2020年12月7日、台湾でトヨタ「シエンタ クロスオーバー」が発売された。ここ最近雰囲気組も含めて、トヨタ「ヤリスクロス」「カローラクロス」、ホンダ「フィットクロスター」「フリードクロスター」などなど、国内外問わずクロスオーバーの乱立が止まらない。
極めつけは、トヨタ「クラウン」がセダンをやめてクロスオーバーかするなんて情報もあるほどだ……。
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空前のSUVブームで、売れるクルマを作ろうとするとクロスオーバーが手っ取り早く、収益性が大事な企業の判断としては間違っていないとは思うが、こんなに何でもクロスオーバー化させてよいのか? もっといろいろなボディタイプを大切にするべきなのではないだろうか?
シエンタクロスがどういったクルマなのか紹介しつつ、止まらないクロスオーバー化の「ナゼ」について考察していきたい。
文/岡本幸一郎
写真/TOYOTA、NISSAN、SUBARU
CG/ベストカー編集部
【画像ギャラリー】はたして国内販売はあるのか? 台湾で発表されたシエンタ クロスオーバーを写真をでチェック!!
■日本のみならず世界で盛り上がるクロスオーバー人気
台湾仕様のシエンタ クロスオーバーは、日本仕様にはない1.8Lエンジンがラインナップされる。最高出力140ps/6200rpm、最大トルク17.5kgm/4000rpm、ハイブリッド仕様の設定はない
SUVブームは高価でサイズの大きめなクラスからはじまったが、やがてサイズの小さなクラスまで広がり、SUVとは無縁だったタイプのクルマにまで波及したのは周知のとおり。その中で、何らかベース車があって、同じ車体にSUVテイストのデコレーションを施した、比較的手軽な内容のクロスオーバーが増えているのが目につく。
マイナーチェンジしたホンダ『フリード』や『4代目フィット』に設定された「クロススター」はまさしくそれ。販売比率はいずれも15%程度とパーセンテージとしては大きくないが、いずれも人気モデルゆえ販売台数の母数が大きいので、けっこうな数が売れていることになる。
そのほか、ベース車と車体を共有するクロスオーバーについて、たとえばスバル『XV』は『インプレッサスポーツ』より販売台数はずっと上回っている。軽ハイトワゴンではスズキ『スペーシア』の中で「ギア」の販売比率がかなり高いと聞く。いずれにしても、こうしたSUVのテイストを大なり小なり持つクロスオーバーの人気が高まっていることには違いなさそうだ。
直近では、2020年末にトヨタ『シエンタ』をベースとする「シエンタ クロスオーバー」が台湾で発売されたことが日本でも報じられて注目を集めている。
ボディ下部のブラックのトリムは見た目だけでなくキズがつきにくいようにとの配慮によるもので、前後バンパーに配されたスキッドプレート調のシルバーのトリムやブラックルーフにルーフレールを備え、アクティブな雰囲気を演出しているほか、車高はベース車に対して25mm高められており、減衰力を強化した専用のスポーツサスペンションを装着する。
シエンタ クロスオーバーの内装(台湾仕様のため左ハンドル)。現行の国内モデルと内装デザインに大きな変化はない
インテリアも、ブラックとブラウンを組み合わせたデュアルカラーデザインを採用するなど各部が専用の仕様となっている。いまのところ台湾専売ゆえデザインや走りも台湾市場に合わせてアレンジされているはずだが、日本に導入してもそれなりに売れそうだ。
■勝てば(売れれば)官軍! メーカーもユーザーもWin-Winのクロスオーバー化
一方では、トヨタ『クラウン』の次期型がSUVになるという情報まで出はじめたのを目にした人も少なくないことだろう。実際にどうなるのかはまだわかるはずもないが、こうして報じられたくらいなので何かしら新しい動きはあるものと見てよさそうだ。
ベストカー(2021年1月10日号)でお伝えした次期クラウンSUVの予想CG。伝統の4ドアセダンが消滅してしまうとすると、さびしい限り(予想CGイラストはベストカーが製作したもの)
かつて似たような成り立ちで世に出た日産『スカイラインクロスオーバー』は、北米ではそれなりに人気を得たものの日本ではあまり受け入れられなかったが、当時とは時代が違うことだし、クラウンの名がつけば注目度も高まることはいうまでもない。
