運営元:旧車王
著者 :TUNA
今年はコペン誕生20周年!コペン夏祭り2022イベントレポート
■二回目開催、道内各地から様々な顔ぶれの車両が集結去る2022年8月28日(日)、晴天に恵まれた北海道、室蘭港フェリーターミナルにて「第二回キュウマルカーミーティング」が開催された。
北海道でもカーミーティングは盛んに行われているが、ことネオクラシックな車種や90年代車にスポットを当てたものとなると開催されている数はまだ少ない。
今回のイベントの仕掛け人である将利歩さんも、かつて関東でのカーミーティングにも頻繁に参加していた経験から「北海道でもっと気軽に集まれるイベントが開催されれば良いのに…」との想いがあり、開催の運びとなった。
第一回は夕張市の日の出クラシックパークで開催され、大盛況ののち幕を閉じた。
第二回目となる今回の開催は室蘭港の広く開放的な駐車場で行われ、前回よりもさらに規模を広げた印象を受ける。
イベントでメインを飾るのは「1989年から2001年以内に生産、新車発表された車種」といったレギュレーションこそあるものの、「沢山の人にイベントを親しんでもらいたい」という主催側の意図もあった。
展示車両のバリエーションもレギュレーションを緩め、より豊富に広がった楽しいイベントとなっていた。
今回のイベントで車両を展示されている方の声で多く聞こえてきたのは、「いわゆる旧車として扱われている80年代以前の車は大事に保管されている印象が強いが、日常のツールとして使われてきた90年代~00年代初頭の車は近年一気に台数を減らしていっているように感じられる」とのことだ。
■北海道ならではの旧車事情とは?実際に2000年式のU14型ブルーバードを所有している将利歩さんに北海道内でのネオクラシックカーの所有について伺うと「90年代後半から生産されたU14ブルーバードでも北海道内ですれ違ったのはこの2年間で2台ほど。
道内では融雪剤などの影響で錆びの進行が早かったり、仕様によってはリサイクルパーツですら入手が難しい車種もあり維持を諦めるケースがある」とのことだった。
▲道外で使用していたブルーバードを引っ越しとともに連れてきたそう。いざ北海道で乗り始めると同車種とすれ違う回数は片手で数えるほど
筆者も13年ほど前まで北海道内に住んでいたが、そう言われて街のなかを改めて観察していると、すれ違う90年代車の台数とバリエーションはかなり少なくなった印象だ(むしろファームトラックやディーゼルのクロカンなどの古いモデルは本州より比較的多く見かけるのだが)。
北海道は寒冷地仕様車、4輪駆動車、ディーゼル車など、雪国ならではの車種も多く走っている地域だ。
かつては地域の特性上、ロシアへの中古車輸出も盛んであり、今や本国よりも海外で見かける機会の方が多い車種もあるほどだ。
所変わればクルマを取り巻く環境も変わる。
北国ならではの事情を知りながら会場を改めて見回してみよう。
北海道外と同じように後輪駆動のスポーツモデルも多く見かけるのだが、冬期間の運転や雪深い時期に乗るためのサブカーの所有など…ひとえに所有と言っても北海道ならではの苦労は尽きない。
燦々と降り注ぐ太陽が嬉しい夏の期間、愛情を注いだクルマたちを眺めながら談義に花を咲かせるオーナーたちの笑顔を感じると、また異なる視点でイベントの表情が見えてくる。
カスタムカーやスポーツモデルではない乗用モデルにも北海道ならではの視点は伺える。
冬タイヤを装着する地域では冬タイヤ用にもう1セット分のホイールを持っているパターンが多い。
オートバックスなど量販店で装着されたホイール一つとってもその時代ごとの雰囲気が伺える。
また、電球の熱で雪を溶かしてナンバープレートの視認性を高めるための字光式ナンバープレートや、雪下ろしのダメージをなくすためにダイバーシティアンテナを車内に取り付ける例など、それぞれの車両から雪国ならではの視点を見受けることができる。
これらも雪が降る北海道の旧車イベントならではといえるのではないだろうか。
■ちょっと懐かしいけど、どこか違う。北海道的なクルマの話参加された17系クラウンのオーナーさんに話を伺ってみた。
「自分はこのクラウンとは別に所有しているエスティマで行く場所に合わせてクルマを使い分けています。特に行く場所の距離やイベントによってはクラウンで行き、冬の期間はエスティマの出番が増えます」
▲”和ユーロ”テイストにカスタムされた17クラウンは珍しいロイヤルサルーンのUパッケージ。ランプのカバー類はワンオフで作られ、エアロと統一感を出す。所有するホイールは複数セットあり、イベントに合わせて靴のように履き替えているとのこと
こちらは最近、全国的に見かける回数が少なくなってきた3代目ビスタハードトップだ。
90年代の北海道では多く見かけた仕様でフルタイム4WDのステッカーに懐かしさが込み上げてくる。
このビスタの他にもカスタムされたマークXとスカイラインを所有するというオーナーさんだが、MTでノーマルのまま維持されていたビスタを残したい、との気持ちで奥様のお祖父様から受け継いだ個体なのだそう。
▲かつては道内でよく見かけたビスタやカムリ。今ではロシアの街中で多く見かける。実際にオーナーさんが部品を探すと日本ではなくロシアのサイトで発見したりすることもあるそう
10系セルシオのオーナーさんは今年、愛知県で販売されていた車両を取り寄せたとのこと。
「マジェスタやアリストなど、大排気量のトヨタ車に憧れていてその思いがこの一台で実現しました。字光式ナンバーにこだわりがあるのでぜひみて欲しいところです」と語る。
セルシオと電球タイプのフレームにナンバープレートが誇らしさすら感じさせる。
▲念願叶って購入したセルシオは愛知県で見つけた個体を北海道へと送ってもらったそう。冬季間は元々乗っているダイハツ・ミラと使い分けるそうだ
全道各地から車両が集まるこのイベント、いくつもの管轄のナンバープレートを見ることができた。
例えば今回イベントが開催された室蘭港から北海道の道東地域である帯広ナンバーの陸運局までは約250km、北見ナンバーの陸運局までの距離を測ると約380km(東京ー名古屋間と同等)の距離だ。
道内をドライブすればクラシックなモデルが数台連なってツーリングをしている光景にも出会うことはたまにあるが、こういったイベントが開催されていればこそ、遠方からでも足を運びたくなる気持ちはとても理解できるものだ。
車両の維持が難しい地域であるからこそ、晴れの舞台は喜ばしい。
まだまだ、全道各地にいるであろう北海道内のネオクラシックな車両たちとそのオーナーたち。
今後もイベントの機会が増え、交流が増えていくことを考えるとこの先の開催もとても楽しみにしてしまうものだ。
[ライター・撮影/TUNA]
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