、BMW 新型M5
【写真蔵】Mモデル初のハイブリッドシステムを採用した、BMW 新型M5
Webモーターマガジン
マルティンvsバニャイヤ、決着の時。MotoGP最終戦での両者から見たタイトル獲得条件をおさらい
マルティンvsバニャイヤ、決着の時。MotoGP最終戦での両者から見たタイトル獲得条件をおさらい
motorsport.com 日本版
電動化してもベントレーブランドは揺るがない! 新経営戦略「ビヨンド100+」を発表
電動化してもベントレーブランドは揺るがない! 新経営戦略「ビヨンド100+」を発表
THE EV TIMES
ラリージャパン直前ウェルカムセレモニー開催…勝田貴元、「チーム王座獲得への貢献」を目標に最終戦を戦う
ラリージャパン直前ウェルカムセレモニー開催…勝田貴元、「チーム王座獲得への貢献」を目標に最終戦を戦う
レスポンス
究極のV12エンジン搭載軽量スーパーカーが日本初上陸!「ゴードン・マレーT.50」
究極のV12エンジン搭載軽量スーパーカーが日本初上陸!「ゴードン・マレーT.50」
LE VOLANT CARSMEET WEB
勝田貴元が3度目の母国ラリージャパンに臨む「プレッシャーが良いエネルギー。表彰台以上でチームに貢献したい」
勝田貴元が3度目の母国ラリージャパンに臨む「プレッシャーが良いエネルギー。表彰台以上でチームに貢献したい」
AUTOSPORT web
「いつもよりもMoto2のバイクを楽しもうと思って乗っている」チャンピオン小椋藍、初日6番手発進/第20戦ソリダリティGP
「いつもよりもMoto2のバイクを楽しもうと思って乗っている」チャンピオン小椋藍、初日6番手発進/第20戦ソリダリティGP
AUTOSPORT web
ホンダのエース不在のなか新型プジョーが2勝目。王者バカンが初の連覇を達成/TCR豪州最終戦
ホンダのエース不在のなか新型プジョーが2勝目。王者バカンが初の連覇を達成/TCR豪州最終戦
AUTOSPORT web
スバルが新型「ステーションワゴン“SUV”」発表! 黒顔&走行性能高めた「ファイナルモデル」! “最上級”の「レガシィアウトバック」“30th A”が販売店でも話題に
スバルが新型「ステーションワゴン“SUV”」発表! 黒顔&走行性能高めた「ファイナルモデル」! “最上級”の「レガシィアウトバック」“30th A”が販売店でも話題に
くるまのニュース
壮大なスケールのイベントはどんな経緯で実現したのか? 『BMW MOTORRAD G/S DAY'S 2024』の成り立ち
壮大なスケールのイベントはどんな経緯で実現したのか? 『BMW MOTORRAD G/S DAY'S 2024』の成り立ち
バイクのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

129.5158.6万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1.0300.0万円

中古車を検索
ワゴンRの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

129.5158.6万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1.0300.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村