この記事をまとめると
■三菱の軽商用EV「ミニキャブミーブ」が「ミニキャブEV」として生まれ変わった
早く帰れるし疲れないし! トラックやバンのEV化はドライバーにメリットだらけだった
■航続距離が伸び、先進安全装備が追加されつつも価格がほぼ据え置きとなっている
■2シーター仕様と4シーター仕様が用意されており、急速充電に関してはオプションだ
現場の声を反映してパワーアップ!
日本政府が音頭を取って目指す「2050年カーボンニュートラル社会」実現において、急務といわれているのが物流のゼロエミッション化。とくにラストワンマイルと呼ばれる近距離物流についてはEVシフトが急がれる状況だ。
先般行われたジャパンモビリティショーにおいても、ホンダはN-VANをEV化したモデルを展示していたし、スズキもトヨタやダイハツと共同で進めている軽商用EVのプロトタイプを展示していた。いずれも発売間近であり、一部で実証実験は行われているにしろ、まだ一般販売は始まっていない。
ジャパンモビリティショーが開幕した2023年10月時点において、日本で買える軽商用EVは、実質的に三菱ミニキャブ・ミーブしかなかった。
ミニキャブ・ミーブの登場は2011年で、発売開始から2023年10月までの累計販売台数は約1万3000台。途中に一般販売を停止していた時期もあったが、フリートユーザー向けの販売は継続していた。すなわち、12年ぶんの知見とフィードバックを有する唯一の軽商用EVともいえる存在なのだ。
そんなミニキャブ・ミーブが「ミニキャブEV」へと進化、2023年12月21日より発売が開始される。
パッと見に、ほとんどスタイリングが変わっていないこともあり、ちょっとした商品改良のように思えるかもしれないが、それは大きな間違いだ。
EVの基本性能を左右するバッテリーとモーターは新世代になり、これまで備わっていなかった先進安全機能も充実している。
バッテリーについては、従来モデルの総電力量16.0kWhから新型ミニキャブEVでは20.0kWhへと増量している。バッテリーがマンガン系リチウムイオンであることは変わっておらず、サプライヤーも従来どおりのリチウムエナジージャパンだが、バッテリーの型式は「LEV50」から「LEV61」へと新世代化しているという。
最高出力31kW、最大トルク195Nmの駆動モーターもインバーターと一体化させて高効率化した新しいもの。まさに駆動系は一新された。
その結果、一充電航続距離はWLTCモードで180kmを実現。従来モデルが133kmだったことを考えると、約35%も増えている。
ちなみに、同じ三菱製の軽乗用EV「eKクロスEV」もバッテリー総電力量は20.0kWhで、一充電航続距離は180kmとなっているが、この数字が同じなのは偶然といえるもので、使っているパーツはそれぞれ異なっているということだ。
スペックアップしつつも価格はほぼ据え置き!
大は小を兼ねる的な発想でみると、ミニキャブEVの180kmという航続距離は物足りないと感じるかもしれないが、それは早計。開発陣によればこのスペックは、12年間販売してきたなかで、数多くのユーザーとコミュケーションしてきた上で見えてきた必要な航続距離を満たしたものだという。じつはミニキャブEVは急速充電口もオプション(5万5000円)となっているのだが、こちらも多くのフリートユーザーは普通充電しか使わないため、むしろ「急速充電をなくしたぶん安くなったほうがうれしい」という声が多いという。
もちろん官公庁などを中心にV2H機器に接続したいので、そのためにCHAdeMO急速充電口が必要という声もあるそう。オプションの急速充電がV2Hに対応しているのは言うまでもない。
ちなみに、バッテリーがエンプティに近い状態で、最大出力電圧400V、最大出力電流60Aの急速充電器(24kW)を利用したケースでは、約42分でバッテリー充電率を80%程度まで回復させることができるという。とはいえ、ほとんどのユーザーは一晩(約7.5時間)あれば満充電まで回復させることのできる普通充電(200V・15A・3kW)を利用するだろう。そのほうが充電コストとバッテリー劣化を抑えられるからだ。
さて、なによりおどろくのはバッテリー総電力量がこれだけ増えても価格はほとんど据え置きとなっていること。
ミニキャブEVのグレード構成は、従来同様にCD 2シーターとCD 4シーターの2種類で、メーカー希望小売価格は以下のようになっている。()内にミニキャブ・ミーブの価格を記しておくが、2シーターについては完全に据え置きなのことがわかるだろう。 ■ミニキャブEVメーカー希望小売価格 2シーター:243万1000円(243万1000円) 4シーター:248万6000円(245万3000円) しかも、新生ミニキャブEVが進化したのは電動パワートレインだけではない。いまや商用車であっても欠かせない先進安全装備、先進運転支援システム(ADAS)についても最新レベルのシステムが与えられている。
具体的な機能としては衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報機能、自動ハイビーム、誤発進抑制などサポカーSワイドに対応した内容。システムの核となるセンサーは、フロントの単眼カメラとミリ波レーダー、そして前後の超音波ソナーだ。
ミリ波レーダーを、フロントグリル内側に新設することもあって、フロントバンパーは意匠変更。あわせて前後バンパーともに白いボディについては素材色を活かすことで無塗装としている。これはコストダウンの手法でもあるが、SDGs的な社会ニーズからすると無駄な塗装をしないというのはポジティブな改良といえる。
軽商用バンの基本性能として重要なラゲッジスペースについては、従来モデルではスペアタイヤが室内に置かれていたが、それをパンク修理キットに置き換えることでラゲッジを有効に利用できるよう改良しているのも地味ながら見逃せないポイントだ。
ちなみに、あまり代わり映えしないルックスについて開発陣に質問したところ、「お客様からスタイルを変えてほしいというリクエストはほとんどなかったので」という回答だった。フリートユーザーの気持ちになれば、すでに運用しているミニキャブ・ミーブと新しいミニキャブEVを並べたときにあからさまに異なっているよりも、ほとんど違いがわからないくらいのほうが嬉しいということなのだろうか。
また、新型ミニキャブEVでは2シーターのリヤガラスなどをパネルへ置き換えることでコストダウンと軽量化を図っているが、こちらもユーザーからのリクエストだったという。まさに長年の経験によって熟成された仕様、それがミニキャブEVといえる。
これまで三菱が独占的だった軽商用EVのマーケットに各社が参入することで、2024年は軽商用EV元年という見方もあるが、こうして進化したミニキャブEVを見ていると、”一日の長”というのは確実にあるだろう。
商品力アップに伴うミニキャブEVへの改名は、軽商用EVの中心プレーヤー的存在でありつづけるという強い意思を感じさせられる。
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