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「最後まで戦う」。M.マルケスが100%全力を尽くしたホンダでのラストレース/第20戦バレンシアGP

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「最後まで戦う」。M.マルケスが100%全力を尽くしたホンダでのラストレース/第20戦バレンシアGP

 マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)のホンダライダーとして最後のレースが、2023MotoGP第20戦バレンシアGPで幕を下ろした。マルケスがそこで見せた走りは、挑むことをやめないマルク・マルケスの姿勢そのままだった。

 バレンシアGPのレースウイーク、開催地であるリカルド・トルモ・サーキットのパドックには、以前訪れたときとは少しばかり異なる雰囲気が漂っていた。チャンピオン争いを繰り広げているフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)とホルヘ・マルティン(プリーマ・プラマック・レーシング)のピット付近に、バニャイアとマルティンのファンが集まっている。その光景に不思議はない。けれどもう一か所、人だかりができている場所があった。マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)のピットだ。

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 マルケスは、バレンシアGPでホンダライダーとして最後のグランプリを迎えていた。2013年にホンダでMotoGPクラスデビューを果たして以降、マルケスはずっとレプソル・ホンダ・チームに所属してきたし、エースとしてホンダをけん引してきた。だからきっと、ピット前で熱心にマルケスを待っていた彼ら、彼女らは、“ホンダのマルケス”との別れを惜しむために来たのだろう。

 マルケスが、ホンダライダーとして最後のレースをどう戦うのか。どんなレースウイークを過ごして、ホンダに別れを告げるのか。それは大きな関心事だった。すべてを終えてみれば、バレンシアGPのレースウイークのマルケスは、彼のスタイルが貫かれた週末だった、と言えるように思う。挑み続け、そして達成すると決めたゴールに向かって邁進していた。

 土曜日のスプリントレースでは、3位を獲得。ブロンズ・メダルを手にした。マルケスは前戦カタールGPから、すでにバレンシアGPに向けた準備をしてきたという。土曜日の囲み取材で、こう語っていた。

「カタールで言ったんだ。『自信をつけるためにレースを完走する』ってね。クラッシュして完走できなかったら、自信を失うことになる。マレーシア、カタールで自信をつけた。だからここで攻められたんだ」

「今日だって、1コーナーで2回も転びそうになったよ。ほんとに危なかった。でも、フィニッシュできた。明日も同じ走りをするよ」

「(表彰台が)僕としてはみんなに感謝を伝える最高の方法なんだ。コース上でのレースが、何よりもいちばんの贈り物だからね」

 マルケスは、最後まで攻めて終わろうと考えていた。「完走して終わる」のではなく、「プッシュして走り切ろう」としていたのだった。決勝レースではマルティンの接触により、5番手走行中にクラッシュしてリタイアとなったが、そこに至るまで挑み続けるその姿勢は変わらなかった。

「ホルヘはちょっと、あのオーバーテイクに楽観的すぎたんだ。でも、理解するよ。彼を非難するつもりはない。彼のメンタリティは完全に理解できる」と、チャンピオン争いの渦中にいたマルティンに理解を示したマルケスは、少なくとも囲み取材では、いつもと同じようにひとつひとつの質問に明朗に答えていた。

「いい形、望んだようにフィニッシュはできなかったね。じつは、チャンピオン争いをしているみたいに週末にアプローチしたい、と話していたんだ。レースの全ラップ、プラクティスで完ぺきに集中していた」

 とはいえ、11年間所属したチームを離れるのだから、やはり渦巻く感情はある。「一夜でこの感情を忘れるのは難しいよ」と、胸中を明かす回答もあった。

「もちろん、火曜日はすごくおかしな感じだろうね。オフシーズンもまだ気持ちが残っているだろう。まだ信じられないんだ。決断したとはいってもね。正しかったのかどうか、って」

「僕はライダーで、人間でもある。自分の目標にはとてもクレバーに考えている。必要なことではなく、達成したいことがあれば、それに向けて挑戦する。だから来年は来年で、またコンペティティブになれるようにトライするよ。チャンピオン争いができるかどうかだね」

「適応するのはすごく難しいだろう。とても馴染みのあるチームにいくから、それはメリットになるだろうけど、(長年クルーチーフを務めてきた)サンティ(・エルナンデス)も自分のメカニックもいないピットに慣れるのは大変だろうな。でも、時間がかかるものだ。いいチームにいくのだとわかっているしね」

 バレンシアGPを挑戦的に終えたマルケスに、「新しいチャレンジ」、つまり、ドゥカティマシンに乗るという挑戦について、どう感じているのかと質問した。そして今回のチャレンジは、これまでのそれと違いはあるのか、と。マルケスはこう答えた。

「これまで僕の人生に、こういうチャレンジはなかった」

「ずっとホンダにいて、取り組んできた。これはチャレンジだ。リスキーなチャレンジなんだ。決断を下す前に、何度も考えていた。だって、ホンダにとどまってプロジェクトを発展させ続けること、つまり現状を維持すれば心地の良い状況なんだから。でも、僕は自分の中でいろいろな答えを出す必要があった。もっと長くキャリアを続けたいのなら、ヘルメットのなかでもう一度、笑顔になる必要があると考えたんだ」

 マルケスの新しいチャレンジは、11月28日、バレンシアで行われる公式テストで最初の日を迎える。ドゥカティのMotoGPマシンを走らせたあと、マルケスは「ヘルメットのなかで笑顔」を浮かべるだろうか。

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みんなのコメント

3件
  • マルケスがするべき事はドカに乗ってチャンピオン争いをする事

    ホンダはマシンを立て直しチャンピオン争いが出来るように立て直す事でしょう。

    両者の奮闘を期待します。
  • tat********
    あのケガさえなければなあ…
    ホンダを去ることに関しては仕方ない面もある。
    ドカに順応できるといいな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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