MTX200Rはどんなバイクだったのか?
古いバイクってとても魅力的ですよね。コロナ禍のときは価格が高騰していましたが最近は落ち着いてきて、若干ですが現実的な価格のバイクも少しずつ増えてきました。そこでこの企画では穴場的な存在のバイクなども含め、色々な旧車を当時の状況やインプレ、バイヤーズガイド的な視点まで含め、様々な点から掘り下げてみたいと思います。
【画像】オンロードも楽しい2ストオフロード! ホンダ「MTX200R」を画像で見る(8枚)
今回紹介するのはホンダ「MTX200R」です。なんでそんな微妙にマイナーな車種を取り上げるかといえば、性能と過激さと中古車価格のバランスがいいからです。
ヤマハ「RZ250」(1980年)の登場を契機に2ストロークの人気が再び高まり、各メーカーは2ストロークの高性能マシンを次々に投入するようになりました。この流れはオフロードにもおよび、50cc、125ccクラスに高性能な2ストロークバイクが誕生。そして1983年にホンダが投入したのがMTX200Rです。
ホンダは1982年にMTX125Rを発売していて、これもかなり高性能だったのですが、MTX200Rは125の車体に200ccエンジンを搭載(全長、全幅、ホイールベースなどはすべて125と同じ)。車重はわずか3kg重いだけの102kgとメッチャ軽量。
それでいて最高出力は26ps/7500rpmとパワーでは8psも上回り、この当時のオンロード、オフロードを通して最も低いパワーウエイトレシオ3.92kg/ps(車重1kgあたりのパワー値)を達成していました。しかも排気量があるために低中速からトルクがあったので動力性能が高いだけでなく、乗りやすさも兼ね備えたバイクになっていました。
エンジンはピストンリードバルブ方式で排気デバイスにはATAC(高速域でのパワーはそのままに、低・中速域でのトルクアップをもたらすホンダ独自のシステム)を装備。
回転数によって排気ポートにあるサブチャンバーの通路が開閉してハイパワー2ストロークエンジンのネックである低中速トルクを補っていました。ホンダの排気バルブは、ここからしばらくして更に効果的なRCバルブに進化しますがATACでも十分に効果が体感できます。
足回りもストローク量がタップリと取られ、フロントフォークは低フリクションのエアサス。リアサスはホンダ独自のユニトラック。
ライバルも追従し、1984年にはヤマハから「DT200Rが前後ディスクブレーキ、33psのハイパワーで登場。スズキからも「RH250」が35psというスペックで誕生します。
これに対抗して1985年に登場した「MTX200R II」では最高出力が28psにアップ。スイングアームがアルミになり、ライトが35W/35Wに光量アップ。フロントがディスクブレーキになりましたが、ライバルを蹴落とすほどのインパクトはなかったように思います。中古車市場でMTX200RIIを目にする機会が少ないのは、当時セールスで苦戦していたからかもしれません。
MTX200Rは今乗っても楽しいバイク
走りは現代の目で見てもかなり元気。車体が軽いこともあって2ストらしい気持ちの良い加速を楽しむことができます。
サスペンションはさすがに現行車ほどの性能をもっているわけではありませんが、それでも林道を走ったり、オフロードを楽しむ程度であればそれほど不満は感じません(ライダーの求めるところや走る場所によって変わります)。
そしてオンロードでのハンドリングがなかなか軽快で楽しいというのが魅力。後に登場する本格的なモトクロッサーレプリカ的なマシンよりもオンロードが楽しめるハンドリングだと思います。
■中古車事情 中古車の数はそれほど多くありませんが、初期型、後期型などにこだわらず、ネットオークションなども含めて探せば見つけることができます。価格は程度によってマチマチですが、同時期のスポーツバイクに比べたらかなり割安です。ただ、後述するように整備のことを考えるとエンジンのコンディションが良くないものは気をつけたほうが良いかもしれません。
■整備と部品供給状況 80年代のホンダのバイクは部品供給状況が良くありません。MTX200Rも例外ではなく調べてみるとピストンやリングなど重要部品が壊滅的。海外ではランブレッタというスクーターのチューニングにMTX200Rのピストンが流用されていたことから、スクーターチューニング専門店などで一部在庫しているという情報もあります。クラッチのリプレイスなどはあるようですが、シールやガスケットなども欠品が多いのでメンテナンスしながら維持していく場合は相応の苦労はあることでしょう。
ただ、同時代のオンロードバイクに比べれば構造は簡単で整備性も悪くありません。実際、筆者(後藤武)の周囲にはMTX200Rを最近購入して乗っている友人が数名いますが、ピストンやシリンダー、クランク周りの程度が比較的良かったこともあり、それほど苦労せず(多少はしています)乗り続けています。購入する個体の状況と、どのレベルまで整備するかということによって、維持の苦労はずいぶん変わることでしょう。
40年前のバイクですから壊れるのは当たり前。純正パーツが欠品だというだけで修理を諦めてしまうような方には決してオススメしません。でも整備や部品探しも楽しみと捉え、元気に走ることができる2ストバイクを現実的な値段でほしいという人にはとても魅力的なバイクかもしれません。
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みんなのコメント
煙はすごいし、何よりオイルの飛び散りが半端なかった。
しばらく後ろを走れば、シールドや服に粘着性の高いオイルがごま塩振りかけたようにくっついて汚れる。
MTXのオーナーも゙水道ホースを切った物をマフラー出口にクランプで取り付け下向きにしてる人多かった。
そんな感じなので、リヤホイールやナンバーはオイルで真っ黒で、絶対触りたくなかった。
粘性が強い為マフラーからヘドロのようなオイルが、垂れ下がっでいるのも良く見たな。
ホンダは好き何だけど、2stのイメージが悪すぎたので、2stエンジンはヤマハが良いイメージがあるな。
凄い加速だった。程度のいい中古車があれば買いたい。
でもホンダは部品の供給は4社の中では最悪。