■小さな高級車と大きな高級車に感じたレクサスらしさ
2023年9月15日・16日にレクサスは、メディア向けに「LEXUS SHOWCASE」を開催。ここではブランドの多様化と電動化やそれに関する商品ラインナップを披露しました。
その中で同年秋に日本での発売が予定されているコンパクトSUV「LBX」とラージミニバン「LM」を体感しました。
【画像】「えっ…!」全長4mと全長5でこんなに違う!? LBX&LMの凄さを見る!(50枚)
今回のLEXUS SHOWCASEでは、多様化するユーザーや国や地域のニーズにマッチする新たなモデルラインナップを披露しています。
実際には、ミニバンの「LM」、コンパクトSUVの「LBX」、オフロードテイストを持つSUVの「GX」、3列専用SUVの「TX」、そして水素バギー「ROV Concept」や電気自動車「RZ」の体感コンテンツが用意されました。
またイベント開始時にはレクサスブランドの渡辺剛プレジデントが、カーボンニュートラル社会の実現を目指し、バッテリーEV開発と普及に挑戦するレクサスのクルマづくりや取り組みの方向性を語りました。
今回、富士スピードウェイの各ポイントでコンテンツが用意され、丸1日を使って体感していきます。
その中でサイズのヒエラルキーを超えた「小さな高級車
」と言われるLBXと、ショーファードリブンカーの新たな選択肢として2代目となったLMでは、どのような「レクサスらしさ」があったのでしょうか。
まず小さな高級車ことLBXは、2023年6月5日にイタリア・ミラノで世界初公開されました。
そのコンセントは「高級車の概念を変えるサイズのヒエラルキーを超えた次世代レクサスモデル」とししています。
基本はトヨタ「ヤリスクロス」と同じGA-Bプラットフォームを用いているものの基本素性と電動化技術を徹底的に鍛え上げた他、ステアリングやシートのポジション(着座位置15mm下げるなど)もLBXに合わせてチューニングすることで全く異なるモデルが出来上がりました。
デザインは四隅に踏ん張りがあるようなスタイルを確立することでボディサイズ(全長4190mm×全幅1825mm×全高1560mm、ホイールベース2580mm)よりも存在感のある見た目となっています。
インテリアは最近のレクサスに共通する部分はあるものの中央に位置するディスプレイは他のモデルとは異なることもあり、独特の世界観があります。
また立ち位置的にはエントリーモデルと思われがちですが、インテリアの質感を高く、上級セダンやミドルサイズ以上のSUVなどから乗り換えるモデルとしても十分です。
後席に関しては思ったほど窮屈な印象は無く、170cmの男性でも長距離は苦にならないと思われます。
今回は富士スピードウェイのショートコースにて、数周の試乗が出来ました。
LBXのパワートレインは、1.5リッターエンジン+モーターのハイブリッド車となり駆動方式は2WD/4WDを設定。
なお同じトヨタ系の1.5リッターハイブリッド車と異なるのはバランサーシャフトを採用していることで、3気筒の振動を限りなく抑えている点です。
今回は2WDに乗りましたが、走り出しがすごく静かな印象を受けつつも気持ちの良いモーターの加速感を味わえます。
とくに驚いたのは富士スピードウェイのショートコースは起伏の激しいタイトコーナーが続くのが特徴ですが、そんな場面でもグイグイと登りながら気持ちよくコーナーを曲がって行ける点です。
このあたりはトヨタ「アクア」にも採用されるバイポーラ電池やトヨタ「ノア/ヴォクシー」のトランスアクスルを上手く使ったことが効いているのかもしれません。
※ ※ ※
まもなくの発売が待たれるLBXですが、普段使いの街乗りではモーターの駆動範囲も広く、まさに「小さな高級車」と言える代物です。
一方で山道や高速道路などではレクサスによるチューニングにより運転していて楽しいと言える「やんちゃも出来る小さな高級車」になれる逸材と言えるかもしれません。
■移動が快適なLM。こちらはパッセンジャーでいかにリラックスするかがポイント?
