5月12~13日に、ドイツのニュルブルクリンクで争われた第46回ADACチューリッヒ24時間レース(ニュルブルクリンク24時間レース)。夜半からの雨、そして霧と今季も過酷なレースとなったが、そのなかで日本勢最高位を記録したのが、2台のレクサスで参戦したNOVEL Racingだ。
岐阜県に本社を置くNOVEL Racingは、日本の技術を注ぎ込んだレクサスのチューニングやアフターパーツを手がけている。ニュルブルクリンクへの挑戦は2016年からで、今季は佐々木孝太/吉本大樹/ドミニク・ファーンバッハー/マリオ・ファーンバッハー組42号車がレクサスRC F、東徹次郎/小山佳延/松井猛敏/佐々木孝太組が43号車レクサスIS F CCS-Rと、2台のレクサスで過酷な24時間レースに挑んだ。
ニュルブルクリンク24時間:912号車ポルシェが4号車メルセデスを下し逆転勝利
予選から順調に走行していたのは、実績も豊富な43号車レクサスIS F CCS-R。ただ、42号車RC Fは走行初日からトラブルが頻発。予選1回目は1周しかこなすことができなかった。しかし「そこでトラブルがひととおり出切った」と渡辺卓代表。
無事に予選2回目は2台が走行でき、迎えた5月12日からの決勝。2台が参戦するSP8クラスは7台がエントリーしていたが、強豪フェニックス・レーシングのアウディ、ワークス格と言えるAMRパフォーマンスセンターのアストンマーチンGT8/アストンマーチンV8バンテージ、さらにカレラカップカーを改造したポルシェ991 GT3カップMRなど、蒼々たるメンバーが揃うクラスだ。
そんなクラスのなか、2台のレクサスは力強いレースを展開する。42号車RC Fこそタイヤトラブルに見舞われたりしたことはあったが、調子自体は好調。一方43号車IS F CCS-Rは、4人のドライバーが接触やトラブルに見舞われることなく着実に走行を進め、42号車を先行する。2台のダブルエントリーとなった佐々木孝太も「ニュルには何度来られるか分からないですから」と多くの時間走行をこなし、上位進出にひと役買った。
夜になると、42号車RC Fはライトの光軸が合わないトラブルに見舞われてしまう。さらに雨が降り視界が悪くなるなど、厳しいレースが続いていった。「VLN(ニュル耐久シリーズ)はたくさん走っていますけど、24時間は初めて。そこでライトが機能しなかったり、雨も霧もすごかった」と42号車の吉本大樹は振り返る。
ただ、それでも2台ともにドライバーたちが堅実なレースを進め、42号車RC Fの順位も少しずつ上がっていった。フェニックスのアウディ、AMRのアストンマーチンもトラブルで遅れていく。レースは77号車フォード・マスタングGT WRとのクラス表彰台争いに変化していった。
レース終盤、雨と霧のなか、激走をみせたのはスーパーGTでの優勝経験もあるドミニク、そしてマリオのファーンバッハー兄弟だ。レクサス、そしてニュルブルクリンクのことも知り尽くしているふたりはグイグイと順位を上げていく。「ドミニクもマリオもふたりともすごい。ニュルの職人です(吉本)」、「ふたりはニュルでの経歴はすごいものがありますし、格段に速かった(渡辺代表)」と目を見張る走りを見せつけた。
そして霧による赤旗が、2台に好影響をもたらす。「赤旗が出てセーフティカーが入ったことで差が詰まり、グッとフォードとの差が詰まりました(吉本)」と逆転のチャンスが生まれる。そして、ついに逆転。最終的には42号車RC Fがクラス2位(総合45位)、43号車IS F CCS-Rが30秒差のクラス3位(総合46位)という結果を残した。目的の差こそあれ、チーム、そしてドライバーの活躍によりメーカーの参加車両をおさえての日本勢最高位は賞賛に値するだろう。
レース後、渡辺代表に話を聞くと「今後もニュルブルクリンクに挑んでいきたいです」と継続してニュルを舞台に戦っていきたい意気込みを示してくれた。NOVEL Racingの活動は、同社のチューニングパーツにも活かされていくが、今後もその活動は続いていきそうだ。
「また違った挑戦もしていきたいですし、もっと上のカテゴリーで参戦したい気持ちもあります。日本でのレース参戦はあまり考えてはいませんが、今後もニュルブルクリンクだけでやっていきたいですね」
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