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ホンダの技術者が手掛けた電動立ち乗り3輪車がもはやスポーツモデル! 「ストリーモ」に乗ったら面白すぎた

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ホンダの技術者が手掛けた電動立ち乗り3輪車がもはやスポーツモデル! 「ストリーモ」に乗ったら面白すぎた

 この記事をまとめると

■ホンダ出身者が起業した会社「ストリーモ」が小型モビリティを発表

いま流行の電動キックボード! より厳しくなる取り締まりに注意

■3輪キックボードとなっており、公道走行も可能となっている

■民間向けにも販売されるとのことなので一般人も購入可能だ

 ホンダのバイク技術者が生み出した新しい小型モビリティの衝撃

 ホンダの新事業創出プログラム「IGNITION(イグニッション)」をご存じだろうか。モビリティに限定せず、イノベーションを生み出すべく、ホンダが国内の全社員を対象としているオープンイノベーションスタイルの事業創出プログラムのことだ。

 簡単にいえば、ホンダの社員から出てきたアイディアのうち、スピンアウトして事業化したほうが有効と思えるビジネスモデルについては、外部のベンチャーキャピタルと連携して事業化を実現することをホンダがサポートするというもの。

 これは単にホンダからの独立をサポートするものではなく、かといってホンダが100%出資した子会社にするわけでもない。将来的にホンダに取り込んだほうが成長を見込めるとなれば、M&Aによってスピンインすることも想定しているが、独立していたほうが成長するとなればそのまま事業を継続することもある。イグニッションから生まれた企業が上場するという可能性も十分にあり得るという。

 すでに視覚障害者向けに靴に仕込んだバイブレーターなどによって道案内を行うという「アシラセ」が事業化しているが、イグニッションから新たな事業が生まれた。それが今回紹介する「ストリーモ」である。

「ストリーモ」という社名は、スモール・トリップ・eモビリティに由来するものだが、その代表を務める森 庸太郎さんは、もともと本田技術研究所で二輪の研究に携わってきたエンジニア。研究所時代は、ダカールラリーの参戦マシン開発、「ライディングアシスト」と呼ばれる自立する二輪技術の開発などをしてきたという人物だ。

 そうした森さんの経験と、カーボンニュートラルや高齢化といった社会課題への解決が求められている時代性から生まれたアイディアが、「安心感のあるマイクロモビリティ」というものだった。

 一般にマイクロモビリティとして注目を集めているのは、電動キックボードだろう。最近、法改正も発表(施行は2年以内)され、将来的には20km/h以下で免許不要(16歳以上)の『特定小型原付』という新ジャンルのモビリティが生まれる流れになっている。

 しかし、森さんによれば電動キックボードには安心感という点において多くの課題があるという。筆者も電動キックボードに乗った経験はあるが、たしかに路面の凸凹に影響を受けやすく、小径タイヤのために段差で転倒しやすいという印象がある。さらにいえば、低速域でバランスをとるのが難しく、安定させるにはスピードを出す必要もある。

 新カテゴリーである特定小型原付は、6km/h以下のスピードリミッターを効かせることで歩道を走行することができるという風になっているが、従来の電動キックボードでは歩行者に合わせた速度ではフラフラしてしまうのも実情だ。

 そうした課題を解決すべく、最初は森さんの自宅ガレージで開発を始めたというのが、ここで紹介するマイクロモビリティ「ストリーモ」だ。社名と同じ車名となっているが、車名の由来は『スタンディング・トリホイール・eモビリティ』。直訳すれば立ち姿勢で乗る3輪の電動モビリティということになる。

 3輪とすることで極低速域で安定するのは容易に想像できるが、しかし3輪にはスピードを上げたときにリヤの内輪が浮き上がってしまい転倒しやすいという欠点がある。実際、3輪の自転車では8km/h程度のコーナリングで内輪がリフトしてしまうという。

 2輪の電動キックボードは段差に弱く、低速が苦手。リジッドフレームの3輪では横Gに弱い……そうした欠点を解決するために、「ストリーモ」は生まれている。

 今までにない操作感は安定感抜群で楽しい乗り物だ

 そのポイントは、操舵軸だけでなく揺動軸も持っていることだ。揺動というのはリーン(傾く)ことだが、ストリーモは前半分がリーンすることで車体を安定させる設計となっている。

 より具体的にいうと、フラットなステップ部分と後ろ2輪の部分は固定されていて、それより前のフレームに見える部分にふたつの軸が設けられている。ちなみに、駆動輪はフロントでインホイールモーターとなっている。

