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フォルクスワーゲン・ポロTSI Rライン 国内試乗 「ちょうどよさ」評価

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フォルクスワーゲン・ポロTSI Rライン 国内試乗 「ちょうどよさ」評価

もくじ

どんなクルマ?
ー 1ℓと2ℓのあいだに
ー 鍛えすぎると日常がツライ

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どんな感じ?
ー あの名車を思い出す
ー 走りと日常を繋ぐバランス感覚

「買い」か?
ー やっぱり次男坊がちょうどいい

スペック
ー フォルクスワーゲン・ポロTSI Rラインのスペック

どんなクルマ?

1ℓと2ℓのあいだに

現行の6代目フォルクスワーゲン・ポロは昨年春に1ℓユニットを搭載するTSIハイラインで本邦デビューを果たし、夏には2ℓエンジンを搭載したGTIが登場している。

ベーシックモデルと最上級のスポーティモデルが揃ったわけだが、この2台を「帯に短しタスキに長し」と感じていたひともいるはず。

今回デビューしたTSI Rラインはまさにこれまでの兄弟の中間に位置する次男坊グレードといえそうだ。

ポロTSI Rラインは排気量的にも1ℓと2ℓのちょうど中間となる1.5ℓ。この4気筒ターボは1.5TSIエボと呼ばれる本邦初登場の新型で、最高出力はTSIハイライン(95ps)とGTI(200ps)の中間となる150psを発揮。

ベースはフォルクスワーゲンの1~1.4ℓまで幅広く支えているEA211ユニットだが、気筒休止システムやコモンレール直噴といった最新のテクノロジーを詰め込んだことでエボのサブネームを獲得している。

一方、Rラインのネーミングで想像がつくようにポロTSI Rラインはスポーティなグレードであり、これは先代ポロで言うところのブルーGTに相当する。ブルーGTはエコに気を使いつつ、シレッと速かった。

Rラインパッケージの外装は、フロントのリップとリアのスポイラー、サイドスカート、専用17インチホイールによって品良くまとめられている。

鍛えすぎると日常がツライ

最新のポロTSI Rラインを試乗する前に兄と弟についての雑感を少し。

6代目ポロはサイズと車格はこれまで通りだが、ゴルフと同じくMQBモジュールを得て質感をはっきりと高めてきた。

シャシーの質感の高さを味わいやすいのはTSIハイラインの方で、走りも静粛性もBセグメントハッチのライバル群からポンッと抜け出し感じがあった。

筆者が腑に落ちなかったのはGTIの方で、MQBモジュールのポテンシャルを使い切る方向で追い込んだため、箱根のワインディングでは一言「最高!」と快哉を叫ぶほどのキレ味鋭い走りを見せてくれたのだが、極上のスポーティ性能はもろ刃の剣のようなところもあり、街中では少々堅苦しく感じられることもあった。

おおよそ「毎日乗れるスポーティ」という感じではなかったのである。

昨今はスポーティハッチバックのスピード戦争真っ盛りなので、ホットハッチ元祖のフォルクスワーゲンとしても売られたケンカは買わなきゃ、みたいなところもあるのかもしれない。

けれどポロGTIには王者の余裕というか、筋トレもほどほどにして日常の躾けに気を配っても良いのでは、と思ってしまった。

最近は女性でも「6パック! 腹割れました! みたいな見た目が流行っているらしい」。見ている分にはいいけれど、自分のパートナーがアレだと……みたいな感じ、ないですか?

どんな感じ?

あの名車を思い出す

走りはじめて最初に感じるのはやはりシャシーの完成度の高さだ。

スポーティグレードであるRラインの名の通り、足回りにはダンピング特性が切り替わるショックアブソーバー、「スポーツセレクト」が標準で組み込まれており、ドライビングモードの切り替えによって走りの表情を変化させることができる。

標準装着のタイヤもTSIハイラインより1インチ大きな17インチを履く。それでも引き締まったアシとボディのマッチングは上々で違和感は一切なし。GTIのようにタイヤの存在感が前面に出る素振りもない。

前席のスポーツコンフォートシートはハイラインと同じものが備わるが、ホールド性や見た目のシャープさもスポーティグレードによく馴染んでいると思う。

箱根でポロGTIを試乗した時にも感じたのだが、決して道幅が広くない日本のワインディングではゴルフよりもポロの方が取り回しがしやすい。

一方今回試乗した大磯の山の中のような日常生活の中にあるちょっとしたワインディングでは、スピードに乗り切れないGTIより、軽快にラインをトレースできるTSI Rラインの方が気持ちいい。

コンパクトなボディサイズとちょうど良いパワーデリバリーは、以前試乗させてもらった初代のゴルフGTIよく似ていると思った。

ジャストサイズの気持よさに流行り廃りはないのだ。

走りと日常を繋ぐバランス感覚

ポロTSI Rラインの軽快感は、シャシー性能だけでなく、パワートレインの性能も大いに貢献している。

7速DSGと組み合わされたTSIエボユニットはポロGTIの6速DSG+2ℓエンジンのようにパドルシフトで各ギアをしっかりと引っ張る感じは希薄なのだが、何しろギアボックスとの相性が良く、不意打ちのようにスロットルを踏み込んでもいつでも鋭いレスポンスと加速で応えてくれる点が好印象だった。

とはいえ最近はシャシーとパワートレインともにほどよくスポーティというホットハッチは珍しくない。作り込みと走りの質感の高さではポロに軍配が上がっても、お洒落な雰囲気や乗り心地の良さと言った部分でポロを凌ぐライバルも確実にいる。

それでもフォルクスワーゲンを指名買いするひとは、ドライブフィールだけでなく、インフォテイメントや最新の安全装備、燃費、室内空間、使い勝手等々のバランスを重視するひとに違いない。

そういった「底力」の充実ぶりまで考えると、ポロTSI Rラインのことが気に入ったひとにとって次点の候補はないのかもしれない。

「買い」か?

やっぱり次男坊がちょうどいい

今回の試乗で唯一気になったのは低速走行時に乗り心地が少し硬く感じられる点で、これは走行モードを「ノーマル」にしても解消できなかった。

とはいえ最近のキャラが立ったフォルクスワーゲンは概ね似たような硬さを伴い、それが他メーカーにない質感の高さやドライブフィールの個性を生み出していることも否定できない。

ポロTSI Rラインをそれらしく乗ろうと思ったら、ボディカラー以外のオプションは全て必要になる。純正ナビ、オーディオ・システムを含むディスカバープロ、デジタルメータークラスターのテクノロジーパッケージ、そして最大限の安心を提供してくれるセーフティパッケージである。

つまり車両価格298万円に40万円くらいはプラスされるので、乗り出し価格は素のポロGTI(348万円)にかなり近くなってしまう。

とはいえ、GTIとははっきりと個性が異なることは前述した通りなので、ほどほどのスポーティな走りと日常の使用をストレスなく両立させたいひとにとって、TSI Rラインは待ちに待った最高の選択肢になるはずだ。

特に今この記事を読み込んでいるクルマ好きの方であれば、1ℓ3気筒ターボのTSIハイラインでは満足できないと思われる。

フォルクスワーゲン・ポロTSI Rラインのスペック

■価格 298万円
■全長×全幅×全高 4075×1750×1450mm
■最高速度 -h
■0-100km/h加速 –
■燃費 17.8km/ℓ
■CO2排出量 130g/km(JC08)
■車両重量 1210kg
■パワートレイン 直列4気筒1497ccターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 150ps/5000-6000rpm
■最大トルク 25.5kg-m/1500-3500rpm
■ギアボックス 7速デュアルクラッチ

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