すでに豊富にSUVをラインアップしているトヨタが、さらに新しくSUVの車種を増やすとなると、それなりに意義のあるものとなるはず。はたしてどんなクルマが出てくるのか興味深いところだ。
クロスオーバーがこうして増えるのは、なんら不思議なことではない。売れているものにならうのは当然のこと。SUVの要素を盛り込むことで人気が高まり売れ行きがよくなるのなら、誰だってそうする。
クロスオーバーと呼ばれる中にも程度があり、前出のお手軽なタイプを「中途半端」と評する向きもあるが、これで十分と感じている人が少なくないことは販売の動向も証明している。
架装が増えてタイヤなどが大きくなればそのぶん販売価格は割高になるが、それでもそうしたほうが売れて儲かるのならやらないわけがない。ユーザーもそれを望んでいるわけで、メーカーにとってもユーザーにとっても好循環といえる。
2008年に北米で「インフィニティEX37」との車名で販売開始されたが、2009年に「スカイライン クロスオーバー」の名称に変更し日本で発売された
こうした類いのクロスオーバーの価値は、このルックスを楽しめることにつきる。それだけで十分に存在価値はある。機能面での優位性は基本的にはない。走破性を高めるデバイスが装備されているケースもあるが、それはクロスオーバーでなくてもできるのをベース車ではやっていないだけの話なので、クロスオーバーの特権とはいえない。
■いいことばかりじゃない! クロスオーバー化で悪化する性能も……
ただし、こうしたクロスオーバーにはベース車にはないデメリットがあるかもしれないことも一応お伝えしておこう。走りについてベース車とまったく変わらないケースもあるが、そうではないケースも多いのだ。
そもそもSUVというのは、乾燥舗装路を走るには不利なことばかりだ。ベース車に対して、大径タイヤを履かせたり地上高を上げたりするとどういうことが起こるか、基本的な例をいくつか挙げると、タイヤ径が大きくなるとバネ下重量が重くなり走りに影響をおよぼすほか、ステアリングの切れ角を確保しづらくなり小回りが利かなくなる。
さらには地上高を上げるともちろん重心高も上がり、ロールなどの挙動が大きく出やすくなる。それを抑えるためにスプリングやダンパーやスタビライザーなどを強化して手当するケースもあり、その場合は乗り心地の悪化を招いたり、挙動が不自然になったりする。
少々難しい話だが、これらの根本的な要因は地上高を上げることに対してサスペンションジオメトリーが適切でなくなる点に問題がある。重心高が高くなりサスペンションアームの角度が変わり、ロールセンターとの位置関係が変わると走りにも大なり小なり影響を及ぼす。とにかく本来の走りができなくなるとイメージいただけばよいかと思う。現行型はそれほどでもないが、従来型の『XV』と『インプレッサ』はまさしくそれが顕著に見受けられたものだ。
現行XVはSGP採用により、車高の高いSUVでも最適なセッティングができるようになった。さらに2020年10月8日のモデルチェンジで、サスペンションが改良され走行性能が向上している
燃費についても、SUVテイストの架装によりわずかでも重量が増したり車高が高くなったりすると、燃費面でよい影響があるわけがない。架装したデザインそのものが空力に影響する可能性もある。たとえばホンダの『現行フィット』は5タイプがラインアップする中でも、若干ではあるが「クロスター」の燃費公表値が他モデルを下回っている。
むろん地上高が高いだけでも見晴らしがよかったり、未舗装路を走りやすいなどよい面はいくつかあるが、ごく普通に走るぶんには性能面でよいことは基本的にはないといえる。それでも多少のネガは考えられても大半は許せる範囲であり、SUVテイストを好む人にとってはあまり関係のない話に違いなく、SUVテイストの架装はまさしく「付加価値」として、そのクルマ商品性そのものと化す。 なくても問題ないが、こうして多くの人に選ばれるようになったのは、あったほうがよいと認識する人がそれだけ増えたということだろう。
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