2023年10月のジャパンモビリティショーで6年ぶりのフルモデルチェンジを発表した三菱ふそうの大型トラック、スーパーグレート。ユーザーへの納車が2024年6月から始まったのを機に、同年7月24日にプレス向けの取材会を行った。新型はキャブ(骨格は先代のものがベース)や電子制御システムなどの一新を行ったが、注目すべきは燃費を追求したエンジン。そこで開発を取りまとめたプロジェクトマネージャーの伊原忠人氏に新型車のエンジンを中心に話を聞いた。
●エンジン排気量を先代の10.7Lから新型では12.8Lにアップしていますね。それだけで見れば時代(ダウンサイジング)の流れからは逆行しているように見えるのですが。排気量を大きくした理由は?
「クルマとのトータルの組み合わせがあると思いますが、単純に同じ出力、トルクを出すのであれば、理論上は排気量が小さいほうがフリクションが少ないので燃費に有利と言われています。そこで今まではダウンサイジングということでやってきました。その流れは間違っていないと思います。もともと7段のMTから12段の自動トランスミッションのAMTに変えて、大きな排気量だったところに、小さなエンジンをもってきて、エンジンを比較的広いゾーンを使って走りきるというコンセプトでやってきました。
今回は、再び排気量を上げ、2L程度排気量を大きくすることで、実際にクルマが低回転域だけで走りきれるということがわかってきました。つねに一定速で走るのであれば小さい排気量がいいのかもしれないですけれども、実際の道路では上ったり下ったり加速したりと変化があるなかで、エンジンを引っ張って回転を上げて走っていくよりも、低回転に寄せて走ったほうが、結果的に燃費がよかったというのがあります。
同時に12段AMTに任せておけばストレスなく問題なく走れるのですが、音も含めて静かにスムーズに走れますか?ということで、改善したいという意味も込めて、少しだけ排気量を上げたほうがよかったというのはあると思います。ほかにもいろいろ技術のブレークスルーがあれば、また排気量が小さいほうが有利ということも出てくるかもしれないですが。今日現在は12.8Lのエンジン排気量がスーパーグレートにマッチしているということになります」
●この12.8Lという排気量に落ち着いた理由は?
「あまり大きくしすぎるのもよくないという点もありますし、私たちはダイムラートラックグループの一員として、ダイムラーでは7.7L、10.7L、12.8Lのエンジンラインアップを持っています。この12.8Lは、ヨーロッパで主力で使っているエンジンです。日本では車両総重量25トンのトラックですが、ヨーロッパでは40トンくらいのトレーラーがメインで、それらに使われています。アメリカでは、もう少し大きいエンジンがありますが、それはちょっと大きすぎたというわけです。このようにヨーロッパで実績のあるエンジンを、日本向けに少しチューニングをして使っています。エンジンのメインのところはドイツの工場で作って、日本に持って来て日本向けのアプリケーションの部品は三菱ふそうの川崎工場で付けて、エンジンを完成させています」
●新型スーパーグレートには排気量10.7Lというのも設定はあるのですか?
「残してあります。お客様のなかでは、もしくはクルマのアプリケーションのなかでは、圧倒的に軽いほうが有利なセグメントのクルマもありますし、そのあたりはお客様に選んでいただくようにと考えています。私たちとしては12.8L車をお薦めしようと今後、プロモーションしていくのですが、ラインアップとしては両方選べるようになっています」
このように新型スーパーグレートのエンジンは排気量をアップさせながらも、低燃費を実現しているのである。
〈文=ドライバーWeb編集部〉
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みんなのコメント
運転手がかわいそうです。
訳の分からない運行管理者が、社規則で最大回転数に自主規制を設けて
それを超えるたびにボーナス減額とかの縛りを掛けてる。
で、その回転数以下だとトルクがスカスカで走れたもんじゃない。
メーカーは高回転・小排気量の特性を生かして
高い回転数を常用して走るように勧めてるというのに。
新型の高回転小排気量車より、旧型の低回転大排気量車の方が
好まれてる傾向なんて知らないんだろうな。
あと、排気量が小さいと排気ブレーキの効きが悪くなりブレーキの踏む回数が増えて、特に長い下り坂の道を走る時は不安になる。