いよいよ鈴鹿8耐まで3週間。
普段、本誌やいろいろなモータースポーツ系ウェブサイトに登場する参戦チームの情報は、国産4メーカー、または外国車メーカーが直接的に運営するワークスチーム、またはメーカーの運営サポートをするサテライトチーム、またはセミワークスチームのことが多いものです。
もちろん優勝候補として語られるのも、このチームたち。6/30発表の最新暫定エントリーリストで言うと、10~15チームはあります。
今年のワークスチームはホンダ:#33レッドブルホンダ/ヤマハ:#21ヤマハファクトリーレーシングチーム/#10カワサキレーシングチームの3つ。そこに続くサテライト/セミワークスチームは、実際にどこが該当するか曖昧なので、ここでは割愛。もちろん、メーカーからのサポートの多寡で、セミワークスチームなのかサポートチームなのか、線引きはあいまいなところです。
そして、このどれにも属さないのが「プライベートチーム」です。レース参戦資金を用意し、実際に参戦する車両を購入、EWCまたはSST仕様にモディファイ、レースの装具も機材も、もちろんライダーもみんな自前で揃えるチームです。もちろん、このプライベートチームの中にも、メーカーや販売会社から多少のパーツが供給されているケースもありますが、それは微々たるもの。参戦する約70チームの7割以上はプライベートチームと言っていいのかと思います。
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そういったプライベートチームは、ここ「Webオートバイ」をじゃんじゃん使ってください!
そう呼び掛けて、いくつかのチームが連絡をくれました。ようがす、少しだけでもPRにお役立てください、というのがこのシリーズです。第1回は、チーム結成壮行会に呼んでくださった「日本スマトラバイオマッセD;REX」です。
日本スマトラバイオマッセD;REXは、茨城県・下妻市、筑波サーキット近くのバイクメンテナンスショップ&ガレージである「D;REX」(ディーレックス)が母体となっているレーシングチームです。代表の豊田浩史さんは、自らもレーシングライダーである、D;REXの代表。
「うちみたいな小さいショップが8耐なんて考えてもみなかった。運よく、どこかのチームでライダーが足りなくて呼んでもらえて走れる、ってことはありますけどね」とは代表の豊田さん。
それが昨年の鈴鹿8耐前に、知人を通じて「日本スマトラバイオマッセ」を紹介してもらってから、話が動き出した。これが、よく言われる「スポンサー」です。
「私どもの会社は、鉱物資源の輸入販売や、再生可能エネルギ―原材料の輸入販売をする、いわば海運業です。スマトラというのはインドネシアの島で、そこで取れたヤシ殻を再生可能火力発電所向けに大型船で日本に運んでいるんです。オートバイレースとなにが関係があるかと言われれば……これはないわね、ガハハハハ」とは社長の加藤昇次さん。
昨年の鈴鹿8耐で、日本スマトラバイオマッセD;REXは、完走44位フィニッシュ。一度、転倒もあり思っていたような成績こそ残せなかったが、雨やセーフティカーなど、コンディションに翻弄された過酷な8耐を完走してみせた。そこに、加藤さんは、ずっとピットにいらしたのだ。
「去年は、スポンサー様ありがとうございます!みたいな距離感があったんです。そりゃそうです、僕らのレースに資金を出してくれるんですから。それがね、去年の大会が終わってからは、来年はこうしよう、来年はこうやって、ってずっと話をしてくれて、スポンサーさんというか、もう同志のように接してくれる。それで、今年もやろう、今年も応援する!って言ってもらえた」(豊田さん)
鈴鹿8耐に出場するのは、当たり前のように大変なことだ。普段の通常業務があって、8耐向けのマシンを作り、機材をそろえ、スタッフを集め、テストに通い、予算に頭を悩ませる――これが半年は続く。もう、本番の1か月前ともなると、寝てもいられないチーム、スタッフ、もちろんライダーもいる。毎日、頭のどこかに8耐に向けての不安がある、ノイローゼになることだってある。
それでもやる。それは、苦労した分だけ、鈴鹿8耐が終わってからの充実感がたくさんあるからだ。
「今年は20位完走、って目標でやりましょうというのがチームの目標です」と加藤さんは言う。
鈴鹿8耐の20位って……言葉にするより数字から受け取るイメージよりも何倍も大変なことだ。昨年の大会では、モトマップサプライも、Supドリームホンダも、阪神ライディングスクールも、ボリジャーTeamスイスもトップ20入りできずに涙をのんだ。それほど高い壁なのだ。
「20位なんて、ものすごい壁です。それだから挑戦し甲斐がある。鈴鹿8耐は、通常のレースと比べても、何倍も準備やテストがモノをいうレース。逆に言えば、きっちり準備すれば、絶対チャンスはある」(豊田さん)
EWCクラス ゼッケン76 日本スマトラバイオマッセD;REX ぜひ覚えて、応援お願いします!
<写真・文責/中村浩史>
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