 実際に乗ると、ハンドル部分が操舵方向とリーン方向に動くという乗り物になっている。こうして文字化するとハンドルの動きが大きく、違和感のある乗り味を想像するかもしれないが、実際には体重移動や視線移動によって自然に車体が動いてくよう仕上がっていた。

 これを、人がもつ自然な反応を活かした『バランスアシストシステム』と呼んでいるが、まさにホンダで二輪開発をしてきたさまざまな知見が活かされているのだろう。

 また、ハンドルがリーン方向にも動くというのは運転感覚としても新鮮で、構造的にも電動キックボードとはまったく違う乗り物であるというのが正直な感想だ。

 その見た目から、ホンダ発のベンチャー起業が電動キックボードを開発した、という第一印象を受けるかもしれないが、これまでにない完全に新しいモビリティと捉えるべきだろう。

 プロトタイプの試乗では、わざと15cm程度の段差を作ってそこを乗り越えるというシチュエーションもあった。今回は乗り手が段差に気付かず走っているケースを想定して、15km/hを維持したまま減速せずに段差に突入してみたが、バランスを崩すことなくクリアすることができた。小径タイヤの電動キックボードであれば間違いなく大転倒してしまうような段差だっただけに、その高い安定性には驚かされる。

 こうした安定性には、前述したバランスアシストシステムも効いているが、空気入りタイヤを採用していることも効いているだろう。マイクロモビリティではゴムの塊のようなノーパンクタイヤを採用するケースもあるが、サスペンションを持たない車両であれば空気入りタイヤの変形によるショックの受け止めは、やはり安心感が大きいことが実感させられた。

 もちろん3輪ゆえに6km/h以下の低速でもフラフラせずに走行できる。非常に小まわりも効くので歩行者と共存することも問題なさそうだ。ただし、後ろ2輪ゆえに内輪差がある点は気をつけないといけないかもしれない。

 ストリーモには3段階のスピードリミッター的モードが用意され、モード1:6km/h、モード2:15km/h、モード3:25km/hとなっている。今回の試乗ではライディングを楽しめるコースにおいてモード3も試すことができた。

 基本的には安定志向の強アンダーステアに仕上げられているが、モード3にするとヘアピンカーブの立ち上がりでアクセルを操作する右親指に力を入れると、フロントの駆動力によって旋回姿勢から加速姿勢に変化させる様が確認できた。

 さらに、スキーを操っているようなイメージで膝を曲げるようにして積極的に体重移動も加えると、乗り物としての面白さが隠されていることにも気付かされた。クローズドコースでスポーツライディング的に操っても楽しいモビリティに仕上がっている。全体に曲がりたがるシャシーとなっている印象というわけだ。

 なお、特定小型原付に関する法改正は施行されていないため、現時点でストリーモに公道で乗ろうとすると原付一種扱いとなる。運転免許は必要であるし、ヘルメットの装着義務もあり、もちろん車道しか走行できない。

 そして、ストリーモの第一号となる「ジャパンローンチエディション」はオンラインでの300台限定販売となっている。価格は26万円と、通常の電動キックボードと比べるとけっして安くはないが、まったく新しいマイクロモビリティとしては破格のリーズナブルな価格と感じるがいかがだろうか。

 なお、このストリーモの開発においてホンダ社内で事業化するのではなく、冒頭で記したイグニッションというスキームを使って起業した理由について、森さんは「マイクロモビリティの世界はスピード感が求められているので、意思決定がはやく、小回りの効く起業を選びました」と、決意を語ってくれた。

 実際、ストリーモ・ジャパンローンチエディションの販売は2022年内を目指すということだが、今回試乗したプロトタイプから、まだまだ進化する可能性があるという。

 現状でも非常に高い完成度を感じたが、さらに進化した量産モデルの仕上がりも楽しみだ。

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みんなのコメント

2件
  • モトコンポEV化したらいかがですか。
  • >これは単にホンダからの独立をサポートするものではなく、かといってホンダが100%出資した子会社にするわけでもない。将来的にホンダに取り込んだほうが成長を見込めるとなれば、M&Aによってスピンインすることも想定しているが、独立していたほうが成長するとなればそのまま事業を継続することもある。


    一発目は良いがたいがい二発目が難しい。三発目なんてほぼ無いに等しい。5年後10年後を考えると、その独立した企業のトップ以外は離散するだろうが、そのトップもなまじ独立するだけの向上心があるだけに自滅する運命にある。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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