次はレクサスの「大きな高級車」となるLMです。
2023年4月18日に上海モータショーで世界初公開されたLMは2代目にフルモデルチェンジして登場しました。
LMはレクサスが新たな選択肢として提案するフラッグシップMPVとして、「素に戻れる移動空間」をコンセプトに乗り心地と静粛性を追求したモデルです。
ボディサイズは初代と比べて、全長5125(+85)mm×全幅1890(+40)mm×全高1955(+10)mm、ホイールベース3000mmとなっています。
印象的なフロントデザインは、レクサスのアイデンティティであるスピンドルボディを更に進化。押し出しの強いスピンドル形状をグリルに外板色を採用することでボディと一体でシームレスに表現したと言います。
そして最大の特徴はインテリアとなり、グローバルでは3列シート(6/7人乗り)とショーファードリブンMPVとしての用途を想定した4人乗り仕様をラインアップしています。
そうした中で2023秋に日本で発売されるのは4人乗り仕様です。
これは、前席と後席の間にパーティションを設置し、上部には昇降式スモークガラスを備える他、その下には48インチ大型ワイドディスプレイや冷蔵庫や収納スペースを用意。
後席には専用独立シートが備わり、オットマンの伸縮量を初代より延長しつつ、パーティションとの距離を保つことで、ここは「クルマの中なのか?」と思えるほどの余裕のあるスペースを確保しています。
その他手元にあるモニターパネルにより空調やオーディオなどを操作可能です。
ちなみに、後席に敷かれているフロアマットはふかふかな仕様となっており、靴ではなく専用のスリッパなどを用意したくなりました。
実際に後席に乗って移動すると2023年6月に登場したトヨタ新型「アルファード/ヴェルファイア」の「Executive Lounge」とはまた違った乗り心地の良さが感じられます。
このあたりは補強材を追加しボディ剛性を高めたこと。周波数感応バルブ付きAVSをレクサスとして初採用したことなどが上手く採用したことが寄与していました。
唯一気になるのは後席に座っている際、走行中に掴めるアシストグリップが無いことです。
乗降用にはあるもののVIPなど、ある程度の高齢層を乗せることを考慮すると、走行中にとっさに掴めるアシストグリップがあっても良いのかもしれません。
そして驚くのは運転した時の印象で、このLMはあくまでもショーファードリブンMPVですが、そこはレクサス。ドライバーズカーとしての魅力も詰め込んでいます。
パワートレインは、グローバルで2.4リッター直列4気筒ターボハイブリッドシステム(eAxle)と、2.5リッター直列4気筒ハイブリッドシステム(E-Four/FF)を設定。
今回は「LM500h」ということで、前者の2.4ターボハイブリッドを搭載するモデルです。
走りを意識したミニバンとしては前述の新型ヴェルファイアが挙げられ、専用ダンパーやサスペンションを採用するなどの本気度が話題となっています。
その一方でLMは新型ヴェルファイアを超えるボディサイズ、そしてショーファードリブンMPVながら、気持ちよく「走る・曲がる・止まる」が行えるモデルに仕上がっていることです。
※ ※ ※
このようにレクサスの中で最も小さなLMと最も大きなLMという2台がこの秋日本で発売されます。
価格はまだ未発表ながら1000万円近い差があると予想出来ますが、細かな走り出しや、段差を乗り越えて後のサスペンションの動きなど、どちらも同じような印象を受けました。
この点について、各モデルの担当者に話を聞くと「そこがポイントです。どのレクサスに乗っても同じような動きとなる『レクサスらしさ』を大切に仕上げました」と言います。
小さな高級車のLBXと大きな高級車のLM、サイズからコンセプトまでなにもかも違うモデルながら、そこには「レクサスらしさ」という共通点がありました。
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⇒両方ともLMか…