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【時間をかけて開発する意味】 BMWアルピナB4 GT リムジンとグランクーペ、個性の違いはどこにある?

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【時間をかけて開発する意味】 BMWアルピナB4 GT リムジンとグランクーペ、個性の違いはどこにある?

B4 GTはフロント側、1段階

6月13日にドイツのザッセンリンクサーキットで開催されたアルピナの国際試乗会。今回はグランクーペ・ボディを纏ったB4 GTの印象について触れてみたい。

【画像】ドイツ本国試乗 BMWアルピナB4 GTの写真をみる 全24枚

GT化の視覚的なメニューはB3 GTと同様である。フロントスポイラーの端にカナードを追加。リア・ディフューザーも新デザインに変更されている。ダイヤモンドカットが施された20インチの鍛造ホイールやリアのエンブレムにはオロ・テクニコと呼ばれるピンクゴールドのような特別色が用いられている。

だがアルピナといえば気になるのは中身の部分。B3 GTとB4 GTにはリムジンと4ドアクーペというボディ形式の違い以上のものがあるのだろうか、アンドレアス・ボーフェンジーペン社長に聞いてみた。

「B4はBEVのi4との関係性もあって、もともとフロアがB3よりも強いんです。だから我々は今回のB4 GTにもB5用の1サイズ大きなタイヤセットを組み合わせています」との答え。それはどのようなチューンなのか?

「アルピナらしい、つまり快適に走り続けられるクルマということです。でもそこに走る楽しさが込められている。でなければ我々が時間をかけて開発する意味がありません」

今回B4からB4 GTへの具体的な仕様の変更を問うと、エンジニアのトビアス・ウィーガーはフロントのスタビを一段階細くしているという。それが意味するところは?

走りのメリハリに集約されるB4 GTの真価

「フロントサスペンションを動きやすくすることで応答性を上げました。これはタイヤの性格との関係で、そうした方がベストだということになったからです。サーキットではB4 GTの方が楽しめるはずです」

トビアスの最後の一言は、走りはじめてすぐに理解できた。コーナーの立ちあがりでスロットルを踏むとすぐに電制デフの締結が高まり、285サイズのリアがグッと踏ん張って存在感を高めてくる。

265サイズのリアを履くB3 GTではバランス型、AWD的だった前後の駆動力の関係性がはっきりとリア偏重、つまりFR的に感じられるのだ。

エンジンが529psまでパワーアップを果たし、しかもリア偏重というとプッシュアンダーを想像してしまうが、その過渡特性を穏やかにするのが柔らかくなったスタビとBMWの風洞で効果を確認しているというカナードなのだろう。結果としてB3 GTと比べ、走りに自然とメリハリがついていく感じになる。

走りながら「今なら踏める!」というコーナー脱出のスイートスポットをクルマがはっきりと教えてくれるのだ。それはハンドリング特性だけでなく、現状をドライバーに伝える能力との相乗効果でもある。

以前、公道でB4グランクーペを試乗した際も、B3と比べ車輛がひと回り大きいような雰囲気は感じていた。だが今回、サーキットで新型を試したことで両者の個性をよりはっきりと理解することができたのである。

アルピナらしい味を作るエンジンとタイヤ

エンジンパワーの印象に関しては「500ps近辺における34ps増し」をサーキットで体感するのは難しい。

パワーカーブの比較データを見せてもらうと、約5000回転で到達する495psまではこれまでと同一のライン。だが新型のGTユニットはそこから上6500回転まで緩やかに上昇し続けて529psに達している。

トルクに関しても5000回転以降の下降の角度が緩やかになっている。ピークを尖らせることなく、いつのまにか差が付いている。いかにもアルピナらしいと仕事だと感じた。

「我々はドイツにも拠点があり、BMWやMとも仕事をしています。その経験をもとにアルピナと仕事をするのは理にかなっています」と話すのはピレリでアルピナを担当するドイツ人、ニコ・ケスラーである。

「普通は何社かで供給するので足並みを揃える必要がありますが、(1車種で1社供給の)アルピナの場合はその必要がないので、楽というか仕事がやりやすいですね。あと前後でサイズも違い、完全に構造を変えられる点も仕事をやりやすくしています。今回タイヤの仕様は変えていませんが、性能的には充分狙ったところに達していると認識しています」

アルピナを作る人たちは誰もが、控えめだが自信たっぷりというのも印象的だった。アウトバーンを305km/hの巡航最高速度で余裕を持って突き進みつつ、B3 GTと比べるとフィードバックが若干高められ、走りを堪能できる。それがアルピナが「真のグランツーリスモ」と謳うB4 GTなのである。

試乗車のスペック

価格:1660万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4800×1850×1440mm
最高速度:305km/h
0-100km/h加速:3.5秒
駆動方式:AWD
車両重量:1965kg
パワートレイン:直列6気筒2993cc+ビターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:529ps/6250~6500rpm
最大トルク:74.4kg-m/2500~4500rpm
ギアボックス:8速オートマティック
タイヤサイズ:255/35ZR20(フロント)285/30ZR20(リア)

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