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はじめての愛車物語 思い出は懐かしく 思わず未練も

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はじめての愛車物語 思い出は懐かしく 思わず未練も

もくじ

ー 警戒警報発令 はじめての愛車
ー 記憶は曖昧 そして再会
ー 大きな違い 賢明な判断
ー スタイリングの秘密 思わず未練も
ー 番外編:AUTOCARスタッフが語る はじめての愛車

伊アレス・デザイン 究極のV8ディフェンダーを納車開始

警戒警報発令 はじめての愛車

1982年3月8日正午、王立災害防止協会(RoSPA)の警報レベルがオレンジに引き上げられた。AUTOCAR英国編集部のコリン・グッドウィンに運転免許証が発行されたのだ。

同日午後2時には警戒レベルがレッドとなった。グッドウィンが初めての愛車を手に入れたからだ。

この単なる紙切れに過ぎない運転免許証を取得するのに、ほぼ2年を費やしていた。運転免許庁(DVLA)のスタッフか、運転テストの実行部隊がストライキを起こしていたために、テストを待つ長蛇の列ができていたのだ。

ぶっつけ本番だったが、キャンセル枠に申し込み、プラグに不具合を抱えた友人のフィアット127スポーツで1週間遅れのテストに臨んだものの、結果は不合格であり、まさに泣きっ面に蜂だった。


ともかく、(合法的に)単独行動がしたかったので、クルマ選びに時間を費やしている余裕などなかったのだ。

こうして選んだのが、ヴォクゾール・ヴィヴァHBのSL90だった。1967年式モデルで、ブラシで塗られたボディにはすでに錆が発生し、1.2ℓエンジンのパワーもお話にならなかったが、40ポンドで手に入れることのできた初めての愛車だった。

だが、そんなパワー不足も、友人の多くが米国製マッスルカーに乗っており、このヴォクゾールが積む4気筒エンジンは、彼らの嘲笑の種でしかなかったのだから、大した問題ではなかった。

記憶は曖昧 そして再会

このヴィヴァのことは、どれくらいの期間所有していたかも覚えていないほど記憶に残っていない。

おそらく、1年も乗っていないはずだが、スピードを出すのであれば、ノートン・コマンド850があった(17歳の誕生日を迎えてすぐにバイクの試験には合格していた)ので、クルマは、マッスルカーに乗った友人たちのガソリン代が不足した時の移動と、女の子とのデートがもっぱらの使い道だった。

あるデートでは、ウォーターポンプから脱落したファンが、ラジエーターに突き刺さったことがあり、生卵を使った修理テクニックで彼女を感激させるチャンスだと思ったが、そうはならなかった。たしか、いまでは株のブローカーと結婚して、BMW X5に乗っているはずだ。


あれから36年、いま同僚のダン・プロッサーと、ヴォクゾール・ヘリテージコレクションが所有するヴィヴァHBのシートに座っている。完ぺきなコンディションで、1966年モデルであることを除けば、ボディカラーまでかつて所有していた車両と同じだ。

これまで、20代を中心に、40台以上のクルマを所有してきたが、昔乗っていたクルマにふたたび出会ったのは今回が初めてだった。

昨年、英国版AUTOCARでポルシェ968クラブスポーツを特集したように、いまでは古くくたびれてはいるものの、新車当時、試乗したことのあるモデルに乗る機会が最近は多くなっている。968は初めて運転したときよりも、はるかに素晴らしいコンディションだと感じさせてくれた。

大きな違い 賢明な判断

直線式の速度計も懐かしい。プロッサーはラウンド型の速度計しか見たことがないだろうし、速度表示が100マイル(161km/h)までというのも初めてだろう。おそらく、パワーステアリングを持たない新車など、彼の時代には存在しなかったに違いない。

いまヴィヴァが走行しているルートン近郊の道はドライコンディションだが、かつて所有していた車両よりも、このクルマのほうがより安定しているように感じられるのは、タイヤの品質に負うところが多きいに違いない。

わたしのヴィヴァが履いていたのは、バイアスか、もしかしたら再生タイヤで、トレッドもほとんどすり減っていたはずであり、なによりも、ドライバー自身が19歳から56歳へと、大きく歳をとっているのだ。

たしか、ヴィヴァで事故に会ったことはなかったはずだが、後席に座っていた友人が手を伸ばしてサイドブレーキを引いたことがあり、厳密に言えば事故ではなかったものの、人通りの多いパットニー・ハイストリートでの出来事だったため、道行く買い物客とわたしにはそれで十分だった。

