MC20の衝撃的デビューに続いて新世代マセラティの進撃は留まることを知らない。
満を持して登場したのがプレミアムSUVモデル、グレカーレ。
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全長が5mを切るまさに日本のマーケットに向けてのジャストサイズ。そしてベーシックモデルのGTから、モデナ、そしてトロフェオとニーズに合ったラインナップが展開されていることもあり、発表と同時に多くの注文が殺到している。
はじめてのマセラティというカスタマーにも魅力的であるし、従来からの熱烈なマセラティスタからも注目が高い。
また、MC20オーナーのファミリーユース・カーとして同じスタイリング&エンジニアリングDNAを持つこのグレカーレをガレージに並べるというのも魅力的ではないか。
マセラティの大規模なリブランディング・プラン
MC20を皮切りに続々とニューモデルが誕生するマセラティの大規模なリブランディング・プランの中で、グレカーレは大きな意味を持つ。マイルドハイブリッド、最新テクノロジーを導入したICE(内燃機関エンジン)ネットゥーノ、そしてフォルゴーレと称す完全電動システムの新世代パワートレイン群への完全対応を前提として開発が行われた。
そのプラットフォームも新規開発のもので、前述全てのパワートレインに向けて最適化されたものだ。そういった意味で、まさにMC20同様に「オールニュー・マセラティ」となる。
マセラティにおけるSUVの歴史
マセラティのSUV展開は2016年デビューのレヴァンテからはじまった。ドライビングプレジャーと快適性を高い次元で融合させ、エレガントなスタイリングをまとったこのイタリアンSUVが大ヒット作となった。
そして、その背景に実は長い開発への取り組みがあり、デビューすべきタイミングを虎視眈々と伺っていたという事実がある。
レヴァンテからグレカーレと続くSUVラインナップは昨今のブームに合わせて場当たり的にリリースされたものでは決してない。
未だSUVというカテゴリー・ネームが存在していなかった2000年にマセラティはジウジアーロのスタイリングを纏った「ビュラン」と称す”背の高い”コンセプトモデルを既に発表していた。
3200GTのハイパワーV8ツインターボエンジンを搭載し、ラグジュアリーなテイストをもったまさに現在のSUVブームを見越したモデルであった。
マセラティは近い将来この新しいセグメントがサルーンの主流になることを想定し、開発チーム内にはプロジェクトが脈々と受け継がれていた。そのDNAが大きく開花したのが、最新のグレカーレとなる。
グレカーレはマセラティのDNAの“いいとこ取り”
そもそも、マセラティには今年で生誕50周年を迎える4ドアスポーツカー=クアトロポルテのDNAが存在する。かつて名だたるスポーツカー・メーカーにとって、世界に通用するハイパフォーマンス4ドアサルーンを作ることは簡単なことではなかった。
つまりパフォーマンスと快適性を両立させ、当時のターゲットであった富裕層の顧客を満足させることはとても難しかった。
その両立を実現し、ラグジュアリーな味付けと信頼性を備えたモデル開発を可能としたのは高い技術力を持ったマセラティだけがなし得たのだった。
そんな4ドアスポーツカーDNAがあるからマセラティのSUVは巷のライバル達とは一味違う。そんなマセラティのDNAの“いいとこ取り”から生まれたのがグレカーレとなる。
エレガントなスタイリング
競合モデルがひしめくDセグメントSUVカテゴリーであるが、その中でも幾つもの特筆すべきポイントを備えている。ひとつ目はなんといってもそのエレガントなスタイリング。
マセラティ・デザインセンターがまとめたそのスタイリングは新世代マセラティのコンセプトを明確に備えるMC20のDNAをストレートに受け継いでいる。
空力的に最適化を追求しながらも美しいボディラインを邪魔する突起したスポイラー等空力デバイスを排除したのもMC20譲り。余計なキャラクターラインを廃した彫刻的な美しさが際立つ。そしてマセラティとしての存在感を表わす特徴的なフロントグリルはMC20同様、低く位置しスポーツカーとしての属性をアピールしてくれる。
マセラティ・デザインセンターのトップであるクラウス・ブッセ氏は以下のように語っている。
「低く位置するフロントグリル、そしてフロントフェンダーを流れる力強いラインは最も美しいマセラティと語られたA6GCS/53ベルリネッタ譲りです。技術開発部門とデザインセンターの密なコミュニケーションから生まれたまさに新世代マセラティというべき自信作です」
パフォーマンスとドライビングプレジャー
ふたつ目はパフォーマンスとドライビングプレジャーへの拘り。グレカーレは単なるラグジュアリーSUVではない。高い次元でパフォーマンスと快適性を両立させてるまさにスポーツクーペといっても過言ではない。
特徴的なのは最新のFRプラットフォームの採用だ。多くのDセグメントSUVがFFベースのシャーシをベースにAWD化しているのに対してグレカーレはFRベースを採用している。マセラティのDNAであるドライビングプレジャーの実現の為に、その基本たるシャーシに大いに拘ったから、ロングホイールベースにも関わらずきわめてシャープな挙動を楽しむことができる。
新システムのヴィークルダイナミックコントロールモジュールは、コンフォート、GT、スポーツ、コルサ(トロフェオのみ)、オフロードのドライブモードの選択が可能となっているが、そのバリエーションはまさにSUVの域を超えたものとなっている。
前述のように、グレカーレにはマセラティ最新のパワートレインが採用されている。300psと330psの2.0L 4気筒マイルドハイブリッドエンジンを搭載した「GT」、「モデナ」、そして530psの3.0L V6ネットゥーノエンジンを搭載した「トロフェオ」の 3モデル。
その中でもネットゥーノはまさにMC20搭載のフラッグシップ・エンジンだ。グレカーレのキャラクターに適合させるためにウェットサンプ仕様とし、気筒休止システムを採用している。つまり、パフォーマンスにおいてもセグメント内のトップクラスであることは間違いない。
関連情報:https://www.maserati.com/jp/ja/models/grecale
構成/土屋嘉久
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