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【本国発表!】メルセデス・ベンツの新型Sクラスが、とんでもないことになってる!?

掲載 更新 23
【本国発表!】メルセデス・ベンツの新型Sクラスが、とんでもないことになってる!?

2020年9月2日、ドイツ本国で発表されたメルセデス・ベンツの新型Sクラス。オンラインワールドプレミアに参加した本誌執筆陣のひとり、元ドイツ在住の竹花寿実氏が、早速その概要を解説してくれた。90ページ以上にも及ぶドイツ語の資料を読んでわかった、驚きのフルモデルチェンジの内容とは?

シンプルな外観、直線的な内装
メルセデス・ベンツのフラッグシップセダンであるSクラスが7年ぶりにフルモデルチェンジした。2013年に従来モデルのW222が登場したときも、大幅に高められたラグジュアリー性や先進テクノロジー満載の内容に世界が驚愕したが、W223と呼ばれる新型は、果たしてどれほどの進化を遂げているのだろうか。

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まずはデザインから見てみよう。エクステリアは、全体的に従来よりもすっきりとした印象だ。現行Aクラスなどに見られる、可能な限りラインを排除した、最新のデザインフィロソフィ「Sensual Purity(官能的純粋性)」を具現化した造形である事がよく解るが、大きく口を開いたフロントグリルやウイング形状のヘッドライト、大きなアーチを描くサイドのキャラクターライン、三日月型のサイドウインドー形状、そしてリヤウインドー形状などが、Sクラスである事を明確に主張している。一層クーペライクになったシルエットは、現代のトレンドに沿ったものだろう。

インテリアは、エクステリア以上に変化した。インパネからは横長の大型ディスプレイが消え、センターコンソールから立ち上がった12.8インチ(標準は11.9インチ)と、従来から64%も大型化したOLED(有機EL)タッチディスプレイが登場。ドライバー正面には12.3インチのOLEDディスプレイが備わる。


全体の造形も直線的となり、曲線を多用した従来モデルからテイストが大きく変わっている。エアコン吹き出し口も丸型から長方形になった。素材は最上級のウッドやレザー、カーボンなど、さまざまな種類が用意されているが、ウッドパネルにはアルミのインサートが施された、ヨットをイメージしたものも用意される。またレザーインテリアは、高級ブランドのバッグや財布といったファッションの世界からインスパイアされた仕立てが施されている。

ラグジュアリー感は格段に向上
アンビエントライトは、1.6cm間隔に約250個ものLEDを備え、アニメーション機能に加えて、ドア開閉時に車両や歩行者が近づいている場合には警告灯としての機能も備えている。シートベルトのバックルにも、夜間に見つけやすいようイルミネーションが備わった。

室内空間は、特に横方向と後席のレッグスペースを中心に一層拡大した。シートは完全に新設計だ。従来からリヤシートには「クッシェルキッセン」と呼ばれるスーパーソフトクッションが備わっていたが、新型はこれをフロントシートにも採用。リヤシート用には新たにヒーター機能が備わっている。

ラグジュアリーのレベルは、従来モデルからさらにレベルアップしたという。これは、単純にインテリアの高級感が増したという話ではなく、視覚や聴覚、触覚など、乗員が感じるあらゆる部分を徹底的に磨き上げたからだ。各ディスプレイの表示の美しさや、スイッチ類のタッチ(パワーシートの操作パネルはセンサー式となった)、そして何より静粛性が格段に高められた。これは、インシュレーターの適切な配置はもちろんだが、ボディ構造体の内側に吸音材を入れ込んだ事が大きく寄与しているという。

サイズが縮小した部分も?
ボディバリエーションは、従来通りショートホイールベースとロングホイールベースの2タイプが用意される。ショートは全長5179mm、全幅1954mm、全高1503mm、ホイールベース3016mmで、従来モデルより54mm長く、55mm幅広く、10mm背が高く、ホイールベースは71mm伸びている。ロングは全長5289mmでホイールベースは3216mmで、どちらもショートより110mm長く、従来モデルより全長で34mm、ホイールベースは51mm伸びている。

1954mmの全幅は、標準のグリップドアハンドルの場合で、オプションのフラッシュドアハンドルを選べば1921mmとなる。またドアミラーを開いた状態の全幅は2109mmと、従来モデルより21mm小さくなっている点が面白い。これは取りまわしのしやすさとエアロダイナミクス向上が目的だと考えられるが、実際にCd値は0.22と世界最高レベルで、従来モデルより前面投影面積が200平方cm増したにもかかわらず、ドラッグは低減している。


まずは5グレードから
搭載されるパワートレーンは、当面はガソリンとディーゼルとなる。ガソリンは2種類の3.0L直6ターボで、367馬力と500Nmを発揮するS450 4MATICと、435馬力と520Nmを絞り出すS500 4MATICの2タイプ。どちらも22馬力と250Nmを発揮する電気モーターが発進加速をアシストするISG付きだ。ディーゼルは全車2.9L直6ターボで、286馬力と600NmのS350dおよび同4MATICと、330馬力と700Nmを発揮するS400d 4MATICの3タイプとなっている。なお、全車9速ATの9Gトロニックが組み合わされる。

ただし、発売から間を置かずにラインアップは追加になるようだ。V8エンジンにISGと48Vオンボードネットワークを搭載したモデルは追加されるとすでにアナウンスされている。また、2021年中には、最大100kmのEV走行が可能なプラグインハイブリッドが追加される予定だ。