ヴィヴァのあと、初代フォード・エスコートを何台か乗り継いだが、どちらが素晴らしかったかはよく思い出せない。おそらく、姉妹紙のクラシック&スポーツカーであれば、この2台の比較試乗を行っているはずであり、どちらが素晴らしかったか、答えを教えてくれるはずだ。

ヘリテージコレクションでは、1970年モデルのヴィヴァHBも所有していたが、こちらは2.0ℓエンジンを積んだGTであり、フォード・エスコートとほとんど同じようなドライビングフィールだった。1982年当時、70psの替りに104psを選んでいたら、必ずトラブルを起こしていただろうから、GTを選ばなかったのは賢明だった。

スタイリングの秘密 思わず未練も

ヴィヴァHBはルックスもなかなかで、個人的にはエスコートよりも素晴らしいと思っている。ヴィヴァHBのスタイリングは、長くヴォクゾールのデザイントップを務めたデイビッド・ジョーンズの手によるものだが、彼がデトロイトでGMの伝説的なデザインチーフ、ビル・ミッチェルにデザイン画とモデルを見せると、ミッチェルはこれを却下したのだ。

ミッチェルはジョーンズを昼食に連れ出し、若手デザイナーだったウェイン・チェリーにデザインを任せると、3時間後にはHBの最終的なスタイリングが決定している。

1982年当時、そんなことはまったく知らなかったが、チェリーがポンティアック・ファイアーバードのデザイナーであることくらいは認識していたかも知れない。

その後、ヴィヴァを誰かに売ったのか、それともスクラップ送りになったのかは覚えていないが、いずれにせよ、現存はしていない。DVLAのウェブサイトで調べたのだ。

それに、老け込む前に、もう1度ヴィヴァを手に入れて、あの頃に戻りたいなどとも思わない。だが、だからといって、売り物が出ていないか、チェックしていないわけでもない。

番外編:AUTOCARスタッフが語る はじめての愛車

シトロエン2CV


自分だけのクルマではなかった。ふたりとも運転できないにもかかわらず、ベルギーで郵便配達用のバンとして使われていた1961年モデルの2CVを、級友と折半で購入したのだ。

級友はスクラップヤードでこのクルマを見つけたのだが、その熱心さに感心したオーナーが、5ポンドでこのクルマを売ってくれたうえに、空いていた彼の叔母のガレージまで運んでくれたのだ。

1975年のことであり、最後は25ポンドでスウェーデン人に売却すると、彼は自宅まで牽引していった。(リチャード・ブレムナー)

フォード・フォーカス


10代のころは自分のクルマはなかったが、母親が所有する2001年モデルのフォード・フォーカス1.6LXをよく拝借していたので、これが初の愛車ということになるだろう。

友だちを初めてのドライブに連れ出したのもこのシルバーのフォーカスであり、自己流のサイドブレーキターンを試みて、初めての事故を経験することになったのだ(フォーカスの全長も1cmほど短くなった)。(ダン・プロッサー)

フィアット126


たしかにフィアット126ではあったものの、前オーナーがリアシートに1パイント(約570mℓ)ものクリームをこぼした、ひどいクルマだった。だが、だからこそ、タダで譲り受けることができたのだ。

17歳のわたしは、見事なハンドルさばきに女の子も見とれるに違いないと思っていたのだが、あまりの臭いにクルマに乗り込んでさえもらえなかった。その替わり、トラクターに突っ込んだのだった。(アンドリュー・フランケル)

1948年式フォードV8


この1948年式フォードV8「ビートルバック」4ドアセダンは稀少なモデルだった。16歳のときに50ポンドで手に入れたのだが、30ポンドをわたしが、残りの20ポンドを悪友が支払った。

免許を取る1年前だったが、学校へはこのクルマで通った。当時、オーストラリアの片田舎では逃げるなど簡単だったのだ。

このクルマはオーバーステアとはなにかを教えてくれたが、卒業式の日にとうとう動かなくなってしまった。(スティーブ・クロプリー)

ウエストフィールドSEi


はじめての愛車と過ごした時間は短かった。最初に手に入れたのはミニ1000だったが、免許を取ってひと月も経たないうちに木に突っ込んでしまい、学生時代は自転車で過ごすハメになったのだ。

卒業後、仕事場の徒歩圏内に部屋を借り、ローンを組んで自分名義で買ったのが、1700ccのウエストフィールドSEiだった。(マット・プライヤー)

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