抑揚にドキッ! タイカン、4ドア版911?
text:Takuo Yoshida(吉田拓生)
【画像】ポルシェの流儀【加速感たまらないタイカンをグレード別に見る】 全120枚
photo:Masakatsu Sato(佐藤正勝)
ポルシェ初のフルEV、タイカンが日本の路上を走りはじめている。
原宿駅近くに期間限定でオープンしていた「ポルシェ・タイカン・ポップアップ原宿」で実車と対面した。
水色のタイカンはボディに抑揚があり、パナメーラよりもダイナミックな印象。
バッテリーは床下に仕込まれているはずだがEVにありがちな腰高感はなく「未来の911を4ドア化したような」という表現がよく似合う。
ポルシェ濃度がかなり濃いように思えた。
今回の試乗車はコーヒーベージュメタリックというボディカラーがお洒落なタイカン・ターボだった。
ターボといっても、もちろんEVに過給機は必要ない。つまり「TURBO」はポルシェ伝統のグレード名である。
タイカンのグレード構成は、旗艦のターボS、中間グレードのターボ、そしてベーシックな4Sとなっている。今回のターボは中間とはいっても前後モーターによるパワーの総計は625psにもなる。
さらにローンチコントロールを使うと瞬間的にカイエン・ターボS Eハイブリッドと同じ680psに達するらしい。
だがガソリンのターボ車と比べれば、EVの680psははるかにジェントルに違いない。臆することなく走りはじめてみよう。
見た目の質感も操作感も全身ポルシェ
水平基調のダッシュパネル、そしてドライバーの真正面にレヴカウンターならぬ「パワー/スピードメーター」が大きく主張するあたりは911のそれを思わせる。
MT車であればシフトレバーが生えるであろう場所にドリンクホルダーの穴が開いているのは拍子抜けだが、内装で気になるのはそれくらいだ。
発進前にバッテリー残量をチェックすると96%あった。これに対する走行距離は368km。満充電時の航続距離は383-452kmなので、暗算によればその計算は合っているようだった。
都内のノロノロ運転で車内が極めて静かなのはEVなので当然である。一方ボディのカッチリした感じや、摺動部に硬めのオイルが注してあるような操作感はポルシェそのもの。
けっこうな昔、初めてポルシェをドライブした時(新車の993カレラだった)に似た「いいモノ感」がひしひしと伝わってきた。
首都高に乗り少しペースが上がると、それに比例していい物感も上がる。
かつて911は体感速度より実際のスピードが速くて驚かされたが、平静を装っているタイカンもこちらが感じた2割り増しくらいのスピードを提示してくる。
これまで試乗したフルEVと違ったのはスロットルのマナーだった(?)。
スロットルオフでビューンと伸びる?
日産のワンペダルドライブではないけれど、EVはスロットルオフすると回生機能が働いて、ギューっと減速するのが常識である。
ところがタイカンはガソリンのAT車のそれに似て減速感が希薄だった。
回生はしているし、その強さも3つのモードから選べるのだが、回生より気持ちよさを重視しているようだ。
ブレーキによる制動も実際にはその9割ほどを回生で賄っていて、残りを既存のブレーキでやっているというから驚きである。
アクアラインに入ったところでスロットルを床まで踏み倒してみる。
フルEVの680psは、ジェットコースターや戦闘機のような自動車らしからぬ加速感がある。
タイカンもその例に漏れなかったが、その興奮は長くは続かない。
レシプロエンジンのような力強い音色があるわけではないし、ターボのように一拍置いてから加速する「圧縮と解放」のドラマもない。
シフトチェンジもないから、乗り手がパワーバンドに配慮する必要もないのだ。
実はタイカンはリアに70km/h付近で切り替わる2段変速のギアボックスが備わっているのだが、その存在にも気づかなかった。
それでもなお、タイカンはポルシェが標榜する通りのフルEVスポーツカーと呼べるのだろうか?
ブランドの味、セオリーを越えた先に
EVの加速のマナーが盛り上がりに欠けるものだったとしても、タイカンは筆者がドライブした中で最高のフルEV車だと言い切れる。
ハンドリングや加速の一体感は十分にスポーツカーと呼べるものだし、作りと走りのクオリティの高さは他のポルシェと同等だと感じた。
つい最近、ヨーロッパ製の3台のフルEV(アレとアレとアレです)にまとめて試乗する機会があった。
どれもブランドの個性が感じられたが、多分に義務的な臭いもした。「とりあえずの叩き台です、様子を見ながら発展させていきます」と言った雰囲気である。
フルEVは各社ともまだ手探りの状態なので、そこを突くのはフェアではないかもしれないが。
ところがタイカンは、処女作にして迷うことなく核心を突いてきたからビックリなのだ。その根底にあるのは、ポルシェのクルマ作りの信念と、その歴史なのだと思う。
「ポルシェ何たるか」はカスタマーの脳内にもちゃんと浸透しているので、タイカンのステアリングを握れば誰でも「ピンとくる」のである。
前後モーターの4駆、床下バッテリーといったセオリーに従うと、フルEVのテイストが似てしまうのは当然だろう。
それらの事実を乗り越えるアーカイブを持ったブランドこそがEV時代の覇権を握るのかもしれない。
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なにはともあれ、憧れの世界です。わかりやすい例えを希望します。