シャシーには、新たにリヤアクスルステアリングが設定された。これはスマホを介して車外から操作できるリモートパーキングアシストとセットオプションで、後輪を最大10度もステアする。これにより最小回転直径は最大2mも小さくなり、Aクラスと同等の小回りが可能となる。

足まわりには、E-アクティブ・ボディ・コントロール・サスペンションを用意。すでにGLEなどにも採用されている、48V電源で駆動するこのアクティブサスは、PRE-SAFEとの協調制御で、車両側面からの衝突を検知すると、瞬時に車高を8cm持ち上げて、強度のあるサイドシルで衝撃を受ける機能も備えている。


安全装備の先進さがスゴすぎる!
安全装備としては、世界初のリヤエアバッグが登場。これは前面衝突時にフロントシート背面にコンパクトに収納されたエアバッグが展開するもので、チューブ状のフレーム部が膨らみ、その間に張られたシートとともに後席乗員を包み込むように守るものだ。さらには、運転席と助手席の間には新たにセンターエアバッグを装備。これは側面衝突時に前席乗員の頭部の衝突を防ぐためのものである。

ADASももちろん最新世代だ。短・長距離レーダーやステレオカメラ、360度カメラ、超音波センサーなどを備えた新型Sクラスは、ACCにあたるディストロニックは、最大130km/hまで衝突回避が可能となり、アクティブ・ステアリング・アシストは、田舎道など車線が明確でない道などで、状況に応じて車線の中心を外れた走行も可能となっている。トラフィック・サイン・アシストは、速度規制に加えて道路工事のサインも読み取るようになり、一時停止や赤信号を無視しそうになると警告を発する機能も搭載。アクティブ・レーン・キーピング・アシストは、芝生など道路の端を検知するようになった。これらのほかにも、書き切れないほどさまざまな先進機能が盛り込まれている。

ヘッドアップディスプレイも、AR(仮想現実)による表示を行う「AR-HUD」に進化した。これは、前方10mの距離に77インチのモニターが置かれているのと同等のワイドな表示エリアを持ち、カーナビの指示を実際の進むべき方向に重ねて表示する事も可能となっている。

そしてデジタルライト(オプション)と呼ばれるLEDヘッドライトも新登場。このヘッドライトは、130万ものマイクロミラーを用いて、より緻密で精細な配光を実現したほか、工事区間が近づくと路面にショベルカーの画を投影したり、工事区間で車線が狭くなっている場合に、自車の車幅を投影してドライバーをサポートするなど、多彩な機能を備えている。


ついにレベル3の自動運転へ!
2021年後半には、ドイツを皮切りに特定の高速道路上でレベル3の自動運転が可能となる。「ドライブ・パイロット」と呼ばれるこの機能は、渋滞などにより60km/h以下で走行中に自動運転状態に設定すると、メールチェックなど「二次的な活動」が可能になるという。これはドライバーがよそ見をすることは許されていない日産のプロパイロット2.0のハンズオフ機能を超えており、完全にレベル3と呼んでいいものだ。ちなみにドライブ・パイロットは、法規が許せば60km/h以上の速度にも対応可能だという。

加えて特定の設備が整った駐車場では、車寄せで降車した後に、クルマが無人で空いている駐車スペースへ向かい、再び乗るときには無人で車寄せまで迎えに来るという、レベル4に相当する「オートメイテッド・ヴァレー・パーキング」も搭載した。もう驚くばかりである。

これでもまだ全部紹介できません……
「ハイ、メルセデス!」でおなじみのMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)についても言及しておかなければならない。完全に新世代のMBUXは、27の言語に対応したほか、計算能力は50%向上し、より自然な会話形式でやりとりが出来る様になった。また、シートヒーターとナビなど、複数の指示を続けて送ることも可能になり、一部の機能では「ハイ、メルセデス!」が不要になっている。さらには、車両の機能説明や、一般的な事柄に関する質問にも対応可能となった。また前席左右に加えて、後席左右どちらの乗員が発した言葉であるかも認識可能となっている。

OTA(オーバー・ザ・エアー)によるソフトウェア・アップデートに対応した点も注目だ。これは、MBUXのシステム全体や、ドライバーディスプレイ、ADAS、マルチビームLEDおよびデジタルライトの制御システムなどを含む、50以上の電子コンポーネントが対応している。これにより新型Sクラスの各機能は、つねに最新の状態に保たれる。

概要としてはこんなところだが、新型Sクラスには、まだまだ注目すべきポイントが山ほどあるのが正直なところ。それらすべてに言及していたらキリがない。それほど新機軸が満載なのである。ちなみにヨーロッパでは9月中旬に受注開始となり、12月にデリバリー開始予定。日本へは来春あたりに上陸するだろうか。いずれにしても、新型Sクラスは、早くその進化ぶりを実際に体験したいと強く思わせる、世界最先端のラグジュアリーカーに仕上がっているようだ。

注)本記事は欧州仕様車の内容であるため、まだ未発表の日本仕様とは装備や仕様が異なる場合があります。

<文=竹花寿実 Toshimi Takehana>

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みんなのコメント

23件
  • 照明に力入れて高級感アップって
    フラッグシップとしてはしょーもないなと思ってしまった。
    随分と幼稚なアップデートだな。
    ラグジュアリーが売りだったのに、対象年齢下がったみたい。
  • フラッグシップなのにこれは大失敗だな。
    大きなCLAやAクラスみたいになっちまった。
    コンセプトの共通化や共有はもっと慎重に吟味しないと。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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